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2018年4月に作成された投稿

2018/04/11

ブルーノ・ムナーリ展をみる・きく・よむ

Img_4206_2 この前から、ムナーリ、ムナーリといたるところで言ってきたら、なんと本当に展覧会が家の近くで開かれることになった。Img_4190 こんなことは珍しいのだが、このところわたしはサインを求められることが起こっていて、そのとき互いの名前を書くだけでは殺風景だと思い、言葉を添えることにした。そのとき、選んだのが座右の銘としている、写真のムナーリの言葉だ。もちろん、そのままでは芸がないので、少しは変えているのだが。

 

Img_4261_2 午前中、風がさっと吹き出したかと思うと、雨が伴ってきて、春の嵐になりそうだった。そこで仕事に精を出すことにして、今日は散歩を諦めていたのだが、昼過ぎになって、薄日が出てきた。Img_4185_2 すでに、2時過ぎとなっていたが、家を出て急行に飛び乗り、乗り換えなしに「新逗子駅」へ。ここから海岸通りの景色を眺めながら、20分ほどでバス停「三ヶ丘」の県立美術館に着く。

 

Img_4187_2 日本の抽象絵画展も同時開催されていたが、その奥に展示されている「ブルーノ・ムナーリ展」へ向かう。まずは、未来派としてのムナーリが現れる。卒ない真面目な抽象画が並ぶ。そして、有名な「役に立たない機械」が6体ほど、設計図を伴って展示されている。Img_4269 このあたりから、この展覧会の一つの山場である「陰と陽」シリーズ、そして具象芸術運動に加わる時代に入ってくる。「陰と陽」では、とりわけムナーリの本質的なことが描かれていると思った。

 

Img_4268 第1に、正方形などの基本的な図を重視している。第2に、基本から始まって、次第に複雑になっていく過程がつながっている。第3に、文脈や脈絡などの関係を重視している。第4に、構成そのものが重要で、内容や中心は二の次である。第5に、シンプルさのおかげで、絵本などの表現が豊かに描かれる。

 

Img_4266 絵本のシンプルさは、結局のところ、ムナーリの「コミュニケーションの時代」の象徴だと思われる。コミュニケーションの相手に、言葉多く説明することはかえって不親切であることは日常よく起こることだ。同様にして、シンプルな表現の方がコミュニケーション相手の理解を増す。むしろ、相手の想像力を引き出すような、あるいは想像力を使わなければわからないような表現の方が、「わかる喜び」をもたらすものだと言えるのだ。Img_4267 この辺は、じっさいに展覧会を見てのお楽しみ部分なのだが、コミュニケーションとは何かを教えてくれる。「どれほどの多くの人が月を見て人間の顔を連想するか」とムナーリは言っている。月のシンプルさが多くの人間の想いを生み出してきたのだし、同じ想いを抱く人びとを結びつけてきたのだ。欠けているところがあってこそ、コミュニケーションというものは成り立つ。

 

Img_4265 デザイナーはかならず、椅子のデザインを残すものだが、ムナーリの椅子はやはり「役に立たない」系の椅子だった。「短時間訪問者のための椅子」という表題がついている。この写真ではわからないかもしれないが、座面は薄く斜行していて、到底長く座ることができない代物だ。座ることができなければ椅子ではないのか、と問うているのだ。これも椅子なのだ。

 

Img_4235 2時間ほど、じっくりと展覧会を見ていたら、外の激しい風の音がいつの間にか止んで、代わりに逗子の海岸のいつもの波の音が聞こえてきた。Img_4248 春の海はまだ冷たく激しいが、サーファーたちは物ともせずに、海に漂っていた。犬の散歩はいつもみるように、欠かさずに行われ続けていた。夕陽が海に反射して眩しかった。

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帰りのバスを降りると、Img_4260 バス停前にドーナツ屋さんが出来ていて、ガラス窓の中のショーウインドウに魅せられて、そのまま店の中へ吸い寄せられた。Img_4259 シナモンときなこをそれぞれ一つずつ袋に入れてもらった。Img_4263_2

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。