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2016/08/04

善光寺近くで、お昼に蕎麦を啜りつつ、面接授業を行う

Img_4371 長野市は古い門前町であるにもかかわらずというのか、門前町だからというのか、構造は極めてシンプルな形を取っている。脊柱のごとく、長野駅から善光寺まで垂直な「中央通り」が立っていて、真ん中あたりを水平な「昭和通り」が切っている。この昭和通りの西は長野県庁に至るし、東は長野市役所に至る。これら4象限に官庁街、商業街、ビジネス街、歓楽街などが収まっている。

Img_4356 今回の面接授業は、この中央通りと昭和通りが交差する、市の中心の場所に立っている「TOiGO-west」ビル3階で行われた。外国人をはじめとして、善光寺の参拝客が日差しを避けながら、このビルの前を通って、山門目指して登っていく姿を見ることができる。このビルには、長野市の生涯情報センターが入っていて、ここに放送大学の再視聴室なども入っている。今年は、わたしの担当する面接授業と同時に、放送大学の入学説明会も開かれていて、長野学習センターの職員の方も諏訪からいらっしゃっていた。

Img_4389 1日目の昼食は、隣のビルにある、やはり蕎麦屋さんへ。学生の方々と一緒に雑談しながら食べる。冷たいざるそばが喉を通っていくのは、この暑さの中ではほんとうに有難いものだ。じつは二日目も、中央通りを少し登ったところの蕎麦屋さんへ行く。経済学の林先生時代に修士課程を修了なさったK氏がこの長野市内に職場があって、授業の合間にいらっしゃるのかもしれないと思っていたら、彼の奥様がわたしの授業を取っていたのだ。Img_4368 それで、ゆったりできるこの蕎麦屋さんへ連れて来ていただいた。ところが、店に着くと、店の入り口には、すでに「準備中」という札がかかっていたのだ。Img_4364 そこは一応言葉を交わしておくべきだと思い、顔を入れて聞くと、二人なら構わないというので、良かったと胸を撫で下ろし席に腰を下ろしたのだった。それにしても、12時20分で、すでに本日の手打ち蕎麦が完売となるのだ。

Img_4358 K氏は放送大学を終了したのちも、信州大学へ入って、さらに学問の領域を広げていらっしゃることを奥様から聞いて、頼もしく思ったのだった。噂をしていたら、K氏ご本人から電話もかかってきた。地方へ来て、卒業生の方がたと会えるのは、率直に言って喜びだ。授業の積み重ねと、授業を超えたところの交流が存在するのだ。W大のO先生が地方旅行して卒業生と会いたくなるのも頷けるところだ。

Img_4361 1日目は午後5時には終了した。ちょうど盆地の山の陰に太陽が沈む頃だったので、日差しがなくなり、少し歩きたい気分が出てきたのだった。このまま中央通りを登って、宿坊を両側に見つつ、高村光雲が原型を作った仁王像のある山門をくぐり、善光寺の本殿へ参る。Img_4373 すでに、善光寺の大方の業務は終了していたので、参拝客もほんのわずかしかいなかった。善光寺では、寺の運営をめぐって、内紛が伝えられている。Img_4369 外からはよくわからないのであるが、この写真にある寺のお知らせのような文章は何やら意味深の感じがするのだった。

Img_4391 宿への帰り道の参道沿いには、善光寺参りの名物となっている、唐辛子の老舗がある。この八幡屋儀五郎店が経営する「横町カフェ」へ、裏道側から入る。辛味といえば、カレーだと思い、そのままの野菜カレーを夕飯として注文する。Img_4376 テーブルには七味唐辛子が並んでいて、自分で辛さをコントロールできるようになっている。わたしが今日最後の客だったらしく、広い喫茶店を独占して食べることができた。Img_4377 だから、より辛くなるというわけではないのだが。食後のコーヒーを頼もうとしたら、この店の食後の特別な飲み物で、柚子入り甘酒があったので、それを取ることする。辛さを中和して、神経を宥めてくれるのだ。

Img_4375 食後、中央通りの一本裏の通りを、権堂アーケードへ向かって下っていく。途中、入りたくなるような喫茶店やランチの店などが点々として、今度来るときにはこの街を目指してくるのも良いのかもしれないと思った。Img_4385 これらの店の幾つかには、O先生のブログで見た覚えのあるものもあったから、Img_4383 長野市で寒い時期の冬カフェというのも良いかもしれない。

Img_4393 二日目の面接授業もいつものように拍手とともに終わって、長野駅から高速バスで1時間ほどのところで、明日から開催される「ALPS BOOK CAMP」という、野外ブックフェアの催しへ行きたいと思ったのだが、Img_4395 じつは長野市では明日6日は、「おびんずる祭」という、長野市民総出の善光寺のお祭りがあり、中央通りには踊りの人波が溢れるのだそうだ。この理由と、さらに6日には若者から中年にかけて人気のあるらしい「嵐」のコンサートが重なり、5日の宿泊は望み薄になっていたのだ。

Img_4398 お昼にK氏の奥様からお話を伺ったところによると、「おびんずる祭」は昔からあったのだが、この6日に行うようになったのは、松本市の「ぼんぼん祭」に対抗して、客を取られないように始まったらしいとのことだった。Img_4399 長野県では、長野市と松本市の対抗意識というのは、明治初期の廃藩置県後に、筑摩県だった松本市が長野県に併合された時から、さらに遡れば、戦国時代の武田寄りの松本と、上杉寄りの長野との川中島決戦が行われた時からにも由来するとも言われ、かなりの累積的な意識が存在することが知られている。Img_4388 もっとも、これは信州人の中だけの地元における特殊な対抗意識で、他の地方へ行けば、このような意識は問題にされないのだが、ご当地ではみんなが血相を変えるものがあるのだ。

Img_4414 長野市での最後の訪問は、K氏から教えていただいた隠れ家的自家焙煎の喫茶店「ヤマとカワ珈琲店」だ。権堂アーケードから、少し登った住宅街の中にある、二軒長屋の1軒だ。戦前に建てられた建物らしい。かなり年季が入っている。Img_4415 玄関を登ると、すぐにカウンターになっていて、自家焙煎の豆を売っている。店では、深煎り(ガテマラ)と中煎り(ブラジル)と浅煎り(エチオピア)のコーヒーが揃っていたので、授業で体力的にヘトヘトな状態で、胃腸も同様に疲れが出てきている、というので、元気を出すために深煎りにしたかったのだが、これはお土産に家へ持って行くことにした。Img_4420 それで、いただいたのはフルーツケーキと浅煎りコーヒーだ。アンティークの教会椅子に腰掛けて、フーッと息をついた。

Img_4422 二年前に開店したそうだ。よその店で、2週間みっちりコーヒーの淹れ方を学んで、その後は自分で切り開いて、今日の味を形成してきたのだそうだ。Img_4424 焙煎機は二代目で、ピカピカのものが置かれていた。喫茶店よりも、焙煎専門店に比重があるのではないかと、若いご主人はおっしゃっていた。ご自分では、サービス業よりは製造業でありたいという意識なのだそうだ。なるほど。推察するに、豆の焙煎の方が利益率も良いのではないかと思われる。

Img_4423 店の紹介文の中で、開店時間が「12時から日没まで」、ということになっていた。なぜ「日没」なのかというと、自然を大事にしたいからだということだった。午前中には焙煎を行い、午後には夏は長く、冬は短く、葉っぱの色が変わるのを見て、鐘の音がゴーンとなる時間を大切にしたいのだそうだ。また、このような喫茶店に来る交友関係にも自然と面白いものがあるそうだ。Img_4426 たとえば、長野市近辺には、同世代の職人さんの友人が数人いて、この中には木工の職人さんも訪れるそうである。木工の専門学校を出て、アンティークの修理専門を行っている若手の方だそうだ。そのうち、紹介してもらって、取材したいと思ったのだった。

Img_4430 帰りは、長野電鉄の権堂駅から、長野駅へ出る。この路線は、長野市内では古い地下鉄になっていて、駅には田舎で取れた野菜が売られていたのだ。Img_4429 エリンギとモロッコ・インゲンが旨そうだったので、即購入。家への良いお土産になった。なんと駅の改札口で、切符と一緒に野菜の支払いを済ませたのだった。家に帰って、さっそく料理してもらった。モロッコ・インゲンのキュキュという食感が素晴らしいのだ。Img_4431_2 それから、K氏から頂いた「七味唐辛子」も煮物の味付けなどにありがたくいただいている。この箱のどこかに唐辛子の隠し絵が入っているそうなのだが、しかとは確認できなかった。たぶん、壁の模様ではないかと思われるが、Kさんいかがでしょうか。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。