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2016/10/27

夜行バスで関西観光

Img_4604 忙しい合間をぬっての観光ほど、楽しいものはない。まるで、夢を見たような数日なのだ。難題の書かれた注文票が目の前に何枚も並べ立てられてたのが、急に取り払われて秋の快晴青空がずっと見渡すかぎり広がっていったという気分にしてくれる。数日後に卒論の締め切りが迫ってきていて、このところ連日、学生からの草稿が届いていた。今日までに届いたものは、ようやく夕方までに返事を出した。Img_4610 もう一人いらっしゃるが、直前にメールが来て、送付が来週になりそうだというので、身軽になった気持ちで旅に出たのだ。卒論にとって、最後の1ヶ月は重要な熟成の期間なのだ。じっくりと攻めていただきたいという思いがある。今年の卒論生は優秀で、ほぼ全員が1ヶ月前までにほぼ8~9割の完成原稿を送ってきていた。わたしにとっても、余裕のある季節となった。

Img_4589 夜行バスでの関西観光という強行軍を、妻が提案してきたときには、ほんとうに体力がもつのかわからなかった。閉所恐怖症ということはないのだが、ふつうに狭いところはダメだ。そして、このところの夜なべが続いていることもあり、さらに、昔から夜行列車が苦手だったということもあった。大学生の頃には、京都にいた友人のS氏を訪ねた帰りは、お金もなかったので、鈍行の夜行列車に乗ったのだ。Img_4591 ところが、寝台車と違って、普通席でしかも満席状態だった。覚えているのだが、長い列車の先頭車両の、しかも一番前の席だった。うつらうつらした後は眠れずに、デッキに出て、時間を潰したのを覚えている。

Img_4587 そんなこともあって、夜行バスで寝ることができるのか、という心配があったのだが、いざ乗ってしまうと、溜まっていた疲れのせいか、座席を倒して、あっさりと寝込んでしまったのだった。気がつくと、すでに京都、そして大阪で、早々に神戸の三ノ宮へ着いたのだった。骨は軋んでいたけれど、気分は爽快だった。Img_4609 昨年と同様に、さっそくパンのフロインドリーブで朝食を、と考えたのだが、残念ながら10時始まりなので、まだだいぶ時間がある。そこで、北野の入り口にある老舗の西村珈琲本店でモーニングセットを頼むことにする。ここなら、8時から開いていて、中が3階まであって、広くて、ゆったりとできる。

Img_4598 今日は直行で、淡路島へ行ってしまおう、ということにして、淡路島行きの高速バスを探すが、路線が3~4路線あって、競合しているし、三ノ宮の駅前のバス会社の位置がなかなかわからない。出発時間が迫ってきてから勘が鋭くなって、乗り場のビルをようやく見つけ、切符を買うのもそこそこにバスへ乗り込んだ。予定のない旅行の面白いところだ。関西だといっても、日本語なのでよく聞けば、理解できるのだが、年をとるに従って、聞く能力が衰えてきているのだろうか。右と左を間違える。Img_4634 妻の得意技が病的に移ってくるのを感じるのだ。バスが淡路島へ渡ってからが、かなり距離があり、いろいろなバス停をたどって、ようやくにして、「陸の港西淡」へ着く。時間がたっぷりあったので、周りを散策して、この辺唯一のショッピングセンターを見つけた。何を思ったのか、ここのビュフェで残した仕事を広げてしまった。仕事中毒も極まっているのを自覚する。

Img_4640 数時間後、宿へ電話をして、迎えに来てもらう。数分で着く距離かと思ったら、淡路島の一つの町村を横断するくらいの距離があり、運転手さんの説明を聞きながら、農村風景を楽しむことができた。今回はグルメ旅行という位置付けをしていた。中でも、今回の宿の「玉葱フォンデュの鯛しゃぶしゃぶ」という料理に執着しているのだ。この玉葱フォンデュとはいかなるものか、というのが、頭で考えてもなかなかイメージ出来なかった。Img_4652 だからこそ、味を体験したいという好奇心が湧いたのだった。玉葱は淡路島の特産物で、甘い果肉に特徴があるのだそうだ。車窓の両側に二毛作の田畑が広がり、ちょうど稲が終わって、玉葱が植えられ、いつも5月ごろに収穫が見られるのだそうだ。農家の話になって、特産品があっても、やはり後継者がいないので、生産性の良い畑もどんどん減っているのだそうだ。

Img_4653 宿に着くと、運転手さんが日の入りが綺麗ですよ、と海岸沿いの散歩コースを教えてくれた。道なりに坂を下って行くと、坂の下でちょうど日の入り時刻となった。瀬戸内海の向こうの島の間に日が沈んでいった。Img_4648 空は快晴だったのだが、日の入り近辺だけに雲が出ていて、複雑な模様を写していた。瀬戸内海は、波が静かで、潮の香りがほとんどしないという特色があるのだが、この海岸もその例にもれなかった。湖のような、波を聞きながら、世間の音を後ろへ追いやって、旅の音に耳を傾けたのだった。

Img_4680 さて、問題は「玉葱フォンデュの鯛しゃぶしゃぶ」なのだ。フォンデュはこんな感じで、言葉に表すことはできないのだが、チーズフォンデュと似ていないことはない。けれども、このスープをそのまま見た限りでは、チーズフォンデュとはまったく別物だ。Img_4687 鍋いっぱいに、半固形で濃厚そうな玉葱を摺ったスープが入っている。これを温めて、横の用意された贅沢な鯛の刺身でしゃぶしゃぶするのだ。スープだけでも美味しいのだが、しゃぶしゃぶにするともっと美味しいのだ。数年に一回は味わいたい料理である。Img_4685 これだけで、満足してしまった。いかにも味は美味しいのだが、目にも贅沢な料理だ。グルメ料理の要素である見せびらかしの要素を兼ね備えていて、素晴らしい。さらに、料理はこの後、鯛の姿焼きやあら煮、鯛の釜飯など、鯛づくしの楽しい献立が目白押しだった。Img_4696 それから、目にも良いという点では、意外にも、鯛の刺身についていた、淡路島の今朝採れた「レタスのしゃぶしゃぶ」が玉葱に合っていて旨いし、グリーンの色具合がよかったのだ。

Img_4704 この宿の料理の出し方がちょっと変わっていた。ふつう、料理は部屋ごとに、仲居さんが専門に張り付いて、同じ人が次から次へと料理を運んでくる。部屋付き仲居制なのだが、この宿は違っていて、料理付き仲居制をとっていた。Img_4702 料理によって、運んでくる仲居さんが異なるのだ。一つの料理に専門に一人の仲居さんがつくやり方なのだ。想像されるのは、この宿の料理では、それぞれの料理ごとに仲居さんが専門に行う作業が特別なのだと思われる。Img_4708 接客を中心とするサービスではなく、料理のためのサービスを中心にしている仲居制度を取っているものと思われる。それが証拠に、「玉葱フォンデュの鯛しゃぶしゃぶ」付きの仲居さんは、板場には入れないのだがと注釈を入れながらも、客に板さんが説明するときの口上を覚えていて、「玉葱フォンデュの鯛しゃぶしゃぶ」の説明に詳しかった。Img_4711 「玉葱フォンデュの鯛しゃぶしゃぶ」は仲居制度まで変えてしまうほどの料理なのだ。「玉葱フォンデュの鯛しゃぶしゃぶ」恐るべし。

Img_4715 もう一つこの宿の取り柄があって、それは鳴門大橋を見ながらの露天風呂だ。180度の視界が広がる中での入浴なのだ。泉質はアルカリイオンが含まれていて、肌がヌルヌルしてくる性質があり、身体中のシミそばかすが溶けていくような感覚がある。Img_4624 目をつぶって、瀬戸内海の空気を感じながら、頭を浴槽のヘリに預け、身体を温泉に浮かせていると、夢の中と間違えるほどだった。H県から来た農業委員会の方と一緒になったのだが、瀬戸内海を渡ってくる価値があるのだそうだ。栄養を取って、英気を養う旅となったのだ。Img_4690

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。