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2017/06/24

盛岡でスクーリング第1日目

Img_2171 盛岡の繁華街に宿を取ったのだが、小さい静かなホテルに当たった。到着サービスで、安比高原のアイスクリームがついていて、部屋に入って、甘みをとったら、気分が落ち着いた。今日の午後、K大学で貨幣の話をしてから来たので、今回の木の話へと頭の中を転換させなければならなかったのだ。Img_2177 ここ盛岡では梅雨の時期にも関わらず、二日間雨に降られることなく、繁華街から20分ほど歩いて、岩手大学正門に入った。小川風の人工溝がずっと通った、ゆったりしたメインストリートを少し歩いたところに位置する附属図書館の3、4階に、岩手学習センターがある。

 

Img_2179 今回のテーマも、木製椅子の経済学なのだ。じつは岩手学習センター所長のH先生は、林業学がご専門だ。そこで、不躾ながら「樹木」に関連して質問をし、答えていただいた。たとえば、家具には広葉樹が使われるのだが、植林などで植えられるのは針葉樹が多いのは何故なのか、とか。Img_2178 岩手では、面積が広く、林がたくさんあるにもかかわらず、家具製造所が少ないのはなぜか、などだ。関連して、広葉樹につく害虫の話や、国有林の話など幅広くお答えいただき、たいへん興味深かった。

 

Img_2190 この面接授業のシリーズでは、授業の始まりに、受講者の方々が椅子についての体験を、自己紹介に併せて喋ることになっている。今回も、それぞれの半生に渡る興味深い椅子の話をたくさん聞くことができた。どこで椅子に座るのか、というのは体験の中では極めて重要で、家庭内での椅子体験を述べるかたが多かった。でも、男性ではやはり職場での体験が目立った。Img_2180 職場の椅子には出世とパラレルな等級がある。また、家庭で座るような椅子は、それなりに歴史や部屋との調和が重要な意味を持つ。中でも、「父親が作ってくれた椅子」の話は印象的だった。兄弟で使い回しをして、いわば椅子が家族関係を結んでいると言える話だ。

 

Img_2183 それから、「自分の椅子」に出会いたい、という欲望には強いものがあることを知った。受講生の中には、これから購入を考えている方もいらっしゃって、授業では名作といえる近代椅子の典型を数多く紹介するので、いわばお見合いのような契機を提供しているかの錯覚にとらわれたのだった。Img_2188 講義の後には、きっと良い椅子の「パートナー」を見つけてもらえるかもしれないと思ったのだった。パートナーという目で、椅子を見ると、以前は好みでなかった椅子が、いつ間に、自分の椅子になっているという現象を報告した受講生もいらっしゃって、こうなると、本当に「マイチェア」ということがありうると思えてくるのだった。Img_2196 身体と椅子の関係についても、話は尽きなかった。自宅の椅子の写真集を持って来てくださった方もいたのだった。

 

一日目の夕方には、Aさんが会長を務める岩手学習センターの「学友会」がわたしとの懇親会を開いてくださることになった。Img_2191 学習センターから歩いて、駅近くの居酒屋へ行くことになり、雑談をしながら移動した。途中、北上川に隣接した材木町というところで、街の両側いっぱいに、土曜日の「与市」が立っていたので寄って行くことにする。宮澤賢治が「注文の多い料理店」を出版した光原社のある街である。宮澤賢治の銅像があり、さらにセロ弾きのゴーシュをイメージさせるチェロの銅像も置かれている。Img_2195 りんごとぶどうを混合したワインが売られていたので、これから飲みに行くのにもかかわらず、つい購入してしまったのだった。骨董屋さんの店先で、一緒に歩いていた学生の方が、17世紀頃のウィンザーチェアの骨董を見つけ、しばし観察会となったのだった。

 

Img_2192 光原社には、後からもう一度訪れた。わたしが松本の「ちきりや」で購入を続けている、出雲の白磁作家石飛氏の作品が数多く展示されており、これらをじっくりとみる。Img_2189 もう一人、白磁作家の五十嵐氏の作品も展示されていて、こちらのポットも持っているので、僭越ながら興味深く双方の作家を比べてしまった。経済学を学ぶ者としてはこの二人の値段がほぼ2倍の開きがあり、この違いについて、想像力を羽ばたかせたのだった。

 

Img_2194 別棟では宮沢賢治の手紙や原稿が展示されていた。長岡輝子さんの朗読する賢治作品のCDをしばし聞いた。二階の展示では、最近出回っているのをよく見るようになった、アジアのウォールナット製コーヒーメジャーを購入する。その横で、授業でも詳しく取り上げた、ハンス・J・ウェグナーの椅子、Yチェアやエルボーチェアなどが展示販売されていた。わたしはデンマークデザインの広まりという、一般的な考え方から捉えていたのであるが、こうして見ると、なるほどこれも民芸的な要素をかなり持っているなと改めて認識したのだった。Img_2193_2 昨年秋に出たばっかりの、柚木沙弥郎氏が絵を描いている絵本「雨ニモマケズ」も買ったのだ。小学校時代に祖父の家が破産して、父が遠くへ赴任していた時代に、母が父の所蔵本からこの詩を見つけて来て、家族三人で復唱した記憶が蘇って来たのだ。

 

Img_2182_2 懇親会で、学友会の方々は、わたしの書いたこれまでのテキストを持って来て、見せてくださった。よく勉強した跡が濃厚にわかるテキストが多かった。付箋の数が夥しいもの、赤い下線の目立つもの、マーカーが横にまではみ出して来ているもの、各章ごとに目次を付箋として付けられているもの。感激した。Img_2184 何かメッセージを書いて欲しいと言われて、それぞれ二つの異なる傾向の言葉を記したのだった。ひとつはわかりやすく「つねに好奇心を!」というもの、もうひとつはわかりにくいが、意味深の「怠惰なる好奇心」というヴェブレンの言葉。Img_2173 これだけわたしの書いたものを読んでくださる方々へは、月並みの言葉は書けなかったのだ。懇親会では、最初はワインを飲んでいたのだが、ホテルに当地ワインのエーデルワインを残して来たことを思い出して、途中から学生の方からオススメの地酒辛口の「あさ開」に変える。Img_2198

 

学友会の方々とは、そのまま駅前で別れた。Img_2200 宿の近くの中津川沿いにある、蔦の絡まる、というよりも、蔦で家ができているような喫茶店「ふかくさ」へ行く。Img_2201 老年のピアノ弾きが喋りながら、片手間に曲を弾くのだが、年季が入っている分余裕のある曲想を奏でていた。酔いを覚まして、コーヒーとケーキをいただきながら、一日を振り返った。Img_2207 ついには、雑感を記して来た、ノートの余白がなくなってしまったのだった。Img_2205

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。