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2015/05/30

奈良学習センターにて、面接授業

Thumb_img_0185_1024 奈良学習センターにて、面接授業が始まる。JR奈良駅近くのホテルに宿泊をしていたので、ゆっくりと三条通を興福寺に向かって歩いて、近鉄奈良駅をとおって、北町へ入り、奈良女子大内にある学習センターへ到達する。まだ、9時になるかならないかで、約45分の開始まで時間があるにもかかわらず、すでに数人の学生の方々が集まっていた。

わたしのパソコンがプロジェクターにうまく合わなかったので、学習センターのパソコンを急遽お借りして、授業を開始する。面接授業での方法は先生方によって異なるが、わたしの場合には、ほぼ必ず自己紹介を含めて、本題に関係した経験や体験を述べてもらうことから始めることにしている。

本日の本題は、なぜ働くのか、ということだったので、社会人学生の放送大学学生にとっては、得意分野だ。まず、手を上げて説明してくださったのは、70歳になるNさんだ。最初は現場の労働者だったが、定年まじかで人材センターの福祉関連の職業に就いたそうだ。このスムーズに転換がうまくいったことが温和な顔に表れていた。

女性の勢いが教室でも止まらない。二番目のAさんは女性上司のいる職場にまずは就職し、子育てと両立できる職業に移り、さらにもう一つの職場を目指しているのだそうだ。それぞれ働く意味が移り変わってきたという経験を話してくださった。次から次へと、手が挙がって、発言する方々が多く、放送大学生の特色が現れた面接授業となった。もちろん、わたしのしゃべる時間も必要なので、それを十分に確保しながら、進めなければならないのだ。

Thumb_img_0137_1024 お昼は、かねてより、奈良女子たちがたむろするような、古民家カフェを選んでおいたので、ちょっと距離はあったが、M店まで足早に行って、カレーをゆったりと食べて戻った。雑貨も置いてある、今風の喫茶店なのだが、風が吹き抜ける「小屋」のような作りがたいへん良い家屋だった。Thumb_img_0138_1024 テーブルには、柳宗悦や芹沢銈介などの書籍や、中村好文などの木工の書物が並んでいて、それを見ながら食べることができた。今日は日差しがたいへん強かったので、行き帰りの道筋はちょっと辛かったが、美味しいカレーとゆったりした小屋に満足する。Thumb_img_0140_1024

Thumb_img_0173_1024 帰りに、「サードプレイス」へ行った。一年ほど前に、卒業研究論文審査で奈良へ来ることがあった。Thumb_img_0176_1024 そのときに、「Third Place」という名前をつけた場所の前を通りかかり、ちょうどみすず書房から出ていたそのタイトルの書物を読んだところだったので、先進的な名前の店だな、と思っていた。そのときは、残念ながら寄る時間がなくて通り過ぎてしまっただけだった。

Thumb_img_0177_1024 今日の奈良学習センターの面接授業を終えて、その後いくつかの場所を巡って、最後に、奈良市の三条通に出るときに、そのことを思い出した。まだ存在するのかな、と思いつつ、記憶を辿って、その場所を見つけ、看板が確かにかかっているのを見つける。

Thumb_img_0178_1024 ところが、なんとタイミングが悪いことか、今日で閉店なのだそうだ。3階にある店へ行ってみると、後片付けの最中だったが、ちょっと手を休めて、雑談に応じてくださった。11年間、「マフィン」の店をここで開いてきたのだそうだ。31歳から42歳までで、10年間のつもりだったのが、ついそれを超過して続けてしまったのだとおっしゃる。サードプレイスという言葉も、10数年前に東京へ行ったときに、友人からもらった言葉だったそうだ。先進的な言葉のつかみ方を行ったらしい。

それで、これからの次の人生では何を行うのかを問うと、医療をやるのだというのだ。それはまた、随分な転回だ。おそらく、家族の介護や医療の必要性に差し迫っているのだということが予想されたのだ。つまり、彼女の言い方を借りるならば、サードプレイスから再びファーストプレイスとセカンドプレイスの中間へ戻ってみるのだということだ。

Thumb_img_0172_1024 でも、そのあとはまた、サードプレイスにもう一度戻ってくるかもしれないとのことだった。10年後に、また訪れてみたいと思ったのだった。さて、今日の椅子は、奈良市内のバスの待合場所に置かれた、杉の丸太をくり抜いたベンチだ。利用者に使い込まれていて、Thumb_img_0170_1024 丸太という丈夫な素材を得て、古くて誰にも注目されない、けれども繁華街の小さな片隅に置かれていて、多くの利用者の役に立っている。利用者は意識していないかもしれないが、十分に市民の資格をもつベンチなのだった。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。