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2016/01/09

京都合宿の1日目

Img_2503 今日から年初めの京都ゼミ合宿だ。晴れの日が続くと予報が出ている。今年はT先生が退任なされて、その分の修士論文審査がないだけ、つまりは午前中分の負担が少ない。それで、午後から審査を始めることにしたのだ。京都へは午後の一番に到着する予定を組んで、この午前に空いた時間を利用して、京都を素通りして、まずは神戸まで足を伸ばした。

Img_2510 兵庫県立美術館で待望の「ジョルジョ・モランディ展」が開催されている。もっとも、すぐの2月には、東京ステーションギャラリーで同じ展覧会が回ってくるので、あえて神戸へ行く必要はほんとうのところ無いのだが、やはり混雑を避けたいのだ。わたしの予想としては、モランディ展自体以前に一度キャンセルがあったので、今回の展覧会は一部の熱狂的な支持者からは相当なリクエストがあったのだと思っている。それでかなりの混雑が東京では予想されるのだ。それほどの意味のある展覧会だと思われる。わたしにとっては、本年度一番期待している展覧会だ。

Img_2508 なぜモランディにおいて、とりわけ「展覧会」というものが望まれるのか。モランディの1枚1枚の絵画それ自体も重要な意味があるのだが、それだけでなく、モランディの場合にはむしろ同じような作風の絵を並べてみることで、多くの意味が見出せるような作風だからだ。たとえば、背景に注目してみよう。多くの絵が床と壁が7対3、あるいは6.5対3.5くらいに分けられていて、しかも控えめな色で区分が行われている。Img_2518 なぜ7であって、5ではないのか、などというのは、一枚の絵だけではどうしようもない。一枚の絵だけでは考えることができないのだ。それから、たとえば、瓶群に注目してみよう。なぜ瓶同士が重なっているのか。重なっていない瓶とどのような違いがあるのか、などというのも、およそ1枚だけの絵からは見ることができないだろう。

Img_2520 モランディの場合、確かに複数の絵を同時に見る必要があるのだ。とはいえ、多くの人が感じるのは、なぜこのように同じ瓶を、同じ構図で、同じ色で、何度も何度も繰り返し描いたのか、という疑問だと思われる。このことを考えるだけでも、この展覧会を見る理由があるのだが。Img_2515 そのために、かなりの時間がかかってしまい、その人びとが美術館に滞留することになるのだから、やはり東京では混雑することになるだろうと思われるのだ。

最初は、みんな同じだ、と思ってしまうのだが、じつは丁寧に見ていくうちに、大方は同じ色や形なのだが、微妙に異なる意匠に気がついてくる。たとえば、心理学のゲシュタルト風に言うならば、「図-地」デザインに見えてきてしまう、ということも起こってくるだろう。Img_2509 スケッチを見ていたら、瓶は一つ一つ異なって描き分けられている場合も存在するが、中には全体が大きな塊になっていて、個々の瓶は描き分けられていないものもあって、そうなると、まさにゲシュタルトのイラストの「図」に見えてくるから不思議だ。Img_2526 モランディがそこに何を見ようとしていたのかが、それぞれの絵として定着されているたびごとに、読み取られるべき内容が存在すると言えるのだった。

Img_2525 時間は無情であって、余らせることを許さない。また、東京に来たら訪れることを約束して、美術館のフォルテッシモ(ff)という喫茶店で、カレーライスを食べる。ここの椅子は金属とプラスチックで作られている。にもかかわらず、冷たい感じから抜け出していて、よく考えられているのだ。椅子では、いかに素材感から自由になることができるのかが重要であると思った。

Img_2529 灘駅から快速電車で京都へ出る。早めに着いたのだが、指導教員をお願いしていた同志社大学のN先生とばったり玄関でお会いする。面接の修士学生もすでに準備体制に入っていたので、予定を前倒しして、面接審査を行うことにする。合計4名の方々の審査を終えることができた。それぞれの学生の方々が、自分の仕事が忙しい中、汗と涙の末に書いてきたもので、その様子がありありと現れていて、2年以上かけた成果を評価するということは、並大抵のことではないのだ。

Img_2531 予定時間を大幅に超過して、こちらの顔色がすっかり変わってしまう(と、A先生から言われてしまったのだ)ほどに、審査を終わらせることができたのだった。今日の仕事は、まだまだ終わらない。Img_2534 そのあと、来年度から制作が始まる新規科目の打ち合わせが入って、学習センターを出る頃には、やはり京都の夜はみんな平等に降りてくるのだった。

Img_2533 A先生がサービス精神を発揮してくださって、夕食に付き合ってくださった。京都の「おばんざい」料理を食べながら、まずは第1日目の夜は更けていったのだ。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。