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2016/05/02

O先生と松本カフェ

Img_3041 今日は季節カフェの番外編で、O先生と松本カフェの1日だ。まずはモーニングコーヒーを飲むために、Books&コーヒースタンド「栞日」へ寄る。昨日、O先生が来ましたと店のマスターに告げられる。Img_3345 コーヒースタンドでは、ジーンズに赤いスカーフの女性が先客だったのだが、どうやら1日同じコースを辿っていたらしく、こののち2回ほど、わたしたちが街中を歩いていて、彼女に自転車で追い抜かれることになる。わたしたちは、だいたいのところで、観光客と垂直に交わる道を辿っていたのだから、この女性も単なる観光ではなかったのかもしれない。

Img_3109 今日も、O先生に会う前に、松本市美術館の中庭で開催されている「はぐくむ子ども椅子展」へ寄る。ウィークデイなので、やはり来ている子どもの数は、一昨日より圧倒的に少ない。それで、ビデオを回すのを今日は諦めることにする。今日の子ども椅子展の当番は急に用事ができたらしく、急遽S氏が代わりに立っていた。Img_3058 これ幸いとばかりに、今度お願いしている授業科目「色と形を探究する」のビデオ収録について、打ち合わせをする。可能なところだけだったが、ここで大方のところを行ってしまうことができた。Img_3097 互いに喋りたいところが、次第に決まってくるのがわかる。このような自然なセリフの決まり方が理想的だ。

Img_3074 子ども椅子には、無限に多様な可能性が備わっていて、それは子ども自身の可能性であると同時に、子ども椅子にもあることがわかったのだ。わたしたちは既成観念で、椅子は座るものと考えているのだが、そして、座面があれば、それに座るものと決めているのだが、子どもたちは、どうも規定通りには座らないことがわかる。Img_3084 横に座らなければならないと、わたしたちは思っていることで、縦に座ってしまって、それで十分に椅子の機能を果たしている場合が見つかるのだ。S氏と話していて、今回も得るところ大であったのだ。

S氏と話し込んでいたら、O先生から簡易メールが入って、Rホテルのロビーで待っているとのことだった。20分もあれば、街の中心部を駆け抜けることができるほどの都市と言うのは、ほんとうに好ましい限りだ。Img_3221_2 O先生は昨日にすでに行くべきところはほぼ回ってしまったので、あとは自由だとおっしゃる。まずはホテルの並びにあるギャラリー「灰月」に寄る。アクセサリー展が開かれていて、通常はわたしの興味の範囲外なのだけれども、今日展示している方は、作った作品に素敵な名前「こころ」とか「あめふり」とかを与えていて、それを小冊子にして、アクセサリー・プラス・言葉の作品にまで仕上げている。このアイディアは興味深かったのだ。Img_3226 モノに名前を与えると、想像力が動き出すから不思議だ。O先生は、これらのアクセサリーではなく、白地に斜線が無造作に入ったお茶碗を気に入ってしまい、あっという間に購入していた。研究室で使うそうだ。

Img_3228 次に、S氏の奥様が開いているグレイン・ノートへ行く。明後日の4日にSさんに会うことになっているのだが、天気が悪くなりそうで、心配してくださっていたのだった。Img_3229 O先生は、奥様が女優の〇〇さんに似ていらっしゃるというのだが、確かにそうかもしれない。笑顔に安心感のある方だ。O先生はここでも白地のお茶碗を購入なさっていて、1日何回お茶を飲まれるのだろうかと思ってしまったのだ。

店の二階では、荒削りの木材と、イグサ織りの座面に特徴があるY氏の椅子展が行われていたので、しばしお話を伺うことにした。Img_3416 この独特の作風には、原型があるそうで、額に入れた写真を見せてくださった。一目見て、池田三四郎著『三四郎の椅子』に出てくるスペインの椅子を思い出したので、そのことを伝えると、まさにその通りだった。この原型となる椅子の荒削り感には、このスペイン椅子にまつわるもう一つのエピソードがあって、1脚を15分ほどで組み立ててしまう、という生産効率がたいへん素晴らしい椅子だということになっている。Y氏の椅子は、イグサを織り込むのに、7時間くらいかかるそうで、一つ一つ織り上がるとそのこと自体が楽しいのだとおっしゃっていて、素敵な仕事をなさっている。Img_3419 お尻に当たるイグサ織りに特徴があって、ちょうどお尻が当たる凹み部分が後ろの方へずらされているという工夫がなされていて、実際に座ってみると、すごく座り心地が良いことがわかるのだった。スペインの粗野な椅子から発展して、Y氏独特の優しさを加味した椅子に仕上がっていることがわかる。

Y氏の木楽工房はこちら

Img_3231 お昼は、O先生行きつけのル・コトリで、わたしは魚料理ランチを食べる。すでに電話予約がO先生によってなされていて、電話の声だけで、すぐにO先生だと認識されたとのことだった。O先生はエビ料理のランチを選択した。えんどう豆のスープは、視覚的に訴えかけてくるような真みどりの色で、ほんとうに色鮮やかだ。5月の「緑の季節」をそのままスープにしましたという雰囲気を持った、また味も豆特有の香りの濃厚なスープだった。Img_3232 食事は、華やかだったのだが、雑談の内容は大学の仕事のことになってしまい、気の引ける話で、このような時に話すべきではなかったのではないかと、後悔したのは、夜になってからだった。Img_3236 老人になると愚痴が多くて、済みません。

スイーツとコーヒーは、O先生がこの3月に松本に来た時に開拓した、新しい喫茶店「Chiian」において。Img_3255 本物の漆喰壁で、その白い壁の色が清潔な感じを引き立てている。この店は、昨年9月に改造したのだそうだ。ここには、老舗の漬物屋「みずしろ」の事務所があったところだそうだ。松本市には、このひらがなの「みずしろ」と、漢字で書く「水城」と二つの漬物屋さんがある。わたしの小さな時にも、母がよく漬物を買ってきた店だし、わたしもお土産を買うのによく利用した店だ。セロリの粕漬けがわたしの好物で、他にも、ワサビを使った珍味の漬物がたくさんあったのだ。表の漬物屋だったその店は、かりんとう屋さんになってしまったのだ。

Cafe Chiianはこちら

Img_3409 「みずしろ」の遺構として、表から裏へ通ずるトロッコの軌道とトロッコ自体も残されていた。なぜトロッコかといえば、それは松本地方の昔を知っている人であれば、すぐわかることで、漬物の樽がたいへん大きいからだ。Img_3413 「お葉漬け」と呼んでいたが、長野の方では、野沢菜漬けと呼ばれているものだ。その樽が、おそらくお漬物の樽の標準であるとすれば、これを毎日運んでいたら、腰がいくつあっても足らないほどの重労働だからだ。Img_3257 トロッコというのは必然の産物なのだ。

Img_3260 さらに、観光客を斜めに見つつ、大名町の混雑を横切って、昔の六九商店街のはずれからちょっと入ったところにある喫茶店「matka」で、O先生とさらに雑談を楽しんだ。どのような雑談なのかといえば、老人たちの雑談だから、人生物語の1ページということにはなるのだが。Img_3238 人生の中で、時間に間に合わなかった経験、つまり遅刻した経験で一番冷や汗をかいたのはいつなのかという、話すだに汗が湧いてくる話だったのだ。O先生は学生時代にヨーロッパ旅行で待ち合わせ時間に間に合わなかったのだそうだ。次の街でようやく追いついたという話を聞かせてくださった。なんとなく、北杜夫的な雰囲気のお話で、O先生のパーソナリティを思わせるエピソードだったと思う。乗り遅れた時の顔を拝見したかった。わたしもそういえば、高校時代に地学遠足で、バスに乗り遅れたことがあったのだ。

Img_3269 日中の温度がすっかり夏日となり、日焼けした顔を互いに見つつ、女鳥羽川を過ぎたところで、O先生は夕飯を食べにまた中心街へ向かい、わたしは、最終バスへ接続する電車に乗るべく、松本駅へ向かったのだった。Img_3273 O先生は、また夏カフェでと言って、すぐそのあとにも、カメラを片手に隣のビルを撮影していた。

O先生のブログはこちら

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。