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2016/07/28

馬車道のビール屋で飲む

Img_4320 大学時代の友人F氏と待ち合わせて、昔懐かしい関内の馬車道でビールを飲むことにする。東京神田に勤め先があるF氏は、仕事を終えてから、電車を乗り継いで、関内駅に着いた。

関内という駅は、分散型の駅を構成している。東口と西口とが完全に分断されているというイメージが強い。そういえば、横浜市には南北の区によって格差が広がっているという南北問題があるのと、もう一つ、中心地が横浜西口とこの関内に分かれているという、分散問題があるのだ。Img_4321 なぜ関内が横浜の中心地を占めることができないのか、という重要な問題は、横浜が東京のベッドタウンであることから生じたことなのだが、その対策が未だに打たれてきていないという事情が、関内の中心地としての地位を危うくしているのだ。関内は、東京から自由なところにあるのだから、その利点を生かすべきだと思われるのだ。

Img_4323 中でも、馬車道の特徴がここ近年削がれてきているのは、惜しい。映画館がなくなり、老舗の小売店が閉まってきている。そこで今回、たまには馬車道で飲もうということになった。まず向かったのは、関内から馬車道に入って、一つ目を左に入ったところにある、「勝烈庵」だ。とりあえず、腹拵えしてから飲もうということだ。勝烈庵のトレードマークは、棟方志功の女神像で、これを拝めば、みんな幸せな気分になる。トンカツと同じように、豊かさの象徴として役割を演じている。混んでいる1階は避けて、2階へ向かう。ちょうど夕飯にはまだ早い時間だったので、ゆったりとヒレカツを頬張ることができた。当然のように、キャベツをお代わりして、シジミの味噌汁で、どんぶり飯をたっぷりと食べた。

Img_4330 もしランチに来たのであるならば、この裏通りにある馬車道十番館でコーヒーを飲んで、午後に備えるのだが、今日はビールが御目当てなので、直接ビール屋へ向かった。ビールは、いつもの「タップルーム」でベアド・ビールの「アングリーボーイ」だ。ビールのつまみはお腹がいっぱいであることもあって、雑談で済ませた。

Img_4334_2 雑談にはテーマがないのが特徴であるのだが、取り立ててあげるならば、一つは「定年」ということが話題になった。60歳代半ばを迎えた二人にとって、仕事の転換期を迎えている。Img_4335 本務を辞めた後のことを考える必要がある時期を迎えているのだ。一つは、今の仕事の延長線上で、何かできることがあるか、ということを話した。幾つか、思い浮かんだ。もう一つは、今の仕事から離れて、何かできることがあるのか、ということも話した。

Img_4338 彼の実家は、かつて銀座に近い築地で、印刷屋さんを営んでいた。そこには立派な活版印刷機が備わっていた。それで、今回も仕事に関係ないことでは、私家版を作りたい、美しい小さな本を作りたい、ということが話題になった。互いの本の内容は、幾つか候補が上がっていたが、率直に美しい本が出来上がることを夢見たいと思ったのだった。

Img_4343 ハッと気がついて時計を見ると、12時近くなっていた。彼の家は小田急線なので、関内からは横浜線で向かい、町田へ出て乗り換えなければならない。翌日のメールで、無事最終電車に間に合ったことが書かれていた。

Img_4326 今日の椅子は、勝烈庵の待合椅子だ。トンカツが目の前を運ばれていく。それを見ながら待つために、満席の部屋の隅っこに据えられている木製のベンチだ。座板が一枚板でできている。ふつう、これだけの板であれば、これだけで三人分の体重を支えるには十分なのであるから、脚を板に直接取り付けそうである。ところが、この椅子はその辺がすごく丁寧なのだ。脚は完全に板全体を受け止める形に作っていて、真ん中にも受ける脚が通っている。この丁寧さのために、かえって職人の方のこの一枚板への思い入れを感じてしまうのだ。また、この座板がくりぬかれていて、この点でも丁寧な仕事を感じさせる。Img_4345 多分、この穴にはクッションが入ることが想定されていたに違いないのだが、それを取り除いて、この穴を強調する形で、店に置かれている。クッションが置かれなくても十分にこの椅子が好ましいと感じさせる形を保っている。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。