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2014/07/23

川崎運河クルーズという審美主義

Img_6753 幕張の放送大学に夏休み前に提出しなければならない書類があって出かける。この辺が通信制大学であっても、すべてが通信とは行かないという人間的なところだ。その足で、千葉から東京を通過して、品川・蒲田で乗り換えて、京急線「天空橋」へ出る。

Img_6761 かつてまだ、京急線が羽田空港に乗り入れていない時代には、この天空橋が終点で、これ以降はたしかバスで行った覚えがある。まさか徒歩で行ったとは思えないが。それで、これ以降は「天空」の世界へ入るのだということで、ネイミングが絶妙の効果をあげている。普通は山の上に天空の世界があるのだが、さにあらん、海に面して、ここには天空に至る世界が展開されているのだ。モノレールが周りを囲み、ビルの合間から航空機が飛び立っていく。

Img_6858 ここに、蒲田からの呑川が流れ込んでいる「海老取川」があって、川というよりは、多摩川に流れ込んでいる運河のような位置にある。ここが、今日の目的地であり、出発点なのだ。今日は、「川崎運河クルーズ」に参加した。ここから、羽田空港を多摩川から仰ぎ見て、多摩運河に入っていくのだ。この多摩運河の奥には、全日空、花王、旭化成、ゼネラル石油などの大会社群が並んでいる。岡から車で回るのも良いのだが、運河から眺めていくと、また異なった風景が現出するのだ。

Img_6818 じつはこの運河クルーズは、たいへん流行っている。なぜ流行るのかと言えば、やはり工業というものが「審美的」な時代に入って行きていることを想像させるのだ。先日、富岡製糸場が世界遺産に登録されて、日本中が湧いたのだが、じつは富岡だけでなく、日本中の工業が今や産業遺産としての「登録」を待っている。Img_6820 いまや、日本の「ものづくり」が生産的な時代を卒業して、審美的な時代に入ってきている。といったら、怒る人がたくさんいることを承知しているのだが、クルーズが流行るべつの理由があるならば、そちらを採りたいところだ。

Img_6825 多摩運河から千鳥運河に入っていくと、右手に旭化成のパイプ群が有機的なデザインを覗かせていて、さらにパイプ群ではところどころ火を吐いていて、それが夜空に輝いて美しい。運河に映った姿も揺らぎを見せながら、変化を見せている。

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Img_6827 千鳥運河からさらに進んで、水江運河に入っていくと、運河クルーズの一つの到達点と言われている東亜石油が見えてくる。石油精製施設が、夜の城のような立体的なボリュームを見せつける。精製の各段階毎にオレンジの燈が掲げられていて、人工の不夜城のごとくの姿を船上から観ることができる。

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Img_6845 LNGの船も見え、倉庫群がおもちゃのブロックのように、青と白のくっきりとした造形を示している。藍色の海の重厚さと、夜景の優美さとをみていると、無機的な機械の塊であることを忘れ、あたかも芸術作品として展示されているようなもののように思えてきてしまう。Img_6851 日本の工業の衰退と、審美的な造形の発達とは、比例的に発達していることを確認したのだった。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。