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2019/01/19

Bench 53−ベンチは余裕を作り出す細やかな道具なのだ

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金公園には、大正15年製造の「名鉄モ510形電車」(通称丸窓電車)が設置され、保存会が組織されている。夜には、この電車の中に、イルミネーションが点滅するそうだ。わたしはベンチをもっぱら鑑賞していたのだが、途中何人かの鉄道ファンらしき人びとが、遠目・近目にぐるぐると回って、この電車を熱心に鑑賞していた。

 

この旧美濃電の保存に一役かっているのが、やはりこのパーク・ベンチだ。この電車の中が公開されているときには、あるいはイベントなどがあるときには、鉄道ファンが集まってくるのだと想像できる。現に、今日は公開日でもないのに、電車のまわりを何回も見て歩くマニア風の中年男性に出会ったのだ。押しかけたファンたちが電車の入り口で待ち合わせや、乗れなかったファンが待つために使われているのが、このベンチだ。おそらく保存会の方々も、ここで待機するのだと思われる。だから、この電車の入り口にベンチが置かれている理由は、明白だ。


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ところが、もうひとつのベンチが電車の出口にも設置されているのだ。なぜ電車の中を見終わった鉄道ファンたちが出口にもベンチを必要としているのだろうか。これはおそらくファンになってみないとほんとうのところはわからないかもしれないのだが、じつは電車を見終わった後こそ、鉄道ファンがファンたる資質を充実させる機会なのかもしれないということを、改めて知った次第なのだ。

 

電車から離れ難いのであるのだが、それはここで、ファンたちの社交が始まるからであると、ファン以外の人びとで誰が想像するだろうか。もちろん、言葉を交わすのはほんの少数でしかないだろうが、このベンチで一緒に座って、余韻を楽しむだけ、それだけで良いのだ。ベンチとは、その余裕を作り出す、細やかな道具なのだと思われる。

 

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