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2014/05/23

都市の多様性とは

Img_5983 地下鉄の駅で、走った。大都市の地下鉄の欠点は、大深部に作られるようになって、ホームまでかなりの階段を降り、そして登らなければならないという点にある。朝の運動になるという問題ではなく、毎日この階段を昇り降りしている人のことを想像すると、やはりシュジポス的な感覚は人間にとって必須になっているのだと思わざるをえなくなっている。不条理だというだけでは済まされない問題を、大深部の地下鉄は、現代に突きつけている。この中間に存在する時間が、問題なのかもしれない。

数日前に、放送大学の「自然と環境」研究会で、新しく放送大学へ赴任なさったK先生の「都市の鳥と緑地」という研究発表を聞いて、先日も書いたが「下層植被率」という言葉が頭から離れない。都市の公園では、下草や低木が刈られてしまう傾向があり、公園の植物をみると、これらの下層における植生のカバーが低率を示すことが知られている。K先生の発表は、この現象と鳥類の公園における残存種類との関係を指摘したものだったのだが、このことは社会の形成にも応用できるのではないかと、想像力を逞しくしている。もうすでに考えられているかもしれないのだが、植生という「自然の指標」だけでなく、下草刈りという「人間の指標」も組み合わせて使われている点が面白い。

ならば、いろいろなことを考えられるのではないだろうか。ぴったりした事例は、いずれ論文へ取り入れようとしているので、取っておくこととして、乗りかかった船で、前述の大深部地下鉄の例はどうだろうか。大都市生活の多様性は、地下鉄駅の深度と相関関係にある、というのはいかがだろうか。地下鉄網が発達し、都市住民の交流の密度が濃くなるのではと思う。けれども、大深部地下鉄の発達は近隣の都市生活に取ってはマイナス要因と働き、近くの疎遠と遠くの近接という多様性をもたらせている、ともいえるかもしれない。この例はかえって直接的過ぎて、面白くないといわれるかもしれない。ならば、地下鉄の交差の頻度と関係で、大都市の多様性を考えることはできないだろうか、などなど。

Img_5985 と考えながら、地下鉄の大深部から表通りへ出て、明日からの旅行へ持参する浅煎りコーヒーを買い求めた。ここ何回かはここの浅煎りを試している。今回はコロンビアのごく浅煎りだ。携帯ポットを持ち歩くのだが、こんな小さなポットでも、数時間は熱いままのコーヒーを楽しめる。近くの表通りに面して、この珈琲店の焙煎室が作られていて、視覚的な効果もあるように思える。

Img_5987 横断歩道を渡ろうと待っていて、信号が変わりゆっくりと道路に踏み出すと、わたしの名が呼ばれた。振り向くと、にこにこしながら、高校生時代の同級生S君がいた。彼は医学系の出版社に勤めていて、Img_5996 大学院生時代にはそのビルが近くだったので、ばったりとよく会ったものだ。それで今回、その出版社とは違う方向から、来たので見逃してしまっていたらしい。話によると、出版社の土地を統合して、異なる場所に一緒になったので、違う方向から現れた、とのことだった。彼は近年、大病を煩っていたのだが、元気そうな話し振りだったので、一安心だ。この次のクラス会にも出席するそうだ。まだまだ、「ばったり効果」が続いているらしい。

 

Img_5997 今日は娘と食事をすることにしていて、本郷菊坂のMというイタリアンの店へいった。菊坂には、その昔本妙寺という寺があり、明暦の大火の火元であったらしい。振り袖がその原因になったことから、有名である。Img_6002 けれども考えてみるに、ここが火元であるということは、丘のうえから始まり、神田・上野からさらに下町へ燃え広がったことになる。そのような風の季節が定期的にあったものと思われる。Img_6003 料理の方は、それほど劇的なものではないが、特色あるラインアップがなされていて、貧食のわたしでも何とか話についていくことのできるものだった。まずサラダをとったが、観てのとおり色鮮やかであり、さらにそこに、ピザを揚げたころものようなものが入っていて、もちもちしていて特徴があった。Img_6006 それから、熟成されたと思われる鳥のレバーバテも料理に合っていた。今日は、トリッパ料理がお勧めだというので、鳥トリッパのグラタンをとることにする。菊坂には、明治時代から文士たちの仕事場として利用された下宿屋や、ホテルがあった。Img_6009 その1つに、大杉栄や伊藤野枝が逗留していたことで有名な菊富士ホテル跡がある。食事後の文学散歩に事欠かないのが、文京区の特徴だ。茗荷谷の帰りには、もうすこし時間をとってこれからも探索したい街である。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。