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2019/01/19

Bench 58−ベンチ好きの街と呼べるような都市があるのだ

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駅前ベンチには、その都市を象徴する形のベンチが用意されている。岐阜駅の場合は、長良川の鵜飼を乗せる手漕ぎ舟だ。このようなローカル色とは別に、駅前広場のベンチには、近代特有の機能主義的な趣向が出てきやすいことは、以前に指摘したことがある。駅前広場には、立ち止まって見てもらいたい意向と、混んでしまうことを避け、立ち止まって欲しくない意向とが錯綜する傾向がある。ベンチにそれが現れる場合がある。岐阜駅前が、まさにそのとおりであり、しかも他の駅前にも増して、この迷いを拡大して見せている点で、注目すべきであると思われる。



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岐阜駅前には、二つの種類の広場が用意されていて、極めて贅沢な公共広場を構成している。ひとつの広場には、通り過ぎて欲しい広場となっている。だから、例によってキマワリ・ベンチが大勢を占めている。場所をとらず、効率的に人を休憩させる。もっとも、岐阜駅では最大限の歓迎の意味が込められて、印象深い、黄金に輝く「織田信長像」を配して、どうぞ通って行ってくださいとメッセージを発信している。



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もうひとつの広場というのか、それはもう公園の趣のある場所なのだが、「やすらぎの里」と名付けられていて、どうぞ滞在して休んでいってくださいという雰囲気なのだ。



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ここへペデストリアン・デッキから降りてしまうと、もう一度この跨線橋の歩道へ登ってこない限り、他の場所への移動はできないことになっている。つまりは、閉鎖的な滞在型公園がそっくり駅前広場の真ん中を占めているという趣向なのだ。



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ここには、ゆったり座る型の背板の立派なベンチが数多く設置されている。整備にかなりの費用をかけていることのわかる、贅沢な駅前公園なのだ。



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このように機能を二つもち、さらにそれぞれにこれだけ手を加えることのできる余裕のある自治体はそう多くはないだろう。けれども、そのために多様な種類のベンチが開発されることには、まずは喜びたいと思っている。駅ナカの待合ベンチといい、駅前広場のベンチといい、街中のロードサイド・ベンチといい、そして金公園のパーク・ベンチなどなど、岐阜にはベンチ狂いとでも呼べるような雰囲気が横溢しているのを見たのだ。

 

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。