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2015/10/17

クラフトピクニックを楽しむ

Img_2793 松本市で毎年開かれている「クラフトピクニック」へ来ている。椅子の職人作家S氏のテントへ密着するためだ。毎日こんなに多くの時間、そばに立っていられると、多分かなりいやだな、と思われてしまうはずなのだが、この包容力のあるところがS氏の魅力だ。

Img_2629 朝、あずさ号の小谷行きに乗って、松本へ入る。この週末は秋の収穫が成って、さまざまなイベントが開催されているためだろうか、午前中は指定席がすべて満席で、座席は混雑していた。けれども、隣の席に座った方が、ずっと読書をしていたので、静かな旅を楽しむことができた。朝のコーヒーは、クラフトピクニック会場の「あがたの森」公園への通り道にある、コーヒースタンド&本屋「S」にて、カフェオレ。Img_2634 O先生がよく行く市民芸術館裏の「G」にて、早めの昼食で野菜カレー。もちろん、これらの店主たちが、どのような工芸に注目しているのか、情報収集も怠りない。

Img_2638 「クラフトピクニック」は木工・金工・手芸などの職人作家が、一緒に作りながら、手仕事の内容を展示している、ワークショップ型のイベントだ。春にこの会場で行なわれている「クラフトフェア」よりも、参加する人数も限られていて、ゆっくりと工芸を楽しむ工夫がされている。Img_2664 フェアが消費者と製作者の取引の場に限られてしまう傾向があるのに対して、ピクニックは素人であっても、玄人に密着して、質問したり自作を楽しんだりすることができる。参加型の中でも、より深く関わる工夫がされている。けれども、こちらではむしろ素人と玄人の真の違いというものが明らかになる。じつは、そこがたいへん面白いところなのだ。

Img_2648 今回も新たな発見が目白押しで、それをS氏の確かめると、それはダメだとか、それはいいでしょうとか、反応してくださるので、たいへん参考になるのだ。そばに密着しているとわかるのだが、インフォーマルな結びつきの面白さがたくさんあることに気づくのだ。Img_2751 例えば、当日S氏の椅子仲間の一人が、テントの裏に2脚の椅子を持ち込んだ。写真にある「猫椅子」だ。構造は簡単で、一枚の板が座板となっていて、椅子の脚と、猫を形どる付属品は、鉄でできている。跨っても良いし、ベンチ風に腰掛けても良いのだ。

Img_2684 まず、猫の動きが描写されていて、動的な椅子となっている。このような動物椅子は、18世紀ごろのフランス宮廷の猫脚の例はあるが、それは部分的な脚の話なので、このように、椅子全体が、猫の形をしていて、構造にきっちりと組み込まれたものは珍しい。Img_2688 足が互い違いに作成されていて、猫が歩いている様子を描写している。けれども、通常の足の運びとは違っていて、やはり椅子として成立するための正統的な安定性をちゃんと確保している点は素晴らしいな、と思ったのだ。

Img_2706_2 感心したのは、次から次へ、この椅子を観察しにくる仲間がいたということだ。先日のグレイン・ノートでの椅子展に出品していたSa氏は自分のテントから出張してきて、素敵なカメラを持ち出し、撮影をしていた。昆虫採集を行うように撮ったというところだろうか。Img_2709 もちろん、仲間でもT氏のように、他の人の作った椅子はなるべく見ないようにしている、という反応もあって、強く他者を意識していることには変わりない反応もあるのだ。暗黙のネットワークが存在していて、それぞれに椅子が出てきたら批評というのか、検討を行うことが観察できたのだった。

Img_2711 面白かったのは、S氏の反応で、縦横方向の構造は問題ないのだが、斜め方向の構造に難があるのでは、と問題提起していたことだった。それは専門的なところになるので、今度作った本人に聞いてみたい点だ。もっとも、それから純粋に木工作品ではないところも、おそらくわたしが想像するに、気に入らなかった点だったと思われるが、違っているかもしれない。

Img_2643 S氏のテントには、千客万来で、全部で16脚用意したワークショップ用の組み立てスツールも、1日の途中でほぼ半分が予約済み状態だった。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。