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2015/03/21

学位授与式を参観する

Img_9289 NHKホールで行われた学位授与式を参観する。学生からの謝辞には、考えさせるものが毎年含まれていて、聴いていてほんとうに楽しい。Img_9288 他のひとにはどのように聞こえたのかわからないのだが、同僚のY先生ゼミ卒業生の述べた謝辞は、一見それほど工夫を凝らせた節は見られないと思われた。だがしかし、あとで考えてみると、含蓄のあるものだった。たとえば、「卵焼きの隠喩」はあやうく見逃すところだった。

Img_9294 小学校のときには、勉強が嫌いで、母が作ってくれた「卵焼き」を 食べることができるというので、学校に通った。そして、勤めている間、数年のブランクの後に、今は妻の「卵焼き」を持って、放送大学の学習センターへ通って、卒業に至ったのだというのだ。

Img_9303 この「卵焼き」とは、いったい何だろうか。メタファーにしているところが表現として憎いところだが、この「卵焼き」は何にでも置き換えることができる。たとえば、元気であったり、励ましであったり、支援であったりということになるだろうが、このような説明的な言葉を使わずに、「卵焼きを持って生涯学習」だけで、話が通ずるのだ。

Img_9309 場所を移して、赤坂のニューオオタニにて、懇親会が始まる。卒業研究生や修士課程のゼミ生との歓談は、この1年間の思い出が基本にあるから、とても懐かしく、また思い出しても楽しいことがあって、まだまだ議論したいことが見つかるのだ。Img_9318 それで、このような全学的な懇親会の便利なところは、他のところにもあるのだ。何人かの初対面の学生の方がたが、寄ってきて話をしてくださる機会としてたいへん有難い。

Img_9313 いく人かのかたとの会話が印象に残った。たとえば、会場の向こうのほうからこちらをちらっと眺めながらその方はいらっしゃった。Mさんは、昨年放送大学を退任なさった佐藤先生のところで哲学を勉強した方だ。今学期、わたしの科目「社会的協力論」を履修なさったそうだ。それで感想を述べてくださったのだ。内容を要約するとほぼ次のようなことだった。「協力」というものが通常はあたかも参加者同士が合意に基づいて行われるから協力なのだ、という面ばかり強調されているが、そうではなく、動的で便宜的で、その場面に至ってようやくにして立ち現れるものだ、という。Img_9306 このような「協力」の本質的な議論をなさりはじめたので、わたしはすっかり嬉しくなってしまったのだった。そこから始まって、さらに授業内容についても、面白い見解を示してくださって、ここまで受講生の方がたに読んでそして聴いていただければ、ほんとうに制作者冥利に尽きるというものだ。

Img_9302 もう一人の印象に残った卒業生は、山梨からいらっしゃったIさんだ。わたしのブログをみていてくださっていて、そこからリンクされている早稲田大のO先生のブログを知ったそうだ。そこで偶然なのだが、彼女はなんと30年ほど前に、山梨でO先生の授業に出たことがあるのだそうだ。25年間は専業主婦で家にいたのだが、ここ数年は放送大学の学生を始めていて、第二の人生を歩み始めているのだそうだ。30年を経て、ふたたび社会学を勉強し始めているとのことだ。この巡り会う時間の不思議さに感激したのだった。

Img_9324 懇親会が終わって、仕事で授与式と懇親会に出ることができなかったMさんと合流し、修士課程修了生たちと赤坂の喫茶店でお別れの懇談をして、散会したのだった。何人かの方がたは、今後の第二論文の展開が期待できそうだったし、さらに多くの方々から、研究誌「社会経営研究」への投稿を取り付けた。そとは、春の夕闇が緩く迫ってきていた。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。