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2018/01/06

仕事始めの京都合宿

Img_0727 今年も仕事始めは、京都からだ。修士論文審査と大学院ゼミナールが開かれる。往きの新幹線の中では、相変わらず北欧ミステリー「ヴァランダー警部」が時間を埋めてくれた。曰く「この事件には、パターンがない。自動車事故に見せかけた父親の弁護士が殺された事件と、数週間後息子の弁護士が銃殺された事件の間には、目に見える関連性はない。息子の死は父親の死の結果に続くものとは限らない。順序が逆かもしれない。リードベリーが最後の頃に言った言葉を思い出す。殺人事件の捜査で暗礁に乗り上げたときのことだ。『原因が結果の後からわかる場合もある。いつでも原因の後に結果があるわけではない。警察官は逆も考えることができなければならない』」という、仕事始めから、何やら波乱含みのスタートとなる予感があった。

 

Img_0737 今年も、不確実で、ちょっと先が闇の世界が支配している状態から出発するというご託宣だ。修士論文に取り掛かったころには、みんなが感ずるのは、このような不確実性だ。何が原因で、何が結果なのかわからない。それどころか、事実の過大な姿に圧倒され、原因・結果を考えることすら、忘れるくらいだったことだろう。このようなときに、どれだけ柔軟な考え方ができるかが、かなり重要なことだ。

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今年は、この半月間で17本の修士論文審査を行う予定になっている。まずは、関西方面の方々から提出された4本を今日審査しなければならない。多彩な論文が並んだ。

 

日本の生産力の変化と就業形態の変化と高齢化

ワイマル共和国のもとでのナチス台頭

地方空港のナイトスティ機とストロー効果

企業におけるインターンシップの有効性

 

Img_0740 放送大学では、学生が論文テーマを選択し指定するために、盛り沢山と感ずるくらい多様な論題がどうしても多くなってくるのは仕方ないことである。この中で、経済とは関係ないと思われる「ワイマル共和国のもとでのナチス台頭」がなぜわたしの審査を受けるのか、不思議に思う向きもあるかもしれない。簡単にいえば、学生はプログラム全体で承認されるので、その後どの先生が担当するのかは、かなり未知数なのだ。けれども、当時の経済的・政治的社会構造については、十分に社会経済学のテーマになりうることはわかっていた。

 

Img_0755 わたしは、阪大にいた友人の故K君がフランクフルト学派だったので、何度かアドルノやハーバマスやアーレントの議論は行っていて、今回も昔懐かしい議論を振り返ってみたかったということがあったのだ。それを楽しみにして引き受けることになった。Img_0746 今回の論文の作成者Ka氏は期待通りに、大著を次々に読みこなし、それらを丁寧に読み解いて、緻密な修士論文を完成させたのだった。Img_0753 近年の海外文献を多少議論し残したのは残念だったのだが、それでもわたしにとっても、たいへん興味深い内容の議論ができたのだった。わたしにとってもK君との思い出が至る所で呼び起こされて、不思議な体験を何回も受けたのだった。論文作成には、このような覚醒の効用のあることも知ったのだ。

 

Img_0749 今日はまだ4本だったので、夕方の京都散歩を楽しむ余裕ができた。K君と会うときに利用していた料理屋が、またオーナーが変わっていて、地元のビールを出す店になっていた。様子を見ながら、いつも座った賀茂川に近い中庭に席を占める。一乗寺ブリューワリーという地ビールIPAを頼み、K君との議論を思い出したのだった。ビールは旨かったのだが、ピザがそれほどではなかったので、場所を変えて食事を探す。

 

Img_0757 一人で食事をするところは限られていて、やはり長く落ち着けるところにおさまることになる。年末にも過ごした姉小路のKocsiへ向かう。4人掛けのゆったりした席を一人のために用意してくださった。ここの食事は、パンを基本としていることもあって、スープやシチューなどの日替わり料理が多いのだが、中には今まであまり挑戦したことのないものもメニューにあって楽しめる。Img_0759 今回はアヒージョを選んだ。「ベーコンとキノコのアヒージョ」で、ニンニクの効いた汁にパンをつけて食べたら、という趣向だ。グツグツと煮えたぎった小皿が届いて、オリーブオイルがたっぷりと入っている。Img_0762 本来のニンニクの強烈さは、実は次の日になってようやく身体に現れるほど、密やかなものだった。この料理でも、そして今年全体を占って見ても、「原因」と「結果」が後からわかるような、一年の始まりとなったのであった。Img_0731_2 Img_0734

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。