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2016/02/01

授業科目「音を追究する」のラジオ収録が終わった

Img_2728 紆余曲折があればあるほど、それを乗り越えて、最後に完成へ至る喜びには大きなものがある。今日の収録をもって、今年度のラジオ制作が一応終了した。まだまだ、行わなければならないことが残っているとはいえ、収録という、授業の中心になるものが終わるというのは、わたしたちにとっては象徴的な事件なのだ。

Img_2725 今日は朝から全員が制作棟3階のRAスタジオに集まって、番組「音を追究する」の一番最初の回と一番最後の回の座談会形式の収録が行われたのだ。主任講師で放送大学同僚のコミュニケーション学のO先生と心理学のS先生、それから各章の担当講師を務めた同僚の物理学K先生、聖徳大学で音楽学を教えているT先生、芸大で音響学を専門としているK先生、そして社会科学からは、わたしが参加したのだ。それぞれ2回から3、4回分を担当した。

Img_2731 これに加えて、15回ずっと見守ってくださったディレクターのK氏、録音スタジオ技師のO氏が通称「金魚鉢」の内と外に対峙した授業だ。対峙したとはいえ、いつもの録音風景とは随分と異なって、これは主任講師やディレクターの人柄を反映していると思われるが、絶えず言葉が満ちていて、笑いを誘う面白い状況が連続したのだった。

Img_2732 授業における「双方向性」が大事だ、と通信制の教育現場ではよく言われる。その場合に、通信制の放送大学では(1)先生と学生との間の双方向性(2)教材と学生との間の双方向性(3)学生間の双方向性、が主たるものだとふつうは考えられている。今回のような学際的な科目では、最後に問われるのは、じつは第4番目の双方向性である。(4)先生間の双方向性もあるのだ。今回のような座談会は、まさにこの第4番目の双方向性を試すことになった。

Img_2734 じつは今回、他の分野の「音」についての考え方に触れて、わたしとしても、たいへん得ることが大きかったのだ。そのことで、少し大げさな物言いだが、「社会の音」についての本質的な点がわかった。100メートル走でピストルの合図で走り出す。この時のピストルの音が「社会の音」の典型であると当初は考えていた。一つの音に合わせて、人びとが集団を形成するのを見ることができる。工場で鳴り響くサイレンも同じだ。

Img_2736 ところが、いろいろな社会の音を採集しているうちに、奇妙なことに気づくようになった。その象徴的な例が「鐘の音」だった。鐘の音も、一つの地域でみんなが聞くことで、おおよその時間を知ることができるという機能を持っている。この点ではピストルの音と同じであると考えられた。ところが、鐘の音を物理的・音響的に分析すると、実に多彩な音による合成物であることがわかり、さらにどの段階の「鐘の音」を聴くかによって、全く異なる音を人びとは聞いていることがわかったのだ。

Img_2729 鐘の音には、撞木をついた時に出る「アタリ」、そしてもっとも鐘の音の中心となる「オシ」、さらに「オクリ」などの音の段階があって、それぞれの段階で鳴っている音が異なるのだ。アタリでは、100デシベルを超えるくらいの強い音で、30ヘルツくらいの低い音になっていて、オクリでは、30デシベルくらいの弱い音なのだが、600ヘルツくらいの高い音になっていく。

Img_2738 このように、鐘の音は多様な音の段階を内包していて、決して一つの音ではないのだ。ところがここが素晴らしいところなのだが、このようにたくさんの音を持っているから、多くの人びとの耳に届くのであり、さらにその人びとは鐘の音を一つの音だと認識するという不思議な現象が最後に起こるのだ。多くの音が一つの音だと認識される構造を持っていることが、「鐘の音」の特色なのだと言える。

Img_2727 わたしは個人的にたいへん得るものがあったのだが、他の先生方も同様であったと思う。先生間の双方向性をとりもってくださった主任講師のO先生とS先生に感謝申し上げる次第だ。他にも、たくさんの面白い話が、座談会では飛び出したのだった。ぜひこの番組を聴いていただけたらと思っている。以下、宣伝。「音を追究する」の番組の放送予定は、下記の通り。

Photo 放送授業期間:20164/1285/67/21

放送時間(2016年度)第1学期:(木曜)2045分~2130

4/295/5までは「ゆとりの期間」で、通常の放送時間とは異なる。

Img_2732_2 最後の収録だったので、終了後「海浜幕張」の街へ繰り出して、打ち上げの酒宴を張ったのだった。そこでは最後まで、音の話題が絶えなかった。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。