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2014/12/07

デ クーニング展をB美術館で見る

Img_8484 なぜ抽象絵画を開拓した一方は、前衛だと考えられ、他方にも保守だと考えられているのか、ということは、時々引っかかっていた。それには、抽象化の意味について、二つの可能性のあることを思わなければわからないだろう。

Img_8486 ひとつは、変化の要素であり、ふたつは、不変の要素である。抽象というからには、抽象の元になるものが存在することを構想しており、何から抽出したものかが問われる。だから、不変の要素を必要としている。他方、抽象というからには、抽出されて出ていくものが必要であり、変化の要素を想定しているのだ。

Img_8487 だから、この展覧会会場に近づくにつれ、会場のショーウインドウを飾る作品群が目に入ってくるのだが、飛び込んでくるのは、この「不変要素」のオンパレードなのだ。顔らしき形があり、ふくよかなお腹があり、そして足が伸びている。これで、「女」が形成されていると観てしまえば、それでこのデ クーニングの基本要素が決まっていて、あとはこれらのバリエーションを楽しむことになるのだ。

Img_8491 今回の作品は、これらの不変要素を特に意識して収集してきたものを中心に展示しているように思える。この点では、少数の展示にもかかわらず、意図のはっきりしたわかりやすい、抽象絵画展である。

Img_8497 B美術館を出て、東京駅へ向かおうとすると、目の前に「カリヨン」が現れた。日本にカリヨンブームがあって、各地に設置されていたことは知っていたが、このような東京駅の真ん前に、これほど大きなカリヨンがあったとは知らなかった。

Img_8504 江戸期の交易で活躍したオランダ人を記念していて、「平和の鐘」と名付けられている。(ご丁寧に、オランダの東インド会社のマークまで、右の写真のように、刻み込まれている。)鐘の発達には、中世から近代にかけて、世俗化が行われた。それに、なおかつ音楽の要素が付け加わったのが「カリヨン」だ。音の社会化の最終段階の遺物が、カリヨンだと思われる。Img_8509 ヨーロッパのように、実際に世俗の中で活躍していれば良いのだが、日本におけるカリヨンには伝統がないだけに、この音が実質的な意味を獲得するに至っていないように思われる。交通騒音にカリヨンのメロディーがかき消されていて、寂しい限りの構築物となっている。この音に気づく人が、どれだけいるだろうか。

Img_8511_2 八重洲地下街には、ときどき入ってみたいと思わせる店が開店する。今はもうなくなってしまったが、かなり嗜好を絞った古本屋さんが入っていて、重宝してのだが、いつの間にかなくなっている。目利きの中級程度の靴を揃えている靴屋さんもあって、丸の内近辺の下層サラリーマン層を引きつけていた。わたしの小遣いでもなんとかなる定価だった。これもいつの間にか、店が移ってしまっている。

Img_8513 今日、展覧会後の喉の渇きを癒してくれたのが、アメリカ・スイーツ文化プンプンとするBである。店の作りから、テーブル・イスに至るまで、米国田舎の独立系ドライブインに入った感じになっていて、女性客を引きつけている。アップルパイに引きつけられたのだが、メニューを見ているうちに、酸っぱいチェリーが目に入ってきてしまった。Img_8494 量はかなり多そうに見えたのだが、この味を賞味した途端に、一口一口大切に口に運ぶくらい、典型的なチェリーパイであることがわかった。グラスワインにちょうどあって、展覧会の熱を冷ますには最適の休憩となった。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。