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2019/02/08

Bench 74−大桟橋の斜面向けベンチと港の夜のベンチが素敵だった

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横浜に住んでいて、港のベンチを取り上げないわけにはいかないだろう。ホーム図書館で、せっせと原稿を書いていて、今日ももう少しでお仕舞いだと思っていたら、娘からメールがきた。ワイン祭りのクーポン券があるから、これから行かないかというお誘いだった。ワインを飲んで、ベンチを鑑賞するという趣向は悪くない。

 

ワイン祭りの方は、業者向けのケース売りワインが勢ぞろいして、60種類ほどの試飲ができるという贅沢な催しだった。とくに、辛口白ワインと渋みの効いた赤ワインが粒ぞろいで、ビニール製のお猪口だったのだが、2回りくらい回っているうちに、アルコール量もかなり進んで、酔うほどに気持ち良い状態になってしまった。


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ワイン祭りの会場は大型客船が専門に投錨する横浜港の大桟橋だった。ここは、大きなクジラのような形をしていて、外見はすべて木製であるという、珍しい建物だ。しかも、クジラの身体のような流線型の曲線が随所にあって、木製の外壁と曲線の織りなす全体が美しい。さて、これに合うベンチとはどのようなものだろうか。それが、冒頭のベンチだ。


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いくつかの他に類を見ない特徴がある。まず斜面に設置されており、斜面に横まっすぐに、座面を取り付ける工夫が素晴らしい。その工夫が、バッテン印の脚と背板の混合構築物だ。このバッテン構築物が複数横に重なり合って、脚を織りなしているのだ。ひとつずつは幅が狭いので、斜面の偏りをひとつずつズラしていくことで、座面の水平を保つことができるのだ。かなり考えられている構造だ。建物の斜面に対して、ちょっと切り立った形を立てているという感じも、優しい外壁の局面に対するアクセントとなっている。このような特殊な建物だからこそ、このデザインが考えられたのだろうとは思われるのだが、このベンチは、斜面一般に設置される、普遍形のベンチとしても優秀なアイディアを提示していると思われるのだ。


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大桟橋から山下公園へ入る。パーク・ベンチはこれまでも数多く取り上げてきたのだが、最近のベンチは「排除型」が増えてきてしまって、仕切りが必ず設けられており、公園という本来の「公」の部分が思想的に衰退してきてしまっている。山下公園ともなると、横浜の顔のような存在なので、さすがに姑息な「排除型」は取れない。海に向かって並んだベンチ群も、港のネオンに照らされて、白い脚を浮かび上がらせている。横浜港らしい自由な解放感が伝わってくる。ワインが入っていることもあって、風は冷たかったのだが、しばしベンチに腰掛けて、中華街で食事をしようか、もう少し公園の散歩を続けようか、ちょっとだけだったのだが、余裕ある夜を過ごすことができたのだった。もしここにベンチがなかったならば、どのようなことになっていたのだろうか。



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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。