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2019/02/10

Bench 78−開放的だが閉ざされたベンチ空間を持った木の喫茶店

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喫茶店のその店に似合ったベンチを入れようとすると、たいへん難しい。多くの人びとに気に入られる必要があるからだ。けれども、逆に考えれば、特別なベンチを置いてしまえば、その店の主張や雰囲気を積極的に伝える武器ともなりうることになる。それがベンチの空間特性なのだ。


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このソファ・ベンチは、この店「totoru」の雰囲気を代表している。ベンチの素材が木製中心で作られている。この店の造りも木製の床やドアに始まり、天井から机や椅子に至るまで、木製が貫かれている。まさに、このベンチのような喫茶店なのだ。


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けれども、このソファ・ベンチは他の席とも異なる機能を持っていて、他の席から半分断絶した空間を形成しているのだ。じつは、このベンチの背板が二方向に壁のような効果を持っていて、囲まれた空間を保証している。それから、この写真からはわからないかもしれないが、前面が全部透明ガラスであって、裏口がそこにある。つまり、このソファ・ベンチのある空間は、この店でも特別な席になっていて、個室とは行かないまでも、三方向に壁があって隔絶した空間であると同時に、外への展望が効くことから、開放的な風景を持つ場所となっているのだ。さらに、この大きなテーブルが魅力であり、大きな樹から根がいくつも出ているような風の脚を形成していて、自然味を増している。


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ゼミOBのI氏とH氏とわたしはこの席の対面の4人掛けテーブルにいて、ゼミの続きの議論をしていた。今日は近所の小さな子どもを連れた家族がこのソファを占めていて、子どもが少しぐらい騒いでも構わない場所となっている。喫茶店で子連れの保証される空間がほんとうはあるべきなのだが、このような都会の真ん中では、やはり稀有な場所となっていて、このように意識しなければ、作れない空間なのである。ベンチとは関係ないのだが、ここのトイレはちょっと変わっていて、子どもが好きそうな、鍾乳洞の流れのあるシンクが入っている。童話の世界を思わせる趣向なのだ。


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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。