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2017/10/30

「海の青さに空の青」の沖縄

Img_3401 「海の青さに空の青」というイメージで、沖縄へはいつもは向かう。ところが、今回ばかりは、台風22号の風雨で、この青さには接することができないらしい。そこで、うちの中で楽しむことのできる沖縄料理に徹することに決めた。

 

Img_3412 1日目の夕食は、沖縄に住んでいる友人T氏が東京に住んでいる息子さんS君を一緒に連れて来て、那覇市栄町市場にある沖縄料理の店「パヤオ」にて食事。パヤオとは素敵な名称なのだが、フィリピンでの浮き漁礁のことで、これが海に浮いていると、その下に魚たちが集まって来るのだそうだ。まさに、そのような雰囲気の店だった。

 

Img_3413 T氏とは中学時代から一緒に育って来ていて、結婚も同じ頃にしたし、彼のシンポジュウムに招かれたり、わたしの授業番組に出ていただいたりして、共通の話題がたくさんあり、もちろん食事をするよりも話をしている方が多いのだが、今回は料理も十分に楽しんだのだ。息子のS君は好青年に育っていた。沖縄へ戻って来て、この湿気を吸った、ちょっと気温の高い気候がとても良いと言っていた。そのような感覚が地元出身の人びとの中にはあるのだな、と彼の感想に好ましさを感じたのだった。Img_3414 彼が幼少の頃に、やはりわたしが沖縄に来て、T氏の奥様も一緒に食事をした記憶がある。酒はT氏がボトルキープしていた、那覇の泡盛「瑞泉」を水割りでいただく。結局、彼は最終バスがなくなるまで、一緒に飲んでくれたのだった。

 

Img_3421 じつは、2日目も彼と食事をした。前から気になっていたという店が、やはりホテルの近くの栄町にあって、そこでは山羊料理をイタリア料理として出していた。「ル・ボン・グー」というまさに山羊中心の店だ。ロビンソン・クルーソーが孤島で、家畜を飼っていて、確か山羊だったと思われるが、やはり島には山羊が似合うと思うのだ。断崖絶壁の草を食んでいる構図は、想像するだに、興味がわく。野生のように放牧された、沖縄の山羊はさぞかし美味しいのだろうと来店したのだ。Img_3425 予想に違わず、山羊肉の入ったカルパッチョには山羊の粉チーズまでかかっていて、香りはかなりキツかったのだが、美味しい夕食となった。その後も、山羊尽くしが続いた。この歳になってくると、T氏と互いに、人生の苦しいことも楽しいことも両方あって、それぞれ乗り越えて来たという感慨があるのだ。とついつい、老人の会話が続くのだ。

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3日目には、ようやくにして、本来の仕事である面接授業を1日分だけはたっぷりと行ったのだ。少しでも仕事になって良かったと思ったのだ。そして終了した後、沖縄学習センター所長のT先生と、沖縄料理の代表的な居酒屋で、丸ビルへも支店を出している「うりずん」へ行く。このうりずんという言葉の響きもとても良い。2月から4月の潤いたつ季節を表した言葉だそうだ。ここでも、島らっきょう、チャンプルーなどの沖縄特有の料理を堪能した。T先生がキープしている酒の甕には相当な年季が入っていた。すでに40年あまり、この店に通っているのだそうだ。

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Img_9101 最後の日には、午前中に仕事を早々に済ませて、午後は国際通りから、牧志公設市場あたりを散策する。まず妻から頼まれていた菓子「サーターアンダギー」を買う。その店は、午前中で完売するほどの人気店のところで、卵黄がそのまま菓子の中核部分の黄色を決定していた。沖縄の母みたいな方が出て来て、おまけだといって、もう一つを紙袋に入れてくださった。それをつまみながら、公設市場の一階の魚屋や肉屋などを見てあるいたのだ。

 

Img_9110 市場の向かいにある店を見ていると、こんなところに古本があるのだという店を見つける。「ウララ」という店で、一間ほどの狭いスペースに下から上までぎっしりと古本・新本を並べている。とくに、注目される店先には、「世界の市場」とか「日本の市場巡り」などの市場本と店主が書いた本が置いてあった。Img_9107 興味を覚えて、奥の書棚を覗いてみると、沖縄出身の「山之口獏」の詩集が置いてあった。フォーク歌手の高田渡が歌っていたことで、わたしは知っている。その高田渡がプロデュースしたCD「獏」が売られていたので、購入した。Img_9122_2 最後に、「生活の柄」という詩が入っていて、沖縄民謡歌手の大工哲弘が歌っていて、高田渡の内地的歌い方に比べて、ウチナンチュー的な歌い方になっている。Img_3481_2 高田渡の歌も悪くはないものの、作った本人よりも本人らしい歌の歌い方というものがあることを理解したのだった。Img_9121 ベターっと大地に寄り添うような、湿気たっぷりのウチナー的情緒いっぱいの歌に変わっている。

 

Img_9156 昼食は、市場の近くを歩いていて見つけたのだが、並木の素敵な壺屋町の自然食店「Mana」で、自然食の日替わりプレートを食べる。当然のように、女性たちが時間になるとわっと入って来た。Img_9139 美味しさを楽しむというよりは、自然さを楽しむという食事だった。身体の中がすっとして行くような感覚がある。そのあとは珈琲だ。向かいの喫茶店「Mahou Coffee」にて、アメリカン風味のコーヒー。すっきりとした苦味系の味だ。Img_9140 この近辺には、ギャラリーや雑貨屋やDIYの店が多く、以前紹介した絵本「きょうはパーティのひ」を店先に並べている絵本屋さんもあって、1日を十分に過ごせそうな街だ。つまりは辺境の街なのだ。

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ここを右に曲がり、もう一度右に曲がり、さらに、小高い希望ヶ丘公園と、ハイアットリージェンシーホテルに挟まれた急な坂道を登って行くと、両側に不思議な飲み屋さんやブティックが並んでいて、そして行き着く先に目指す「桜坂劇場」という名画座、カフェ、カルチャセンターのビルに当たる。Img_9134

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出張先で映画を、という習慣を忠実に実行すべく、東京で見逃していた映画「ギミー・デンジャー」を見る。映画「パターソン」が同時に公開されたので、こちらの映画はスルーしていたのだ。ロック歌手ギミー・ポップをジム・ジャームッシュ監督がドキュメンタリーで描いた作品だ。Img_9168 60年代から今日に至る、ロックの「危険」性を扱っているのだが、このように社会の中で相対化されると、ちっとも危険ではなかったといえる。ロック歌手の常道で、人気が出て、薬に溺れ、心と健康と家族が崩壊するのだが、ギミーの場合には、このあと復活するのだ。当時はこのような状況が見えなかったので、みんながギミーの方向性を危険だと考えていたのだが、時代が変われば、「危険」という考え方もかなり変わるということだ。

 

Img_9100 最後に、駅のコーヒースタンドで、「35」珈琲を購入し、飲みながら沖縄での生活を反省する。パンフレットによると、この珈琲は風化した骨格珊瑚を利用したサンゴ熱で焙煎されているらしい。Img_9198 カルシュウムの乾いた感触を思わせる、これもさっぱりした苦味系の味だ。沖縄から珊瑚を持ち出すことが県の漁業法で禁止されているので、地域特化のコーヒーといえる。現地でしか、生産が許されないのだ。そして、この代金の3.5%が珊瑚礁再生・保護に寄付されているということだ。フェアトレード的手法だと思う。「何気ない1杯のコーヒーで沖縄の海にサンゴが増える」というキャッチコピーは泣かせる。これはアイディアだ。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。