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2019/03/23

Bench 90−学位授与式後のホテルでロビー・ベンチに座る

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このベンチは、新宿にある有名ホテルの正面ロビーに置かれたソファ・ベンチだ。最近は庶民的で、公開された雰囲気を重視するホテルが増えたために、平面的な、べたっとした待合ベンチが置かれているホテルが増えてしまった。しかし、やはり伝統的には、宮殿形式風のソファ・ベンチを置くのが、高級ホテルの常識ではないかと考えられるのだが、いかがなものだろうか。

 

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よく写真集などで見られる宮殿形式ベンチの系統には、二種類あって、一つはこのソファ・ベンチのように背板が高いベンチ。もう一つはサロンでくつろぐタイプの寝椅子ベンチだ。これらについてはしっかりと調べなければならないのだが、背板が高いというヨーロッパのベンチの伝統は、宮殿にあっては秘密の会話が好まれたというような事情が関係しているのではないかと推測できる。確かに、日本では、大地から発達した座椅子が多いのに対して、ヨーロッパのベンチには、壁から発達した椅子が多いのだ。だから、宮殿形式を踏襲するホテルであればあるほど、正面ロビーのベンチは背板が高いものが選ばれることになる。隣の会話が聞こえにくい壁を持ったベンチという意味があるのだ。

 

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今日は、この新宿のホテルで、放送大学学位授与式後の懇親会が開催された。例年、NHKホールで授与式が挙行され、その後団体バスで移動して、同窓会主催のホテルの懇親会場へ行くことになる。そのときに、正面ロビーを通るのだ。もちろん、ホテルということは、高級であればあるほど、「見せびらかし消費」のメッカとなる場所なので、余裕あるベンチが至るところに設定されている。ばったり会った人びとがちょっと会話をするような場所が確保されているところがホテルの良いところなのだ。けれども、最近はどのホテルも有閑階級文化からビジネス文化に近づいていて、話をするなら、喫茶室へどうぞということになっていて、淋しい限りだ。1階と2階には、広い喫茶コーナーが設置されるようになっている。懇親会が終わったあと、卒業生や修了生と談話するには、これらの喫茶コーナーを確保しなければならなくなってきているのだ。残った修士課程のUさん、Kさん、Hさんと遅くまで雑談を楽しんだのだった。

 

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しかし、このようにビジネス文化がホテルに浸透すればするほど、じつは正面ロビーの背板の高いベンチは、座る機能を発揮するよりも、さらに「見せびらかし」効果を上げるべく、宮殿形式を採用するようになるのだと思われる。ベンチはその場所の文化事情を反映するのだ。

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