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2014/10/11

木のうつわ展をみる

茗荷谷にある放送大学は、公園のような雰囲気のなかにあって、もしここに喫茶店が併設されていたならば、場所が良いだけに、きっと評判になると思われる。ちょうど1階の一等地に相当なスペースがあるので、ほんとうに勿体ないと思う。建物の内側が駄目ならば、門から玄関に至る所にも、かなりのスペースがあり、ここに平屋の建物を建ててでも進出したいという、コーヒー屋さんはかなりあると思われる。

そんな予感を感じさせるような、ショールームが門の真ん前にあって、通常はキッチンのショールームなのだが、ときどき喫茶店付きの展示会が行われていて、すてきな空間を提供している。大学院のゼミがM1だけになってしまったので、かなり時間を残して終了した。そこで、この展示会M氏の「木のうつわ展」を見学させていただいた。

M氏が今回の展示に至った理由に興味を持った。もちろん、「木のうつわ」展として、作品を出しているのだから、「木のうつわ」のデザインや技術をみてほしいという意図は十分に理解したのだが、それ以上に、やはりクラフトを超えて、もうすこし異なる技術を強調したいという意図が溢れているような気がした。

第1に、ビデオで制作過程を映していて、原材料の調達に特別な方法を持っていることを強調していた。ここで興味深かったのは、カラマツなどの間伐材などを集めれば、木の国である日本では、かなり材料費を節減できるのだ、ということを写していて、面白かった。そして、さらには原材料を集めるだけではなく、木工では木を乾かすことに時間がかかることも、面白い点だと思われた。つまり、木工では、お金よりも時間が重要だ。

第2に、クラフトなのに、M氏の場合には機械技術が、キーポイントになっていることが、話していて、わかったことだ。これは通常のクラフトのイメージとはちょっと異なるものだった。M氏には木工の師匠がいて、木地を薄く加工する技術を編み出した、中心人物らしいのだ。書籍も会場にあって、説明も十分にしてくださったのだ。機械を扱うことにかなり長けていることが、話を聞いていてわかったのだった。

第3に、M氏の作品が、いろいろな方面と結びついているのを感じた。まずは、このような展覧会が成立するまでには、かなりの人脈が必要であった。また、奥さんも陶芸家であって、木工と陶工とが、互いに共作できることも、ネットワークの一環らしい。このように見ていくと、ますます、職人・工人の世界というものに、疑問と同時に、多くの魅力を感じてしまうのだった。これは、何とかせねばならないが、どのようにしたら良いだろうか。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。