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2016年6月に作成された投稿

2016/06/26

宮崎面接授業の二日目

Img_1005 「アーツ&クラフツ経済社会入門」と題した今回の面接授業では、中世から近代に向かう様々な「デザイン運動」を紹介した。Img_1006 昨日の講義では、「デザイン運動」という、苦手の分野をいかに簡潔に紹介し、さらに「経済」との関係をよりシンプルに説明できるのかが、わたしにとっては問題だったのだが、無難に切り抜けることができたのは幸いだった。

Img_1011 講義の出だしでは、20世紀前半に英国で活躍したウィリアム・モリスの「アーツ&クラフツ運動」を導きの糸として講義した。この運動は典型というわけではないが、題名からして避けることができない。映像や写真もかなり手に入れてあり、これらのデザインは見ることができなければ、学生の方々も感ずることはでいないので、映像を用意しておいて、思った通りの講義になったと思う。最初はアーツ&クラフツについておぼろげな印象しかなかった方々も、おおよそのイメージを抱いたようだった。Img_0967 モリスの中ではちょうどデザインと経済が交差していて、扱いやすかったのだ。面接授業の参加者たちも、モリスの名前は多少知っていても、経済との結びつきまで想像できなったみたいで、スタートの話は順調に進んだ。

Img_0969 その後、近代のデザインの中で、とりわけ経済社会に関係するのは、建築やデザイン運動になるのだが、ちょうど近代の建築とインテリアの関係を述べるなかで、とりわけ注目したのは、「バウハウス運動」であり、デザインの系譜と経済との関係を明らかにしていくことができた。Img_0962 問題は、中世の手仕事と、現代の手仕事と経済的に見て、どこが異なるのかという点にある。

Img_0988 昼食は、またしてもイタリアンとなった。ピザの店「ボンリッサ」で石窯ピザだ。日曜日だということがあって、玄関を入ると、左右の部屋の席はほぼ満席である。予約を取っているかと、石窯でピザ焼きを行っているご主人に聞かれて、取っていないと答えると、カウンターの席を用意してくれた。ここからは、窯もよく見えて、ピザを窯に入れ、どのように焼くのかが手に取るようによく分かる。Img_0991 このような作るためばかりではなく、見せるための窯というのは、料理人にとっては、ある種の見せ所なのだ、自信の表れなのだと思った。窯へ入れる時に使う長い柄のついたヘラをくるくると、天井を突き抜けていくくらいに回して、リズムを取っている。Img_0989 自然に身についた職人の癖みたいなもので、これは見ものだ。ご主人の汗はかなりのものだった。冬にはこの石窯が暖房替わりになるとしても、これからの夏には、ちょっと近くには寄れないだろうなと推測したのだった。薄焼きで、外パリパリ、内モチモチタイプのマルゲリータが出来上がってきた。これから、午後の講義がなければ、白ワインが欲しいところだ。

Img_0998 学習センターの方々に、宮崎牛の店を聞いたのだけれども、昨日行こうと計画したフランス料理の店しか、この辺では思い浮かばないとのことだったので、あっさりと諦め、他の可能性を追求することした。Img_0996 昨日、散歩をしているうちに、駅から北のほうへ歩いていったところに、とんかつの店を見つけていたのだ。ホームページで見ると、宮崎で一番豚肉が旨い店として紹介されていたのだ。Img_4199 それで、講義が終了した後、レポートの採点の途中ではあったのだが、その店「不二かつ」本店へ出かけることにしたのだった。

Img_4206 まだ夕方の5時だというのに、店内へ入ると、椅子に腰掛けて順番を待っている人々がいるのだ。一人だと告げると、やはりカウンターの真ん中を用意してくださった。眼の前で、肉が出てきて、コロモをつけ、次から次へと油で揚げられていく。Img_4201 3人の分業体制を十分に観察することができて、食欲だけでなく、仕事のタイミング、流れ作業のネックなど、面白い場面が見られたのだった。肉を準備することと、揚げることは、見せ場なのだが、それほど手がかかるわけではない。やはり、コロモをつけるところがネックになるところらしい。

Img_4202 次の日の午前中は、レポートの採点と整理に費やした。大雨が来るらしいという予報があり、なんとか日向市の駅に着くと、その途端に大粒の雨が降り出した。若山牧水の生まれ故郷だということで、至る所に牧水の句を見ることができる。大雨に濡れ始めた駅広場の碑には、有名な旅の句が刻まれていた。また、駅の中の句は、故郷を歌ったものだった。

幾山河超えさり行かば寂しさのはてなむくにぞ今日も旅ゆく

Img_1001 日向灘ぞいに日豊本線が南下していく。宮崎らしさは、なんといっても、このヤシの木だろうか。この激しく降る雨に似合っている。しっとりとした南国の空気を感じながら、木製のシートで作られた素敵なJR九州のCT列車に揺られたのだ。Img_1015 航空機まで時間が少しあったので、宮崎市内を散歩した。砥部焼を売っている民芸店「日向路」などを散策して、ジャズ喫茶「Lifetime」でハンバーグランチ。食事の後、さらに少し時間があったので、残っていた面接授業のレポート整理を一気に片付けてしまう。Img_1018 この全体結果は、後の長野と札幌が終了したのち、ホームページを通じて、お知らせしようと考えている。受講生の方々は、12月には忘れずに、このページへアクセスしてほしい。きっと興味深い集計が現れていることだと思われる。でも、11月までみんな覚えているかな。

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今日の椅子は、JR九州のCT列車の座席シートだ。なんといっても、木製であるところが洒落ている。また、南国であるということから考えて、公衆衛生上、布は使わないという点でも合理的な配慮がされている。けれども、JR九州の「贅沢」コピーはここでも効いていて、なんと黒い部分は、本革だったのだ。駅舎や人員合理化で浮いた分を、惜しげもなく、車両のデザインにつぎ込んでいて、これだけの「見せびらかし」効果を自覚している会社というのは、大したものだ。Img_4210 Img_4209

2016/06/25

宮崎の面接授業へ行く

Img_4183 宮崎学習センターの面接授業が先週の山形に続いてある。昨日の金曜日に飛行機に乗り、宮崎市のさらにその先の日向市までJR九州の列車で行く。K大学の講義が終わって、18時の飛行機まで時間があるので、羽田空港ではクッキーを購入して、その後夕飯として「アカシヤ」のロールキャベツ定食を食べることにしている。Img_4186 学生時代の新宿の味を忘れないためである。なぜ新宿の味が羽田空港のビルに入っているのかわからないところが面白いところなのだ。場所柄とあまり合っているとは思われないのだが、それはわたしの主観であって、入る客が決めることである。Img_4189 いつも満席だというところを見るにつけ、並みいる高級店が並ぶ中で、この場所を「アカシヤ」へ提供した空港当事者へ賛美の言葉を贈りたい。

Img_4190 それにしても、昨日は英国のEU離脱ニュースが駆け巡った1日となった。お昼ごろには、国民投票の結果が発表されていた。そして家を出る頃には、BBCが全体の開票がまだ済まないうちに、確定を告げていた。英国と大陸との関係が付かず離れずであったことはヨーロッパ歴史を学んだものにとってはよく知るところだ。以前から通貨のユーロ圏には属していなかった。Img_4187 通貨統合にはサッチャー政権の頃から反対であったことも知っていたから、結果からすれば、それほど驚くほどのことはないとはいえ、関税のことなど経済への影響が大きいことを予想させる。まだまだ、数百年にわたって、行ったり来たりするのだろうな。息の長い歴史がある。

Img_4192 さて、宮崎空港駅から延岡行きの特急に乗って、学習センターのある日向市に着く頃には、日が長い季節であるにもかかわらず、もうすっかり暗くなっていた。有名な日向灘を見ることができると思っていたのだが、暗くて想像力だけの電車行となった。Img_4194 日向市駅に着くと、駅舎が新しく、さらにホテルまでの道幅が広く、みんな同じデザインの低層の店が揃っている。再開発の最中であることが分かる。Img_4195 けれども、途中から景色は変わり、赤提灯やBarの飲み屋さんがずいぶん多い街だな、という感想を持つほどだったのだ。それは「上町」という、飲み屋街を通ってきたからだったことが地図を見て理解したのだった。

Img_4197 次の日は、準備があるから9時15分には、学習センターへ着いているように、という連絡があった。学習センターの隣のホテルに泊まっていたので、角を曲がると学習センターへ着いていたのだ。隣に日向市の市役所があり、まさに再開発の最中で、同じように工事中だった。Img_4196 学習センターの向かいには公園があって、なんと重量級のD51蒸気機関車が置かれていたのだった。紹介文によると、地球を60周以上の距離を走ったのだと書かれていた。さらに引退してからも、このような公園でずっと奉公しているのだ。

Img_0943 学習センターでは、メールでやりとりしたH氏とKさんが迎えてくださって、すでに準備万端の状態だった。早速、講義室へ案内され、学生の方々へ紹介してくださった。今回は以前の放送講義「社会の中の芸術」を取った学生はいなかったので、芸術傾向の学生よりも、経済傾向の学生が多かったような気がする。Img_0946 とりわけ、人生の中で、芸術や工芸にこれまでほとんど興味を持ってこなかった、と答える学生が3人もいて、これを機会に少し芸術へ興味を持ちたいとおっしゃっていたのが、印象に残った。この3人以外は、工業用のリボンを織って、カゴなどを創作する手芸教室を教えている人や、ギターを趣味で演奏している人たちが参加してきていた。

Img_0948 今回も質問を投げかける方式の講義進行を行ったのだが、参加された方々は静かな学生の方々が多かった。けれども、数は少なかったが、本質的な質問が間欠的に続いたので、楽しい授業となった。今回も体調はそれほど良くなかったのであるが、コーヒーを自分で淹れてきて、なんとか最後まで、このコーヒーを飲んで、冷静さを保ったのは幸いだった。

Img_0966 日向市の再開発の様子を見たかったので、昼食のついでに、その先を見ることにした。駅前から道路の幅が途中まで広げられ始めている。この現場にある、イタリアン料理と喫茶の店「Run Into」へ向かった。次第に客が入って、ほぼ満席状態にすぐなった。鶏肉の定食を取った。1年ほど経っていると店主は言っていたが、再開発で統一されたモダンでシンプルな建物だった。

Img_0976 じつは、夕食を食べたのも、イタリアンの店となった。モダンな北欧風デザイン意識した建物に入っているイタリアン料理店「バッケーロ」である。結局予定していた「フランス料理で宮崎牛を」というプランは、その店が臨時休業だったので、あえなく挫折して、この店になったのだ。Img_0978 Img_0977

2016/06/20

出張の最終日

Img_4122 まだ、山形に止まっている。面接授業で集めたレポートの採点と集計を午前中に行う。今シーズンに行う面接授業では、同じテーマで山形、宮崎、長野、札幌と面接授業を行うのであるが、同時に同じテーマで、レポートも出題している。実はその結果を数値化して、表に整理して、最終結果をこのブログで発表することを約束してしまったのだ。Img_4117 六月に面接授業が半分終了するが、実は全部終了するのは、十一月になってしまうのだが、それでも約束は約束であり、待っている方々がいる以上、手間はかかるが整理しないわけにはいかない。Img_4119 午前中かかって、ようやく整理を終えることができた。長居できるホテルを取っておいてよかったと思ったのだ。

Img_4118 昼食をとりながら、昼からジャズというのも良いと思い、駅のすぐそばにある、老舗のジャズ喫茶「OCTET(オクテット)」へ行く。ちょうど店を開くところに当たって、まだ客が一人もいなかった。それを良いことに、相変わらず、椅子と店との関係をまたしても聞いてしまったのだ。この店には、このような前面木製の壁から通じて、収納箱付きのベンチが設置されている。この一体型のベンチが先か、それとも部屋のデザインが先なのかと聞いたのだった。Img_4120 結局、改築のときに、スピーカーの響きを考慮して、さらに残った椅子やカウンターとの関係から、このベンチを作りつけてもらったのだ、ということだった。

最初の一曲は、バド・パウエルの曲をトリオで演奏している女流ピアニストのシンシア・ジッチのアルバムだった。Img_4121 これまで聞いたことがない演奏で、落ち着いているが、パウエルのエネルギーを受け継いでいて、不思議な雰囲気をたたえたアルバムだった。これ良いですね、というと、ご主人も感想を述べられて、朝から(もう昼だが)良い気分でスタートできたのだった。

Img_4124 結局、予約した新幹線の時刻まで数時間余裕ができたので、隣町の上山市にある斎藤茂吉記念館を訪ねることにする。Img_4126 駅を降りて、林の中を3分ほど歩くと、コンクリート造りの低層の記念館が見えてくる。玄関から静かな佇まいで、茂吉の歌をたどる形で、展示が進んでいく。Img_4139 入ってすぐのところに、茂吉の部屋が移築されていて、さらにビデオで茂太や北杜夫などの映像が流れていた。父親との関係は意外なほど濃密だったことを知る。やはり、印象に残る歌は、赤色を象徴的に使った『赤光』からの「たらちねの」が素敵で、上の句で自然を描写して、その後に茂吉の感情が入れ込まれた、下の句が続くというスタイルが、好ましいリズムを刻んで参観者に迫ってくる。Img_4142 「実相観入」という写生の伝統を受け継いだ茂吉の作風が、繰り返し展示されていた。Img_4181 Img_4166 Img_4163 Img_4159 Img_4156 Img_4157 Img_4154 Img_4153 Img_4152 Img_4144_2 Img_4149 Img_4143

かみのやま温泉駅へ出て、さらに時間があったので、自家焙煎の店「豆と麦と」へ入る。今朝採れたさくらんぼだ、というので、素敵な小皿に入れて、おまけを振舞ってもらう。ここでも、ゆったりと時間を潰すことができ、ようやく時間が来たので、東京行きの新幹線にのって帰路に着いたのだった。Img_4178 Img_4179 Img_4175 Img_4174 Img_4172

2016/06/19

面接授業の2日目

Img_4064 思ったよりも講義の方はうまくいって、今回の講義は初めての内容だったので、もっとたどたどしい展開になるかもしれないと思っていたにもかかわらず、用意した資料もほんのわずか残しただけで、ほとんどの内容を説明することができた。最後の結論部分も、学生の方々にも、比較的すんなりと受け入れられたので、考えている時のウズウズした気分が、全部喋り終えたことで、すっきりとしたのだった。これには、参加してくださった学生の方々の反応がかなり作用している。それに助けられて、結論がこれほど無理なくできたのだと思う。感謝する次第である。最後は、いつものように、拍手で大団円。

Img_4044 講義が終わって、事務室へ出欠表を届けに行く。Nさんがお休みなので、総務のTさんが対応してくださった。ついでに、これから食事に行きたいのだと告げると、しばらく考えたの後、一箇所を教えてくださった。このタイミングの取り方は何か、不思議な雰囲気があったのだが、もしかしたら、この教えられたところについて、何か含むところがもう少しあったのかもしれなかったと思えるほどの、微妙な返答だったのだ。

Img_4046 ところが、静かな喫茶店はないか、と尋ねると、こちらは即答で七日町(旅籠町)にある喫茶「シャンソン物語」を教えてくださった。この即答の勢いに感じるものがあったので、すぐに駅前から七日町循環バスに乗って、この喫茶店へ行ってみる。すると、この町は今日一日さくらんぼ祭りだったらしくて、この時間にはすでに店が閉じ始めていた。Img_4048 推薦の言葉に違わず、周りのビルの様子とは異なり、一度店の中へ入ると、シャンソンが流れていて、このような古典的な間仕切りが取られており、いかにも長居して大丈夫というサインを送っている店だった。Img_4049 途中からは貸切状態で、講義が終わって、ホッとした気分を長く長く、余韻を楽しむかのような時間が過ぎていったのだった。推薦の言葉をTさんから聞いておいてよかったな、と思った次第である。Img_4054 「シャンソン」で時間を聞くと、1時間ほどは居ても良いということで、こんなにゆったりできる空間を持っている、地方都市の豊かさに羨ましさを感じたほどだった。

Img_4057 店を出て、食事の店へ向かう途中に、専門書の品揃えが素晴らしい本屋「八文字屋」へ入る。これだけのスペースを専門書に割いている本屋は、今では珍しい存在だ。山形大学の学生たちが利用するのだろうか。Img_4058 長居できる喫茶店と本屋があり、さらに名画座が整備されているなどの、都市の必須条件を十分の充している街は、今後もこれらを維持していただきたいものだと思う。Img_4079 外から来て、差し出がましいが、なかなかこれだけのものが残っている都市は、少なくなってしまったのだ。

Img_4080 結局、食事はやはりTさんに教えていただいた「紅の蔵」という施設に入っている、蕎麦料理屋へ入ることにする。ここでも、地元推薦を店員に聞いて、山形の「肉蕎麦」を食べたのだった。酒ももちろん地元天童の「出羽桜」の冷やを頼んだ。今日は、地元推薦が全て当たった日となった。Img_4086 Img_4093 Img_4088_2

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2016/06/18

山形学習センターの面接授業の第1日目

Img_0917 山形駅前にある霞城セントラルビルという、見るからに城をイメージさせる24階ビルの10階に放送大学が入っている。ビルのある場所はわかりやすいのだが、10階に通じるエレベーターが1階の迷路をくぐり抜けたところにあって、宿泊しているホテルからよりも、ビルの中で迷ってしまった分時間がかかってしまった。

今年の面接授業テーマは、「アーツ&クラフツ経済社会入門」という題を選んだ。以前放送で作った授業科目『社会の中の芸術』の続編という趣向だ。今日参加した学生の中にも、有難いことにこの以前のテキスト「社会の中の芸術」を持ってきてくださった方が複数いらっしゃって、この授業の影響がまだ消えていないことを喜んだのだ。

Img_0927 わたしにとっては、クラフツ(工芸)という少し専門の領域を広く取ることになるので、かなりの「力仕事」が必要だという位置付けの授業だ。現代社会において、「クラフトが経済として成り立つのだろうか、成り立つとしたら、どのようなことが条件となっているのか」ということが聴きどころだ。わたし自身にとっても、どのような展開になるのか、興味津々のテーマであることは間違いないところだ。

Img_0928 グループ討論も計画しているので、あまり多くない方が良い。できれば、10名ちょっとの程度になってくれれば、と考えていたら、思っていたよりは少し多かったが、1グループ増やす程度だったので、胸をなでおろした。授業は順調に進み、まだ空が明るいうちに今日の分は終わりとなった。

Img_4074 山形学習センター所長のS先生に山形市の成り立ちを教えていただき、城下町であるにもかかわらず、七日町や十日町などの市場の立つ日が町名になっていて、商業の街であることを認識したのだった。それで、繁華街はこの七日町の方であり、駅からはバスにちょっと乗るほどの距離がある。

Img_4073 早速、授業の後、歩いてみた。やはり、距離があったが、ちょうど授業の教室から一日中出ることがなかったので、気分転換になったのだった。そして、今日も「フォーラム」へ寄って、ウディ・アレン監督の映画「教授のおかしな殺人妄想(原題:Irrational Man)」を見たのだった。

Img_0908 物語は、アレンらしい内容だ。天才的な哲学教授が生きる意味を求めて、「完全犯罪」の殺人を犯すことで、結局は身の破滅を導いてしまうというものだ。非理性的なことを理性的に計画した途端に、非理性的な結末を迎える、というアレン特有のカントやヘーゲルまでも持ち出して、多才なおしゃべりを挿入させている。いつもながら、諧謔や皮肉や逆説に満ちた映画だった。アレンが好きな方でないと、この笑いどころがわからないだろう。世の中は、非理性的な謎に満ちているのだ。

この頃になると、一日中講義で立って喋っていた体力的な問題が生じてきて、ようやく宿泊所に帰り、早めにベッドに入り、体調を整え、最終日の講義に備えようという気になってきたのだった。

2016/06/17

面接授業の季節が巡ってきた

Img_0901_1 今年も面接授業のシーズンが巡ってきた。毎年、6月には地域の学習センターの面接授業に出かけることにしている。土日に集中するので、4月と5月にはゼミをスタートさせ、7月には学期末試験が控えていて、やはり6月に集中することになる。たぶん他の先生方も同じことを考えるから、自然に6月は面接授業の季節となる。自然の調整とは恐ろしいものだ。

まずは、山形からスタートだ。K大学での講義を終えて、横浜で買い物を済まし、東京駅の混雑したお弁当売り場で、ヒレカツ弁当を購入して、夕方の山形新幹線つばさ号へ飛び乗った。山形駅へは、9時前に着いた。宿泊先へ荷物を置いて間もなく、さっそく恒例の出張先の映画鑑賞に繰り出した。山形市には、駅から程よい距離のところに名画座系の映画館「フォーラム」がある。映画「マネーモンスター」の最終回にようやく間に合ったのだ。

Img_0934 俳優がG・クルーニー、J・ロバーツ、さらに監督がJ・フォスターであれば、出資のSONYも文句は言わないだろう。物語は、クルーニー扮する株専門キャスターがテレビの生番組放映中に、番組ジャックされて、デレクター役のロバーツとともに、物語があらぬ方向へ進んでいき、最後は原因となった株価暴落企業の秘密が暴かれるというものだ。

Img_0935 近年、ハリウッド映画は、金融ものというジャンルを打ち立ててきている。なぜ株価が上下するのかということについては、いろいろの要因が絡み合っていて、一筋縄ではいかない。だから今回もリーマンショックを上回る複雑な要因が存在していて、見事に説明をしてくれるのだと思っていたが、この映画では多少不満が残るかもしれない。何か秘密で重要なことがあると思われるからには、その内容はもっと重要な要因でなければならないのだが、この映画では古典的な詐欺事件に堕してしまっていて、ちょっとつまらない気がする。

Img_0902 つまり、「マネーモンスター」という割には、貨幣の「信用」という本質的なもののところでモンスターが生まれるのではなく、人間の欲望のような本来の物語でのモンスターであって、題名に偽りアリというところが残念なのだ。けれども、ドラマ自体は面白いし、クルーニーもロバーツの演技も慣れたものであって、娯楽作品としてはとても楽しめるものとなっている。

スタジオがジャックされるときの、この映画の道具が気になった。爆弾テロで自爆・他爆する時、スイッチから手を離すと、爆弾が炸裂するという仕掛けが、よく使われる。今回もこれだ。スイッチを押すと爆発するのと、スイッチを離すと爆発するのとの違いがあるのだ。スイッチを押す人、押している人を倒せば、前者は爆発から免れるが、後者は倒されると爆発が生ずることになり、ここに違いがあることがわかる。このセットした時からいつ倒されるのか、スイッチを押している人からスイッチをいつ離すことができるのか、このズレの時がドラマの中核に当たる時間なのだ。この不安定さが映画の虚構性を成立させている。映画の筋に緊張感を与えておいて、それを本筋にして、そこに幾つかのエピソードを付け加えていく。この映画でも、このスリリングな状態が効果的に使われていたと思う。

Img_0916 もう一つ、面白いシーンがあった。スタジオ・ジャックされた理由の一つが、犯人の投資資金を株価下落で損させてしまったということにあるのだが、それを逆手にとって、それでは株価を上げるように、クルーニー演じる司会者はリアルタイムで、テレビを見ている投資家たちへ呼びかける。みんながこの株へ投資すれば、株価が上がって、犯人の損失を取り戻すことができるかもしれない、という賭けを行うのだが、そして自らの命も助かるかもしれないのだが、お涙頂戴で人道的に投資する人がいるか否か、というアメリカ資本主義の本質を抉り出すようなシーンだ。Img_0906 結果は、観ての楽しみだが、このようなシナリオをちょっと入れることができるのが、ハリウッドの隠れた魅力の一つだと思う。自己批判ができるとしたら、このような方法が、最も映画では適していると思われたのだった。

さて、気分を入れ替えて、明日からの面接授業に備えて、熟睡することにしよう。お休みなさい。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。