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2015/09/21

「シルバーウィーク」と呼ばれている期間

Img_2289 「シルバーウィーク」と呼ばれている期間に、松本へ来ている。春のゴールデンウィークに対抗して、秋のネーミングを考えたのだそうだ。これが毎年続くのであれば、このような恒常性を思い浮かべるネーミングでよいと思われるが、ここ数年で、2009年と2026年だけだそうだ。Img_2291 それだったら、「葡萄のめぐみウィーク」とか、「宝くじ的ウィーク」とか、「猫のひたいウィーク」とか、という意外性のネーミングの方がずっと罪が軽い。せっかくだから、毎年このシルバーウィークを続けてほしいと思う。

Img_2296 松本へ、来年度の授業番組制作の下準備で来ている。木工関連の取材を続けていて、いくつもの興味深いことに遭遇している。たとえば、極めて当たり前だとこれまで思っていたのだが、木工の職人の人びとが工房を構えるところは、だいたい中山間地域なのだ。だから、適度な都会と適度な田舎の両方が存在している、松本市はちょうどよいロケーションだと思われる。Img_2308 これよりも、都市の機能が薄れてしまうと寂しいし、これよりも田舎性が無くなると、木から離れてしまう。木工の工房のように、生活のそばにあって、なおかつ、生活から離れた仕事をする環境が必要なのだと思われる。

Img_2311 Sさんの店「グレイン・ノート」の二階では、「椅子展’15」が開催されている。今回、わたしは娘を伴って来たので、好都合とばかりに、ビデオ撮影を頼んでしまった。20人の椅子職人作家の椅子をひとつずつ丁寧に撮ってくれた。その間に、数時間かけて、ひとつひとつの椅子に試しに坐りながら、Sさんのお手すきの時間を狙って、いろいろな話を聞いたのだ。

Img_2360 それで気づいたのは、椅子展と家具屋さんの違いだ。椅子がたくさん並んでいるのは、ふつうの家具屋さんと同じだが、それに対して、「椅子展」の椅子は、むしろ椅子の可能性を表していて、生活を超えて、もっと自由な椅子の可能性を示していて、楽しくなってしまうのだ。Img_2353 もちろん、展示即売会なので、売り物であるのだが、それ以上に、椅子はもっと可能性のある道具であって、生活から着かず離れず存在していて、わたしたちの最も身近な道具なのだ、と見ていて改めて思ったのだ。

Img_2354_2 Sさんの話を聞いていたら、民芸の家具を作っている職人の方や、松本市の街起こしに関わっている都市工学の方、さらには鑑賞のため訪れた観光客などが、次から次へ訪れて、話に加わってくださった。たとえば、民芸の方が問題提起していたのは、椅子の柱をつなぐ「抜き」のことだった。伝統的な椅子には、補強のために、「抜き」が存在するが、ほんとうに必要なのだろうか、ということだった。Img_2357 これは、たいへん面白かった。また、伝統の製法と異なるのは、機械をどの程度使うのか、ということにも現れる問題なのだそうだ。かえって、古い機械を改めて買い求めたりするようだ。この辺が、個々に異なる「職人の世界」というものがあり、たいへん面白いところだ。

Img_2358 街おこしの方は、木製ベンチの限界について、述べてくださった。木製ベンチを外に置く場合に考えられる、雨風からの耐久性や、木に対するケアなどを考えると、街のベンチを木製にする危険性はかなりあるようだ。Img_2310 街の壁に据え付けたり、屋根のあるベンチを考えたり、ということも考えられる。などと話していると、いつの間にか時間がどんどん経ってしまったのだった。

Img_2365 長野市からきた老夫婦が、会場をじっくりと見て回っていた。ご主人が今年定年退職を迎えるそうだ。それでというわけでもないのだが、玄関に置くためのスツールとして、木目が綺麗に出た椅子を検討していた。いろいろと坐ってみることができるのは、たいへん良い仕組みで、種類豊富に触って坐ってみることのできる稀有な展覧会だと思った。Img_2367_2 坐って見ると、ワインの試飲と同じように、愛着が湧く椅子と、何も感じない椅子とがほんとうにあるのだ。わたしは、来年の話の素材となるSさんが作った木製椅子を、2脚購入した。どのような話として、これらの椅子が出演してくるのかは、乞うご期待というところだ。

Img_2283 シルバーウィークの観光客で、このグレイン・ノートのある中町通りは、すっかり混んできている。帰りに、縄手通りを抜けて、大名町にある枡形広場の「一箱古本市」を足早に覗きつつ、松本城のイベント公園へ出る。この街には素敵な古本屋がまだまだ健在で、本をめぐる文化が残っている。Img_2388 公園では、昨年も見物した、クラフトビールフェスタが開催されていた。すでに、夕方になっていたので、残り少なくなっていたが、ひとりでビール醸造を行っているというC醸造のIPAエールを飲む。Img_2393 ホップが効いていて、苦味と酸味が良い調合を示していた。ビールを片手に、駅まで急いで歩き、買い物を済ませて、実り多い一日を振り返りながら、電車に揺られた。Img_2411 Img_2404 Img_2400 Img_2398

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。