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2019/01/19

Bench 63−巨大ベンチの5大傑作選(名古屋の街中編)


巨大さというものが、なぜベンチに必要なのだろうか。それは、一般的にいえば、「規模の経済性」という、効率性の問題だということになるだろう。多くの集団が集まる可能性があるところでは、大量の椅子を用意するよりは、巨大ベンチを備えたほうが、経済性が高いといえる。ところが、ベンチに限っていえば、必ずしも巨大性は経済効率のためだけに追求されているわけではないことがわかる。巨大であることは、目立つことであるから、「見せびらかし(conspicuous)」の要素が入ってくるからだ。座る目的よりも、人目を引く役割が強調される。そして、何よりも、巨大なベンチを設置できる、巨大なスペースがあることを誇示できるところでなければならない。大きな広場や大きな公園ということになる。そこで、名古屋の街中にある7公園を回った中で、巨大ベンチに焦点を当てて、5大傑作と思しきベンチを選んでみた。


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第1位は、久屋大通公園の柵ベンチだ。腰掛けられるものは、すべてベンチだということで市民権を得て、晴れてマイノリティの地位から1位に躍り出たベンチといえよう。大きな鋼鉄のパイプに樹脂が塗られていて、道に沿って柔軟に形をよじることができる優秀な柵ベンチだ。座り心地も悪くない、また樹脂のお陰で冷たさも和らいでいる。



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大量の市民が押しかけても、座る需要をかなり満たすことができそうである。それに加えて、この大きな空間に決して負けていない。遠くまで延々と続く公園を底辺で支えていて、縁取りをしているかのような、オブジェとしても素晴らしいと思われる。だんだんに下っていき、奥のパーラーへ行きつく坂道の上を両側にワイドに展開する姿は、真にモダンな感じがするのだ。



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第2位は、池田公園のグエル公園風ベンチだ。ガウディ・ベンチは、コンクリート製も木製もバルセロナにあって、それだけで存在感のあるベンチなので、別のところで詳細に取り上げるつもりでいるのだが、とりあえずここでは池田公園のものを上げておこう。



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もし池田公園全体がグエル公園のように作られていたならば、第1位に取り上げるところなのだが、ほんの一部であっても、子どもたちの遊具を囲んで、ちょっと腰を下ろすには適切な囲い柵風ベンチとなっているだろう。



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第3位は、直線型としては、かなり巨大な名古屋科学館のベンチだ。白川公園内の科学館の野外展示場にある。この写真の左下の茶色のものだ。残念ながら、塀の外からしか、カメラに収められないほど、長いベンチなのだ。市電ファンならば、ここに座って、じっくりと電車を眺めることができるだろう。多くのファンが詰めかけても、この長さがあれば、かなりの収容力を誇示できるだろう。ただし、問題は直線型であることだ。同じ方向からしか、眺めることができないのだ。市電をぐるっと囲うだけのスペースの余裕は十分あるのだから、あとは担当者の想像力だけの問題だったと思われる。第1位を狙えるほどの空間を保持していることだけは確かだ。



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第4位は、この久屋大通公園のファウンテンサイド・ベンチだ。泉が湧き出るきわに座っていたいという欲望は、世界共通に存在するようだ。たとえば、ローマのトレビの泉には、いつも観光客たちがベンチとして座っていて、立ち去ろうとしないのだ。この久屋大通公園の噴水ベンチは、さらに腰掛けやすい工夫がされている。



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水際を注目すればわかるように、二重に石囲いが細工されていて、水に濡れずに座ることができる。夏の暑い時には、涼みに来たいと思う。そして、同じ涼むにしても、池と異なり、泉や噴水の良いところは、やはり水が絶えず吹き出て流れており、蚊などの害虫が発生しないという点があるだろう。


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さて、いよいよ第5位だが、正統派のパーク・ベンチを入れないわけには行かないだろう。やはり、久屋大通公園のパーク・ベンチだ。この長さがまずは目を引く。横板の使い方が半端でない。これだけの長さの木板を揃えるのは、かなりの費用を要したに違いないのだが、小さなベンチを横に並べるよりも、大きなベンチをここに並べる必然性があったのだと思われるのだ。



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バスの待合に利用されているのだが、この背板のせり上がり方に注目していただきたい。座って、後ろへゆったりと体重をかけることができるほどに、大きな背の部分が確保されていて、見るからに立派であるのだ。こうなると、格式の問題ではないかと思われてくるのだった。久屋大通公園という、名古屋市の中心に位置し、公園自体も巨大であるからには、パーク・ベンチも巨大でなければならないと発破が掛かったのかもしれない。

 

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