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2016/07/10

京都へ来ている

Img_1102 京都へ来ている。大学院のゼミナール開催のためだ。博士課程のFさんが島根に住んでいて、Hさんが関西在住で、さらに修士のNさんが同じく関西なので、わたしの横浜在住というのがずっと引っ張られて、今回は変則の大学院ゼミとして、京都学習センターで開かれることになった。今回がうまくいくならば、1学期に1回程度、関西から岡山さらに島根で開催するゼミを定例化することを考えても良いのかもしれない。

Img_1105 問題はあるのだ。今日はたまたま京都学習センターの部屋が空いていてゼミができたのであるが、じつはこのセンターでは、いつもこのようにすんなり予約が取れる保証はないのだ。それで、京都出身のHさんに聞くと、幾つかの他の選択肢がありそうである。また、京都学習センターの事務長の方にも相談したら、幾つかの候補が上がってきたので、何とか粘って探してみたい。もっとも、有料にはなってしまうのだが、それでも静かなゼミ室が確保されるのであれば、それに代わるものはないと言える。

Img_1106 これまで1月の合宿では、同志社大学の講義室をN先生との合同ゼミということでお借りしてきたのだが、今年度はN先生の担当学生が全部修了なさってしまい、一人もいなくなってしまったので、N先生にお願いするわけにはいかなくなったのだ。そこで、半年も前から会場探し、ということになっている次第だ。京都大学のG会館とか、S庭園とか、ということが実現されればこの上ないのだが、なかなか難しい。Img_1107 少し奮発して、前回使った京大医学部のS会館ということもありうる。けれども、会場探しも京都の場合には、他に素敵な場所が数多くあり、たとえば東京圏ではM先生の著書「権力の館」を見れば良いのだろうが、京都にもそれに類した魅力的な場所があり、選ぶ楽しみだけでも満喫できるのは良い。

Img_1110 午前中に、新自由主義についての議論を行い、午後から博士後期課程の方々との消費者社会論、社会ケア論などの議論が続いた。このような1学期に1回のゼミというのは、まとめて数回分に当たるために、じっくりと考えることができるというメリットがある。少人数で、長時間、しかも転地効果が働くのだ。

Img_1108 学習センターは6時には閉館になってしまうので、後の残った話や議論は、オフ時間を利用することになる。京都駅近辺では、いつも適当なところがなく困っていたが、今回はHさんの誘導で裏道へ入っていく。ちょうど開店1周年記念だという店「たかひとり」に当たる。1軒目にして、落ち着けるところを見つけることができたのは幸いであった。鴨料理を得意とするところだが、鹿肉や猪肉もある。ビルの地下室にあるために、10人足らずでいっぱいになってしまう。予約をしてなかったので、最初は断られると思っていたが、若いご主人が席を詰めてくださった。

Img_4235 Fさんの本職は公務員なのだが、同時に実家の寺の住職を継いでいる。その寺の総本山が京都にあって、明日は儀式に出席しなければならないそうだ。法衣を持参のゼミナール参加だ。想像するに、これは相当な忙しさである。それを克服して、ゼミに参加してきているのは素晴らしいと思う。学者の方で、住職を兼ねている方は、京都を中心にしてかなりの数がいると聞いているのだが、学術と宗教とには似たところがあるのかもしれない。

Img_4236 京都の夜は、姉小路にある「Kocsi」で静かに過ごすのが、定番となりつつある。夜食には、ここのキッシュとワインをとった。今日のゼミナールでの議論を振り返る時間をたっぷりととることができた。今日の議論で共通に問題となったのは、消費者社会にしても、ケア社会にしても、なぜそのような社会が崩れ、かつ成立するのか、という生成の問題点が浮き彫りになった。議論は多岐にわたったので、うまく整理して、次の議論につなげてもらいたいと思った次第だ。Img_4241 ここには書くことはできないが、多くの魅力的な言葉やアイディアが満載の議論だったな、という感想を持った。Img_4245 以前にも書いたが、麩屋町あたりの町屋には、老舗が並んでいて、ショーウィンドーがギャラリーになったりしている。この「デルフトタイル」の白と藍の組み合わせを見つつ、夜の散歩をして、宿へ至る。

Img_4242 次の日も午前中11時まで、部屋を使えるので、これまで溜まっていた大学院関係の仕事をまとめて片付ける。幾つか整理していくうちに、問題点が見つかり、さてどうしたら良いのだろうか。

Img_1117 これも定番となりつつある京都での昼食は、柳馬場通りにある「菜根譚」にて、白胡麻担々麺だ。これも一年に1回は賞味したい味だ。とくに、今日のように暑い日には、この濃厚なスープに乗った、程よい辛さが似合っている。Img_1121 玄関を入ると、町屋特有の土間が奥まで続いている。静かな奥の板の間に通される。そこの小さな卓袱台に案内される。担々麺を食した後に、さっぱり感が凝縮されている杏仁豆腐を頼んで辛さとのバランスをとる。

Img_1119 さて、今週からはゼミ合宿や試験週間、さらに採点が目白押しなので、まだまだ夏休みは遠いのだが、その準備を行っておきたい。Img_4262 静かな喫茶店で、まとめて読書をしたいと思ったのだが、京都の月曜日は博物館や美術館はほとんどお休みで、それに呼応するかのように、行きたいと思っていた喫茶店も閉まっているのだ。Img_4264 四条に出て、喫茶店「ソワレ」定休。喫茶店「エレファント・ファクトリー」定休。という道筋を辿っていると、木屋町の高瀬川沿いへ出る。ここには以前から、廃校になった旧立誠小学校の校舎・講堂がまだ建たっていて、現在ではコミュニティ活動の拠点となって解放されている。Img_4267 Img_1125 Img_1128 Img_1131 この正面玄関を入ったところに、喫茶店「Traveling Coffee」を見つける。京都の繁華街の真ん中に、オアシスを見つけた思いだ。新幹線までの数時間をほぼこの空間を独占して過ごす。コーヒ1杯300円なり。静けさや学び舎にしみいる抽出珈琲。Img_1145 Img_1144 Img_1143 Img_1142 Img_1141 Img_1139 Img_1134 Img_1136 Img_1146 Img_1153

Img_1115 今日の椅子は、「Kocsi」のスペイン風長椅子と、年代物の応接椅子だ。いずれもアンティークショップで見るようなものだが、今日の喫茶店でこのような古い椅子が好まれて使われる理由があるように思われる。Img_1122 それは、現代人にとってはノスタルジアは解放の要素だという点だ。現代人は現在に追われているから、逃げる先は未来か過去かになると思われる。落ち着けるのは、やはり過去で、この椅子の古さがそれを呼び起こしていると思われるのだ。Img_4234 Img_4252 Img_4243

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。