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2019/01/09

Bench 40−近代ベンチがありうるとしたら、どのようなものなのか

1               原典はこちらから

ベンチに近代性というものを嗅ぎ取ることは、たいへんむずかしい。なぜならば、ベンチそのものが何となく、近代以前からあって、近代性から外れて出てきたように思えるからである。ふたり以上で腰掛けるということ自体、近代の個人主義にそもそも逆らっていると言えるのではないだろうか。

 

それで、ベンチそれ自体というのか、ベンチの内生的な近代性はむずかしいとしても、周りとの相性から近代性を探ることができるかもしれない。と思っていたところ、ちょうどO氏がわたし用にと東京都写真美術館の写真をプレゼントしてくださった(O氏の写真美術館のブログはこちらから)。それが冒頭の写真だ。まさに、このベンチなどは近代的、モダンな感じがプンプンとしてくるベンチだと思われる。

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周りから攻めて考えるという点でいえば、O氏の同じブログにあがっている他の二つの写真(上掲のものと下掲のもの)が、このベンチが近代的であることを傍証しているのだ。ひとつには、食堂・喫茶店の中に写っているトーネット椅子だ。曲木椅子の典型例であり、木を曲げたことで、部品が3つだったものが1つの部品で済ますことができ、さらに職人の手間と時間が省かれたという、近代椅子の典型が写真美術館では採用されているのだ。同じ趣向で選ばれているといえる。

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さらに、ふたつには、ベンチと同じ写真に写っている一人用のスツールは、有名なアアルト・スツールであり、さらにもう一つのオープンな広間にテーブルと一緒に写っている、背板の付きの椅子もアアルト椅子なのだ。アアルト椅子は、トーネット椅子に輪をかけて効率的な生産のできる椅子として有名であり、スツールの部品はわずかに3つの部材でできている合板椅子の最高峰なのだ。シンプルさを強調した椅子の中でも飛び抜けているといえる。

 

さて、ここから推測されるのだが、これらのトーネット椅子とアアルト椅子とのバランスを保つことが、この写真美術館に設置されるベンチの使命となったのではないかと想像されるのだ。ベンチの選定者にその圧力がかかったことはほぼ確実であるといえよう。その結果、ここに採用されたベンチは、このような近代ベンチの典型のようなベンチとなったのだ。生産者側から見て、部品が少なく、手間と時間がかからない。消費者側から見て、デザインがシンプルである。これらが、さしあたり近代椅子・ベンチの要件なのである。O氏の近代ベンチ採集に感謝する次第である。(O氏の東京都写真美術館行きのブログはこちらから

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