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2019/01/19

Bench 43−かなり時間が掛けられている労作、待合の十字型ベンチ

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このベンチは、大向こうを唸らせるベンチだ。大作だし、工夫のあとが著しい。何とか賞を必ず取る、あるいはすでに取ったのかもしれないが、と予想されるベンチが目の前に現れた。今日と明日は、岐阜と名古屋へ出張で、街中をあちこち通過するときに、大量のベンチを採集できるのではと期待して、新幹線に乗ってきたところだ。ところが、新幹線の中からでは当然のことだが、名古屋で東海道線に乗り換えて、車中からの景色の中にはいつもにも増して、ベンチが現れなかったので、意気消沈していたのだった。しかし、岐阜駅のホームからの階段を降りてきて、このベンチに出会ったのだった。

 

何が素晴らしいのかといえば、まず一基の大きさがかなりの規模で、これまで出会ったベンチの中でも大きな方であることが魅力である。延べで見て約20名もの人びとが一度に座ることができるのだが、コンパクトに畳まれていて、スペースを取らない構造になっている。狭い空間では必須の条件だ。さらに、十字型にデザインされ、シンプルではあるが決してみすぼらしくなく、人びとを呼び寄せる美しい形態を誇っている、などなどだ。

 


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よく見ると、いろいろな工夫が複合的に発揮されている。とくに、生産者の視点から見て、次の優れた点が目立つのだ。座面を構成している板に注目した。もちろん、一枚板で作られているわけではなく、多くの部材に分かれているのだが、複雑そうな部材に見せかけているのだが、実際には極めて少ない種類の部材で構成されていることがわかる。

 

まず、凹凸部分に注目すると、大小4枚の曲がった板で構成されていることがわかる。この4種類の板がそれぞれ12枚ずつあれば良い。またまっすぐの板材は1種類だけでよく、これが4枚で8箇所に配置されている。つまり、種類からいえば、5種類の部材しか使われていないことがわかるのだ。つまり、このベンチを作るのに、かなりの量産効果が期待できる構造を持っていることがわかるのだった。ここまで、省略された構造を持つように工夫されるには、ベンチ設計者はかなりの熟考を重ねたに違いないだろう。

 

極め付きは、十字形をめぐる座る部分が二重になっていることだろう。もちろん、テッペンの十字の凸部分にひとりで座っても構わないのだが、この十字の窪地を巡って、直角を囲んで5人がそれぞれ余裕で座れる構造になっている。つまり、社交が2から5まで柔軟に対応できることを示している。このような柔軟性を持ったベンチは、そう多くはないだろう。かなり優秀な、労作中の労作の十字型ベンチである。

 

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