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2014/06/29

博多近辺を歩き回る

Img_6603 今日こそは、雨が降るのかと思っていて、そとへでるのを躊躇っていたら、どんどん良くなって行く。それで、予定通り九州の芸術関連の大学図書館へ出かけることにする。Img_6594 宿をとっていた天神から西鉄電車で、昨日の白木原へ行く途中駅である大橋で下車する。

大学構内には、芸術関連の展示がたくさん有り、もし図書館が開いていれば、それなりの成果が得られたであろうが、何ということであろうか、今日は臨時休館日に当たっていた。Img_6597 国立大学の図書館で、日曜日に休館であるところは、最近になく珍しい。ちゃんと調べなかった自分の迂闊さを恥じたのだった。

Img_6610 今、「音」についての社会的現象を追っている。そのなかでも、最初の意図からはちょっと外れてきているのだが、「鐘」について遠回りして、興味を持ち始めている。Img_6614 ベルというのか、チャイムというのか、日本における鐘は、随分曖昧で、両方の意味で「鐘」と呼ばれている。音響学が充実していると聞いている、この大学図書館で、文献を探してみようと思っていたのだが、今日はお休みだったのだ。Img_6624 それで、二つ目の目的地である九州国立博物館へ行くことにした。首都圏と関西圏では放送大学はキャンパス・メンバーズの会員になっていて無料なのだが、この九州地区でも福岡学習センターが入っているらしく、入館料は署名だけで済んでたいへん有り難かった。こちらへ住んでいたら、足しげく通いたいところの一つだ。

偶然ということは、起こるから不思議なもので、じつは日本最古の鐘は、この国立博物館近くの太宰府内にあるのだ。Img_6625 太宰府の「観世音寺」に残されている鐘が、京都の妙心寺と並んで、日本最古の鐘ということになっており、7世紀に作られていることを知った。それは、今日特別に展示されていたのが、日本で二番目に古く、9世紀前半に作られたとする鐘であり、そこから一番古い鐘がわかったのだ。

Img_6628 もちろん、日本には銅鐸文化というものがあったのだが、銅鐸が当初は形からして鐘の一種として使われていたと想像できるが、やはり途中から、「音」の意味合いが少なくなって、祭事的なシンボルになっていったと思われる。Img_6634 どう見ても、銅鐸は全体の形は鐘であっても、音の響きからは、遠ざかって違う方向へ進化してしまった感じがある。これはこれで、面白い点があるのだが。

Img_6637 それでは、なぜその次の時代の「鐘」文化が太宰府辺りから始まったのかが問題になるだろう。それは、普通の考え方であれば、やはり仏教との関係が深いということになるだろう。Img_6640 仏教が日本へ定着する過程で、遣唐使あるいは鑑真上人などが、九州文化へ、そしてさらに、京文化へと影響を及ぼして行った。その過程で、「鐘」文化も伝わって行ったのだと考えられるだろう。

Img_6643 つまり日本では、「鐘」文化が8世紀ごろから、寺院を中心に発達を遂げることになったと思われる。この過程で、まずは鐘文化は宗教的な意味をもったと言える。これらの鐘がどのような変遷を辿ったのか、仮説はいくつか考えられるが、それをどのように確証して行くのか、たいへん楽しみにしている。Img_6646 文献もいくつかあるらしいということがわかり、追加して、高麗時代の「銅鐘」、声明の時に使われる「磬」などの展示物も鑑賞して、博物館を離れた。こんな回り道をしていても良いのだろうか、ということは棚上げして、太宰府町の山あいに木工品・陶磁器を陳列しながらの喫茶店があったので、休憩をしてから、帰りの電車に揺られた。

Img_6649 じつは「出張で映画」を今回は諦めていたのだが、1つの計画が駄目になったので、再び検討してみた。ところが、どれもこの博多では早朝に上映するらしい。Img_6650 こんなシリアスな映画をこんな朝早くから見る人がどれほどいるというのだろうか、とボヤいたところで、上映スケジュールが変わるわけではないので、あっさりと諦めて、今日も昨日見つけた喫茶店「F」へ足を向ける。

Img_6655 昨夜とはやはり客層が異なり、一人で来て、ちょっと息抜きをしているような客が集まっていた。この店の雰囲気からいって、そのような傾向が似合っている。Img_6662 また、自家焙煎の店なので、豆を買って行く客層も確保しているらしい。このような繁華街には、むしろ繁華街から逃れたいという客層があるものだと思われ、これらの人びとが重層的に絡まって、良い街を作って行くのだと思われる。Img_6664 この店は、得難い雰囲気を持っているとわたしは思うのだった。今日も酸味の強いキューバTLと、チョコレートケーキ、そしてお代わりで、組Img_6666 み合わせた味が絶妙なブレンドを頼んで、しばしの解放感を愉しんだ。今日最後のコーヒーはこの店のスタンダード・ブレンドを味わった。いくつか持ってきた論文のうち、卒業生のKさんが紀要論文だといって送ってくれた、K大学歴史民俗研究科へ提出した「飛騨の匠」の歴史に関する論文を楽しみながら読んだ。いつもながら、数多くの資料を自分の足で稼いで書いた論文だ。冒頭の万葉集の歌がこの論文の素晴らしさを表している。

 かにかくに 物は思わじ 飛騨人の

         打つ墨縄の ただ一道に

そして、収穫の多かった出張に別れを告げ、飛行機に乗ったのだ。Img_6669

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。