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2016/01/10

京都合宿の2日目

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Img_2544 今日も京都は快晴だ。地下鉄今出川駅の階段を登ると、御所の空が真っ青だ。今年も、同志社大学のN先生と博士課程のO氏のお世話になった。今回はいつものゼミ合宿で終わらずに、プラスして同志社大学のO氏も発表に加わったことで、社会人合同ゼミが成立したのだった。9時には、同大今出川校舎の入り口に着いて、ぐるっと歴史的建物群を見て回る。


Img_2546これで、同志社大学の教会が開いていれば、朝の瞑想にふける場所ができて言うことがないのだが、そううまくはいかない。日曜だからといって、必ずしも教会が開いているわけではないのだ。歴史的建造物の並びにある誠至館のS23室がゼミの場所だ。いつもは、同志社の学生たちで、廊下まで溢れかえっている建物も、今日は閑散としていて、ほぼわたしたちの独占状態だ。

Img_2551 今年の冬合宿の標語は、「論文の中核となるアイディアを発表する」というものだった。まだまだ、4月からわずかに10ヶ月間だけ経ったばかりで、このようなところが明らかになっているわけではないが、目標は高く持ちたい、ということだ。今回のゼミでは、多くの方々が悩んでいる様子を見せているのだが、悩み方の方向性が良い方向へ進んでいる方が多かった。個々に事情は異なるといえ、良い成果が表れているのではないかと思ったのだ。Img_2550 そしてさらに、集まった方々の意識は高く、テーマの知識集積も驚くほど進んでいて、4月からの進展を示すものだった。ほんとうに喜ばしい限りだ。さらに、先輩たちも手弁当で、3名も駆けつけてくださった。

印象に残った発表も今回は多々あったのだが、やはり客分の同志社大学のO氏のテーマに興味津々だった。京都特有の地域金融というものがあり、これが京都の歴史的産業である繊維産業・流通に関わっているというたいへん面白いものだったのだ。簡単に言うならば、製造業系の信用である「西陣タイプ」と、商業系の信用である「室町タイプ」の違いがあり、これらをめぐって、地域金融の歴史が展開するのだ。現代における京都の保証協会のあり方も、このことに関係するらしい。詳しくは、O氏の博士論文をご覧になっていただきたい。

その昔、高校時代の友人S くんの導きで、西陣織元の家へ連れて行ってもらったが、そこでの金融がこのような特質を持っていたとは、もちろん当時は気がつかなかったのだ。結局のところ、今回のゼミで、地域金融、地域交通、農村経済などのテーマが出てきて、そこでの地域特性として、「サーキュレーション(循環)」ということの存在が強烈に浮かび上がってきたゼミだったと思われる。また合同ゼミ自体が、サーキュレーションを起こし、いわば「アマルガム(amalgam効果」を及ぼすものとなったのだ。

Img_2553 夜恒例の懇親会では、慣例として、すべての出席者にスピーチをしてもらったのだ。ある大学院生が奥様から、「そんな歳で大学院へ行って、何の役に立つの?」と言われたという話をした。Img_2558 すると、前にいた他の大学院生が、次のようなエピソードを披露してくれた。昨夜仕事が終わってから、一生懸命今日の発表のためのレジュメを切っていると、パソコン画面を覗き込んで、奥様が聞いてきたのだそうだ。Img_2559_2 「楽しい?」一瞬考えて、「楽しい」と答えたのだ。それで、奥様はこうおっしゃったのだ。「もし楽しくないと答えていたら、そんな楽しくないのであれば、止めてしまいなさいというつもりだった」ということだった。 Img_2588 社会人学生の取り柄を遺憾なく発揮していて、このようにほんとうにホロりとさせられる瞬間があるのだ。Img_2570 学問をするということには、精神的・財政的スポンサーが必要で、とりわけ家族の寛容さというスポンサーシップが最も重要だということだと思われる。Img_2589

Img_2574 この場所も、いつもお世話していただいているWさんが予約を取ってくださったので、スムーズに開くことができるのだ。同志社大学のモットーが書き込まれたオーナメントと大理石の大テーブルがいつものように光り輝いている。

Img_2578 懇親会が濃密に、けれども2時間という短時間で終了したので、まだまだ夜は長く残っている。地下鉄で四条へでて、これも恒例になった出張先での映画鑑賞に入ることにする。Img_2582 今日京都シネマにかかっていたのは、ボグダノヴィッチ監督の「マイ・ファニー・レディ」だ。日本では、外国でもそうだと思われるが、「ファニー」という名前がつけば、ああ、あのテーマか、ということになるのだが、その通りだった。Img_2584 が、しかし、この言葉の過剰さには、ウッディ・アレン系の映画的な特性が感じられたのだった。

Img_2583 大方の筋は、予告編でも出回っているので、そちらをご覧いただきたいが、一言で言えば、互酬システムの映画である。そもそもの元は、オーウェン・ウィルソン演じる演出家が女好きで、付き合う女性を次々に換えていく女性交換システムの映画であり、同時に、付き合ったすべての女性がそれぞれの個性を発展させるという人間コミュニケーションの映画でもあるのだ。Img_2585 この演出家の女好きという人間特性には特徴があって、すべての女性を同じ口説き文句で落とし、(この同じ文句が映画の最後に有名な白黒映画時代の映画からの引用であることを知らされるというオチが付いていて、なぜこの言葉で並み居る美しい女性たちが口説き落されるのかがわからないままに、映画が進行して、それがこの映画自体の互酬システムの効果を上げていて、これがまた面白いのだが)Img_2586 ベッドで一緒になる女性ごとに、その見返りとして、3万ドルをプレゼントし、その元金で関係する女性たちが自立・発展していくことになるという意味でも、互酬システムが働くのだ。そして、最後には、バラバラだった関係が、その3万ドルで発展されたシステムの中で、すべて結びついて、大団円を迎えるのだった。

Img_2590 今日の椅子は、京都シネマの映画座席の椅子だ。なぜ映画館の椅子は「赤い」のか、ということを代表して表しているからだ。もし映画館が暗くならなかったら、この赤い色は目について仕方がないだろう。 けれども、幸いなことに、この赤い椅子の空間は、ほとんど真っ暗な中で機能する。だから、あまりに目立ちすぎる「赤」でも大丈夫なのだ。 日常生活では、こんな真っ赤な椅子は使わない。だからこそ、真っ暗な空間の椅子として、真っ赤な椅子が成立するのだった。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。