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2018/03/01

今年度も図書館へこもる季節が終わった

Img_38682月は、毎年大学テキストを書く月間となっている。こんな日々が続く。「ゆっくりと起き上がった。背中が痛い。ドアを開け、トイレへ行った。この言いようもない疲労感ほど耐えがたいものはなかった。ほとんど吐きそうなほど気分が悪かった。年とともに我慢できないものになってきた。顔を冷たい水で洗った。鏡に映る自分の顔を見るのを避けた」という暗い文章が続くのだ。相変わらず、刑事ヴァランダーが難事件を抱えて、次々に起こることをなんとか結びつけようともがいている姿と重なる日々だ。Img_3864


この小説はスウェーデンでも南部のデンマークに近いイースタ地区を舞台としている。それで、ときどき厚手のセーターを持ってきていたらなあっというセリフが1冊の中に何回か出て来る天候なのだ。こんな小説から顔をあげることができないような日々が続いたのだ。

Img_3857けれども、今朝こもっていた図書館から、すべての原稿を編集者にメールで送って、ようやく「顔を冷たい水で洗った」状態へ到達したのだった。この図書館には、フレッシュ・ルームなる部屋があって、週刊誌・月刊誌が揃えられ、仕事に疲れた時には、意味のない写真を次々にめくって、フレッシュな気分にしてくれる。Img_3871

先ずは、朝淹れてきたコーヒーを飲むのだ。この仕事は、もしコーヒーがなかったら、決して成り立たないのでないかと思うほどだ。

そして、地下の文芸書の書棚をたどり、最後の図書番号のところまで来ると、詩歌のコーナーだ。目をつぶって、えいやっと探り出した本を開いて、その一節を声に出して読む。

Img_3855まだ、図書館には人はいない。静かな文芸書の部屋では、声さえも本たちが吸収してしまう。音を吸収する本の虫がいるのだ。

地階から1階に出ると、貸出・返却コーナーがあり、検索パソコンが並んでいる。コーナーに続く大部屋が、この図書館のメインルームだ。主だった専門書は、新しいものを中心に開架式におかれていて、手当たり次第に持ってきて読み散らかすのに最適な部屋だ。しかし、この部屋は原稿を書くときには使わない。

Img_3858Img_3872もう1階上がって、3階の参考図書コーナーの横にある、2階の大部屋に張り出したように見える不思議な大きな屋根裏部屋みたいな空間があって、2階の吹き抜けの雰囲気も伝わり、勉強をする人々の息遣いも聞こえてきて、なおかつパソコンを使っても良いように電源も用意されている。その最後のコーナーがわたしの専用に使っている席なのだ。

Img_3873この席は、空間が上から下まで続く、20メートルほどの吹き抜けの中間に位置していて、正面の四角い窓から、枯葉の残った冬技が見える。その先には、晴れた日には青空が見えて、数十メートルの眺望を得ることができるのだ。手を上にいっぱいに伸ばして、腰を前に出して、一服するには、この眺望は欠かせない。手を休めたときには、水分補給で、またコーヒーポットが手に触れるのだった。

Img_3879こうした日々も、今日で終わりだ。自分だけの世界から出て行く世界があるのも、やはり救われる気分になるものだ。帰りに、いつものコーヒー豆屋さんへ寄って、明日からの外の世界との交流に備えよう。

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