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2015/07/07

素材としての木材

Img_0749 母の葬儀について相談があって、O市に来ている。母方の親戚の方々と話をする機会を久しぶりで得ている。母方の祖父Mは、田舎から出てきて、このO市で木材業を営むことになる。木材業では、木材そのものを売ることになるが、これに対して、木材の購入は「山」全体を購入することになる。それで、「山師」ということになるのだ。

Img_0779 そこで、これら全体をみるために、山の売り買いをマネジメントする能力が要求されたのだ。良い素材の木を見極め、伐採し、運搬を指示して、街の製材所で商品にするまでの一貫した工程を管理する。家が潰れる前までは、わたしも幼稚園時代から小学校時代にかけて、祖父や父に連れられて、木曽のヒノキの山や、北アルプスの石灰岩の多い山などを見に行くのに同行することも何回かあった。

Img_0760 T家のM叔父さんは、はじめ祖父を手伝っていたが、その後独立して、長らく製材所を経営してきた。現在、90歳を超える方だ。今回、木製の椅子について考えている、ということを言ったら、「素材としての木材」の様々なエピソードを話してくださった。もちろん、製材にもそれぞれ専門があって、M叔父さんの場合には、建築用材だ。

Img_0772 椅子の色ということに話が及んで、椅子の素材を製材したことはないがと前置きしつつも、木材の色を出すには、やはり広葉樹の心材が良いということで、山桜や栃の木などを挙げていた。椅子の製材で難しいのは、木の「癖」だそうで、通常でも、6、7年は木材を寝かせて、癖を見てから、制作に取り掛かる。ここをパスすると、坐っていて、ガタガタと足の長さが合わなくなったり、座面に割れ目が入ったりするらしい。それで、この6、7年間の木材を寝かせる費用が相当にかかるのだそうだ。

Img_0767 他方、それでは建築材で、色を意識するのはどのような時なのか、と質問をした。叔父さんはしばらく考えて、床の間に使う木材「えんじゅ」や「あららぎ」を教えてくださった。M叔父さんの家に使われている「あららぎ」を実際に見せてくださった。Img_0770_2 写真にあるのは、仏間の長押に使われていたものと、応接間の床柱だ。この白と赤の配合がうまく出るように製材するのが、腕の見せ所なのだ。Img_0771 赤が心材(赤身)で、白が辺材(白太)で、ふつうは、この辺材を切り捨て、心材だけを建築には用いるが、このように床材の色を楽しむ場合には、辺材との対比を重視するのだそうだ。

Img_0790 帰りに、松本で途中下車した。火曜日はじつは市内の商店の多くがお休みの日でいつも寄る喫茶店が軒並み駄目だった。それで、松本市にあらたに最近開店した地方出身の店をいくつか回った。奈良のN店や京都のTなどの陶器屋や雑貨店などが、女鳥羽川沿いに洒落た店を出している。これらの店は、中町通りにある昔からの民芸店を意識して出店されていることはたしかである。

Img_0796 昼食は、その中にある「タイ料理」の店で、グリーンカレーをいただく。その後、以前松本を訪れた時に、時間がなくなって駅まで走ることになってしまった、Img_0828 その店、コンフィチュールの店Mで、あんずとイチゴのジャムを今回はゆったりと購入する。

Img_0805 今日の椅子は、松本の中町通りにある公園のベンチだ。藤棚の下に設置されていて、街歩きに疲れたときに、ちょっと休むには丁度良い。

Img_0806 よく見ると、長年の使用で、木の「癖」が典型的に現れているのをみることができた。節から傷みが走って、板の部分に割れ目が見える。ここまで使われれば本望と考えるのか、Img_0808 それとも、職人風に言って、木の「癖」をきちんと読めば、もっと耐えられたのに、というのか、評価が分かれるところだ。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。