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2015/08/04

母の法要

Img_0737 母の七七忌法要のため、O市へ来ている。海抜の高いここでも、日中は30度を超える。それでも、空気はからりとしている。すでに7月に千葉で母の葬儀は行っていたのだが、今回、遠方に住んでいるために納骨をここで行わなければならい。T寺のご住職には、いろいろとご配慮いただいた結果、この季節からすると、どうやら受戒・七七忌・新盆の三つを同時に行うことになるらしい。これも、この地方が旧盆で行うことになっているからだろう。

Img_0882 葬儀の家族葬に準じて、今回の法要についても、ほんとうに近親の方々だけに集まっていただき、お寺で営んだ次第だ。S町のN伯母さん、O市のT叔父さん、S市の従兄弟I兄さん、それに妹夫婦に、わたしの家族だけだ。しばらく待ったのち、古くから磨きこまれている廊下を経て、本堂へ移動した。宗派は曹洞宗なので、「修証儀」に従って、懺悔、受戒、引導などと続いた。すべてわかったわけではないが、理解しやすいところも多く、「習わぬ経を読む」の境地で興味深く、お経をなぞった。そして、主たる部分には、プリントが回ってきて、集まった人びとの唱和となった。

Img_0880 これらの中で、T寺のご住職の講話には、説得的で意味深いお話が多かったと思う。中でも、「ブナの木」の話はたいへん興味深いものだった。ブナの芽吹きは、下草の芽吹きに遅れて生ずるそうである。このため、ブナの木の下には、下草が育ち、葉が邪魔することなく、ブナの木は下草との間で十分に共生できるようになるのだという話だった。ここには自然の調和が働いているのだという仏教の教えが反映しているのだと思われる。先日のブログでも書いたように、生物学の先生に教わったことだが、鳥たちの多様性を保つためには、このような「林」にとって下草というものが大切であり、幾重にも渡る自然の調整がここに生ずるのだ。これによって、初めて多様な共生が起こり、全体の調和が保たれることになるのだ。

Img_0886 今回の法要では、ひとつ問題があった。それは、納骨のときに墓石をずらせて、室にある棚にお骨を収めるのだが、じつは「どのようにしてこの分厚い墓石をずらせるのか」、わたしの中には、まったくこの記憶がないのだ。数十年前に見た、薄暗い墓の地下室のほうは夢に出るほど鮮烈な記憶が今でもあるのだが、この「ずらす」ことの記憶がないのだ。それで、92歳になるT叔父さんにお聞きすると、基本的には、近親者で行うのが当たり前だそうだ。この辺が予想もできないローカル・ルール中のローカル・ルールなのだと思われた。ところが、昔作られたほんとうに分厚い花崗岩の石蓋なので、とてもわたしたちの手に負えるものではない。無理を言って、前もって石材屋さんに、棒を石の下に挟んでもらっておき、あとは自分たちで石を持ち上げることになったのだが、われながら不甲斐ないことに、実際に力を出したのは、その92歳のT叔父さんだったのだ。

姿を現したのは、写真でわかるような、穴倉状の、墓の地下の室であり、この中には、三層の棚があるのだ。ご覧に入れるわけにはいかないが、ご先祖様のお骨が現在でも並んでいる。骨壺に入ったもの、入らないもの、様々な形態で収められており、この中に入ると、冷んやりとして、あの世へ一歩足を踏み入れた感じだった。身体全部を穴倉に沈めたときには、わたしも死んだら、意識はもうないかもしれないが、この冷気のなかで暮らすことになるのだと思って觀念したのだった。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。