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2015/07/06

精神安定剤としてのコーヒーの効用

Img_0776信州のO市へ来ている。昼食は駅近くにある蕎麦屋Kで、てんぷらおろし蕎麦だ。まだ、客がまばらで、常連の客がひとり啜っていただけだ。Img_0723 特急あずさ号で都市の喧騒を離れて、蕎麦湯でゆったりと今日の計画を練る。

Img_0724

今日は3杯のコーヒーを、同じ一つの焙煎珈琲の喫茶店Uで、時間を違えて、それぞれ味わった。Img_0733_2 飲んだ銘柄は、「エルサルバドル パカマラ」、「ハイチ マールブランシュ」、「ドミニカ アロヨボニート」という、いずれも浅煎りで酸味の強い豆だ。このUでは、南千住の著名な喫茶店CBと同様に、カウンター奥の棚に深煎りから浅煎りに向かって、瓶が10以上並んでいて、味の多様性を確保している。わたしの頼んだのは、棚の右側に並んでいるものだ。

Img_0731 最初の「エルサルバドル」を飲んで向かったのは、一つ目のお寺だ。このお寺には、わたしの祖父がこの街へ移ってきてから、ずっとお世話になってきた歴史がある。このお寺の戦前の写真をみているとわかるのだが、お寺の格式と徳の高さ、そしてそれに付随したその規模の大きさとは、この街に対してたいへん影響力が大きなものだった。戦後、総本山が大火事に見舞われ、その立派だった本堂は焼け落ちてしまっていた。ご住職が現在の若い代に変わったときに、母は千葉に居たので、連絡が悪く関係が薄くなっていた。今回、母が他界した機会に、話し合いを行った次第だ。コーヒーで気分を落ち着けてきた効用が、十分に働いたのだった。

Img_0732 「ハイチ」と「ドミニカ」を飲んで伺ったのは、もう一つのお寺だ。実質的に、現在のお墓がこのお寺の境内に建っていて、毎年墓参りに出かけるお寺だ。四十九日の法要と納骨の相談を受けていただくために、出かけてきたのだ。祖父や父の法要では、ここの本堂をお借りして、大勢の人びとが集まり、親戚の結束をはかり、多くのお坊さんが経を読んで、参加しているものにとっても、見るからに壮大な葬儀が行われたものだった。

Img_0736 今回は、母の家族葬に引き続くものであって、やはりこちらに居住している親戚だけの小規模な納骨をお願いしたのだった。以前のことを重視する地域の慣習から、かなり逸脱することなので、直接お会いして、いろいろの話し合いを行っておきたかったのだ。幸いなことに、一つ目のお寺でも、二つ目のお寺でも、十分に話を聞いてくださり、この地へ来た甲斐があった。

Img_0739 さて、コーヒーについてだが、じつはこの珈琲屋Uには、この街ではかなり大きなお寺のご住職もたびたびいらっしゃるとのことだ。かなりコーヒー好きらしく、この店の豆を大量に買い付けていくそうだ。いらっしゃると、店の豆がなくなるほどだ、という表現をしていたのが、印象に残っている。

ということは、コーヒーというものの、人を落ち着かせる効用には絶大なるものがあると、わたしのような世俗の者だけでなく、お寺のような聖なる人びとも考えていることがわかるのだ。わたしがコーヒーで精神統一してから、お寺へ向かうということも、理由ないことではないと言えるかもしれない。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。