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2017/12/21

横須賀美術館で伊藤久三郎展を観る

Img_0504 午前中、放送大学総務課から呼び出しがあって、東京文京学習センターの中にある放送大学の東京オフィスで会合があった。余裕のある時間に家を出たのであるが、京急線が遅れてしまって、品川近辺で止まってしまったのだ。一つの電車が遅れると、玉突き式に次々に乗り換える電車ごとに遅れてしまい、途中挽回できないまま、ついに遅刻してしまった。案の定、そのあとは悪いことが続いた。

 

Img_0445 午後、失地を回復しようと、かねてより妻と約束していた横須賀美術館行きを実行に移す。本来であれば、逗子市にあるいつもの店へ、美味しいパスタとピザを食べに回るのであるが、その店が残念なことに秋に閉店となってしまったのだ。それで、今回は美術館の中にある、イタリアンの店に変えたのだった。まずは腹拵えしてからということで、ランチで混んでいる店へ入る。海鮮の具が美味しかった。

 

Img_0512 企画展は、京都の抽象画家の伊藤久三郎だ。普段観ることのできない、個人蔵のものや、他の美術館からの出展のものも多く、充実した展覧会だった。全部を見終わってから、妻と珍しく意見が一致したのだった。それは初期の頃の作品がよかった、という感想だった。もちろん、単なる感想なので、観る人がみれば、やはり後期の抽象度の高い「キャタピラー」や意味不可解な「KOPFFUSSER」の方に軍配が上がるのだろうが、印象は印象なのだ。

 

Img_0507 初期のものにも、抽象画と同じようなモチーフが出てくるのだが、最初の方が活き活きとしているように思えるのだった。たとえば、灰色の使い方に独特なところがある。初期には、思わず灰色なのだが、後期になると意識的・意図的に使われた灰色が濃厚になってくるのだった。

 

Img_0501 日が落ちるまで、まだ時間があったので、美術館の図書室で資料を散策する。年賀状の図柄を決めていたのだが、なんとなく地味な感じがしていた。ここの資料室には、英国ウィリアム・モリスのケルムスコット書の数万円する復刻版がおいてあった。Img_0519 それを見て行くと、大方は見たことがあったものなのだが、一つ晴れやかな真っ赤な花のついたNのイニシャルをかたどったものが急に目の前に現れたのだった。これを来年の年賀状にしようと決める。コピーを撮ろうとすると、カラーコピーは行っていないというのだ。それでも、なんとか手に入れて、来年の図柄が決定されたのだった。

 

Img_0462 それから、モリスのデザイン書の隣には、たぶんこの横須賀美術館でも企画展が開かれたことがある、イタリアのブルーノ・ムナーリの絵本がおかれていて、その中の詩が素敵だったのだ。

 

子どもの心を 一生のあいだ

自分の中に持ち続けるということは

知りたいという好奇心や

わかる喜び

伝えたいという気持ちを

持ち続けるということ

 

ブルーノ・ムナーリ

 

第1に、「知りたいという好奇心」、第2に、「わかる喜び」、第3に、「伝えたいという気持ち」というまさに三段階説が実現されている詩なのだ。僭越ながら、同じことを考える人が時空を超えているのだな、と共感してしまったのだった。


Img_0463Img_0469Img_0439 Img_0475 Img_0465 Img_0563

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なぜか、横須賀へ来ると、帰りのバスはしあわせのバスとなる。富士山が見えようが、見えなかろうが関係なしに、海岸は波を作り出しているし、ヤシの木は風をいっぱいに受けているし、街は人の息吹を自然に伝えているのを観ることになって、帰りの電車はアイディアをエネルギーとして、それこそこの時とばかりにガタピシと動き出して行くのだった。

 

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。