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2016/01/11

京都合宿の3日目

Img_2595_2 今日から二日間は、博士後期課程の合宿だ。ところが、今日は成人の日と重なり、放送大学の京都学習センターは休館であり、公共の施設は大方お休みである。それで、奥の手を使って、京都大学医学部の付属施設であるS会館を借りることを大学に認めてもらったのだ。宿を取っている四条から、京阪に乗って、終点の出町柳から、徒歩で百万遍に出て、会館に至る。


Img_2597 島根から出てきているF氏も、程なく到着した。会議室はいくつかあるのだが、一番小さな部屋である和室の会議室を取った。障子を引くと、狭いながらも庭があって、寒椿が咲いている。到着すると、すでに暖房が効いていて、庭へ向かって、眺めの良いところに座椅子を据えて、早速講義を開始する。

Img_2598 講義内容は、経済学研究法ということになっているのだが、ほぼ1対1の講義なので、結局は研究内容に引きつけて、テキストはツマにして、論文作成の話にそれていくことになる。このような雑談がどのような効果を及ぼすのかは、よくわからないところがあるのだが、一括りにして言えば、経済学的な外部効果が働くことになるということになるだろう。Img_2600 ちょっと異なることを題材として、それにプラスして、雑談を加えるようなところで、外部効果のアマルガムを生成してくるというのは、自然科学ではよく見ることころだが、社会科学でも似たようなことが起こるのだろうと思っている。

Img_2604 午前が終わろうとするころには、玄関あたりで、話し声がしてきて、昨日同志社で合宿を行った修士学生のAさんとKさんが現れた。一緒にランチを食べようということなっていたのだ。京大の第2食堂みたいな、近くのレストランへ連れて行くと、ホームページでは「open」になっていたのだが、実際には閉まっていた。仕方ないので、後でコーヒーを飲むために連れて行こうとしていた京大北側にある喫茶店「進々堂」へ行き、カレーランチを食べる。Img_2612 4人くらいで腰掛けると、ここの黒田辰秋の大テーブルはほんとうにゆったりしていて、気持ちが落ち着くのだ。最初にこのテーブルと椅子に会った時には、なんと大袈裟なインテリアだと思ったのだが、このような数十年間変わらずに、しかもこの喫茶店の安定化機能を果たしているのを見るにつき、この木の厚みと温かな材質感が、学生喫茶店としてはどうしても必要だったのだと思い至った。

Img_2605 午後からは、東京からH先生も駆けつけてきてくださって、F氏の研究発表を検討することになった。F氏のテーマは消費者行政であるのだが、今日の「消費者像」の変化とともに、消費者基本法が成立し、消費者庁ができ、消費者教育法が発行されていて、その中で消費者概念をはじめとして、検討すべき課題が山積であり、発表を聞き議論をしていくほどに、問題点が明らかになっていったのだ。

Img_2607 とこのように書くと、表面をすらっと滑っているように聞こえてしまうのだが、今ではすでに当たり前と考えられている「消費者と生産者との分離」というすでに忘れられている近代問題が、現在でも根本的な問題として存在することが理解できるのだった。Img_2613_2 それを「情報の非対称性」と専門用語で読んでみても、また消費者ではなく「生活者」と捉えなければならないと言ったとしても、それで消費の現実を理解したことにはならないと、ということなどが、改めて問題として出てきた。内容については、まだまだ「企業秘密」なので、明らかにはできないのだが、そのうち彼が博士論文として、これらの考え方をしっかりと定着してくれるだろう。期待してじっくりと待ちたい。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=921788417874179&set=pcb.921788454540842&type=3&theater

Img_2617 その後、窓の外が暗くなって、宵闇が迫ってくる時間まで、この居心地の良い場所でぬくぬくと、また、えんえんと議論を続けたのだった。この施設の借用が夕方までとなっていたので、京都中心部の隠れ家的な喫茶店に場所を移した。Img_2624 移動の途中、鴨川端に出て、亀を象った飛び石をポンポンと渡り、神々が導いてくれそうな風景の中を歩いていたのだが、突如としてF氏の家族から緊急電話があり、島根のお母様が腕を骨折なされ、手術を受けなければならないという衝撃的な連絡が入ったのだ。今晩はすでに鉄道の便がなく無理であるが、明日の講義をキャンセルしなければならない事態となった。忙しいときほど、このような事故に見舞われるのだ。Img_2642_2 残念ではあったのだが、明日の講義は次回に持ち越しすることにして、せめて今晩だけでも、時間を挽回しておかねば、と静かな場所の座席を占めたのだった。授業としての生産性にどれほど貢献したのかは疑問であるが、そもそも博士課程の授業というものは、このような性格のものであり、考えてみれば、わたしも大学院では、飲み屋さんで多くを学んだという記憶がある。Img_2636 H先生は、英国で博士号を取ったので、毎回論文や報告を持って、添削を受けたという経験をお持ちで、ところ変われば、また領域も変われば、自ずと研究会のあり方も変わってくるということに違いない。

Img_2635_2 喫茶店の名前は。「Kocsi」と言って、わたしの泊まっている宿から数分の距離にあるところだ。二階の窓が大きく開かれた、そして何よりも、長居のできる喫茶店であるところが素晴らしいのだ。これまでも、京都に来るたびに訪れている。その恩恵を十分に活用して、またこの写真に写っているような安楽椅子風のゆったりした椅子が良くて、またまた長く腰を据えたくなってくる場所なのだ。Img_2637 今風の隠れ家的な喫茶店と言ってしまえば、それまでだが、隠れ家的な嗜好が流行る前から、京都の中心部で観光客に毒されることなく、むしろ観光客を巻き込んで、この雰囲気を維持しているのは稀有な在り様だと言える。末長く続いて欲しい喫茶店だ。

Img_2620 今日の椅子は、やはりコチの椅子を取り上げないわけにはいかないだろう。骨太のボウを持つ、ウインザーの原型風の椅子だ。長くこしかけていても、腰を移動させ、背を預けても離しても、どちらでも自由度が効く椅子の作りをしている。どこで作られたのだろうか。この骨太さは、ヨーロッパではなく、やはりアメリカだろうか、などと想像掻き立てられる椅子である。最後におまけとして、先ほどのS会館に置かれていたマッキントッシュ型の椅子も掲げておこう。背板に、近代主義とアールデコ風が混ざっているという特徴がある。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。