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2015/03/13

合宿からの帰り道・寄り道

Img_9199 この温泉旅館のある一帯には、いろいろな名産品があるのだが、昨年小梅漬けを買って帰ったら、妻が美味しいというので、今年も宿から分けてもらう。もちろん、朝食にも回ってきて、お茶のともにつまんだ。雑談をしていたら、早めに次の訪問地へ行こうということになって、この段階で東京へ帰ってしまう先生方を見送りして、Img_9211 最後の朝風呂温泉へ飛び込む。さすがに、温泉の熱さは朝になってぶり返していて、温度の高い風呂に入ると、一瞬身体がこわばって、血の巡りが止まってしまうような感覚になり、身体中がさっと真っ白に冷えるかのような瞬間を楽しむ。けれども、2、3分もすると、身体の中からじわじわと温まってくる。

Img_9212 山道を登って、まだ根雪の残る山里の道を行く。すると、河岸段丘が急に開けて、平原が目の前に広がる「須川宿」に到着する。午前には、ここにある観光客用の「たくみの里」で工芸作家たちの作品を見て歩く。といっても、まだまだ午前中で早かったため、店が閉まっているところが多かった。Img_9223 そこで、かねてより入ってみたかった「マッチ絵の家」に併設されている喫茶店へ入る。ここは、名前のとおりのマッチ絵の画家がいて、工房を開いている。そしてそのマッチ絵が、とても素敵に改装された隣接の喫茶店のギャラリーで展示され、他の鉄職人の作品などとともに売られている。

Img_9225 家自体が窓の大きなモダンな家に改築されていたので、気が付かなかったのだが、ここは100年以上たつ養蚕農家の小さな家だったそうだ。太い梁や柱がこげ茶に塗られて、木張りの床に合っている。Img_9224_2 来年授業で取り上げ予定の木工品に関係するような、素敵な骨董品が集められていて、それらを眺めているだけで、時間がゆったりと過ぎていく。Img_9227 ほんとうはこれから蕎麦打ちを見に行くことになっていて、Aさんがわざわざ教えにきてくださったのだが、この喫茶店で話を聞いているうちに、それを逃してしまった。観光も意外なところで忙しい。

Img_9235 この喫茶店で注目したのは、この椅子だ。骨格は手作りの細い鋼鉄で構成されていて、かなり丈夫な作りをしている。珍しいことに三本脚の構成を取っていて、前部に足をかけるようになっている。ここに足をかけて、腿のところで、何かの作業ができるかのように作られている。この前部の広がりは美しいとともに、機能性が考えられているのだ。Img_9229 それから、何気なく背板がちょこっと、一本の鉄の柱で上に伸びているが、実際にすわってみると、こんな小さな背もたれなのに、すっと背中のツボに張り付いてきて、気持ちが良いのだ。Img_9228 また、この椅子には、テーブルがセットされていて、写真の後ろに写っている。やはり細いテーブル脚なのだが、それに似合わずどっしりとした一枚板が乗っていて、存在を誇示するテーブルとなっている。この古い家に似合っている。そして、部屋の対角線上に据えられた薪ストーブの重量感に拮抗しているのだ。

Img_9232 じつはこの椅子とテーブルを作った鉄職人Nさんの作品が、何点か小物の鉄製品としても売られていた。その中に鉄のカトラリー展示があった。なかでもコーヒーメジャーが展示されていて、すっと細い首を伸ばして、くるっとした匙の部分を強調しており、このバランスが素晴らしかったのだ。鉄の錆びがこげ茶色に付着して、と思ってよく見たら、錆びではなく、漆が焼き付けられていて、落ち着いた道具となっている。店の方に許可を得て、写真を撮らせていただいた。Img_9234 すると、一緒に見ていたK先生が、わたしが放送大学を退任するときに贈ってくださる、と言ってくださった。実現するとは思わないが、嬉しかった。それまで、売れ残って待っていてほしいのだ。

Img_9277 喫茶店の女主人のかたと雑談をしていて、しばらく経ったので、今日のもう一つの目的である、「革細工の家」へ向かう。先ほどは閉まっていたのだが、他の店よりやや遅れて、開店したようだ。じつは二年前にここを訪れたときにキーホルダーを求めた、Img_9215 ぷくっとした茄子の形をした革製品で、カバンの中で手探りをして見つけられる、特徴あるキーホルダーで大変便利に使っている。そのときに、柱にかかっていた散歩用のカバンがあって、昨年これを求めようと来店したところ、お休みの日にあたってしまったということがあったのだ。だから、二年越しの買い物だ。

Img_9262 革職人のかたの後ろに、そのカバンを見つけて、触っていると、じつはこのカバンはこのところ随分売れて、この革自体がもうないのだというのだ。それで新作で、もっと薄く、ひとまわり大きなカバンを作っているとのことだった。値段は同じで、Img_9263 前よりも洗練されたカバンを奥から出してきた。ところが、存在感がまったく違うのだ。二年前のこの旧作でしか現れない、曰く言い難い味があって、触ってみないとそれはわからないのだが。

20141 職人のかたはこの旧作を自分用に使っているので、売ることはできないと最初は言っていた。一緒に行った先生方が、中古でも良いから売ってやりなさい、と助言してくださって、ようやく職人の方を口説き落としたのだった。持つべきものは、友だと、げんきんなようだが、この時はそう思ったのだった。Img_9237 先生方から、何に使うのか、と問われたが、横にペンを指して、メモ帳とカメラを入れて散歩するのに最適なのだ。

Img_9240 さて、お昼になったので、地元出身のKW先生が予約を入れてくださった、T食堂へ集まる。そして、次から次へ出てくる肉料理とそばとを楽しんだのだった。オードブルとして出てきたのは、Img_9242 大皿に地元で採れた野菜を漬けたり合わせたりした写真のような料理で、この中で豆味噌やふきのとう入りの卵焼きなどが並んでいる。好みはあるとは思うが、ふきのとうの苦みが卵の甘さと合っているし、さらに鼻に抜ける香りが春を感じさせてくれた。

Img_9244 メインメニューは、鹿肉の刺身とうど、鹿肉のユッケ、鹿肉の焼き肉、さらにイノシシ焼き肉で、次から次へと出てきた。そして、最後はさきほど打っていたそばだ。Img_9247 そばを食べていたところ、わたしが農産物市場で買った紫色かかった「辛み大根」が話題になって、このそばと合わせてみようということになって、早速おろしてもらって、食べた。Img_9249 少なくともわさびよりはこちらの方が、そばに合うと思ったのだ。日本酒には、H銘柄のお燗を選び、食欲が進んだのだった。

Img_9250 このまま、だるまストーブに当たって、午後の会話を楽しんで、もう一度温泉に浸かりたいと思ったのだが、切りがないので、仕方なくバスに乗って、新幹線で仕事の待つ東京へ戻ったのだった。Img_9246

Img_9251 Img_9252_2 Img_9257 Img_9260 Img_9261 Img_9238 Img_9265 Img_9266

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。