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2014/03/05

カネが媒介する人生について

20140323_004859 わたしの仕事上、世の中の職業をあつかった映画を観るのを止めることはできない。増してや、金融にまつわるビジネスは、十分過ぎるくらい検討しておきたいテーマなので、内容がなく、あまり食指を動かされることがないとしても、見逃すことはできない。

好き嫌いは激しいが、現代を代表する俳優となったデカプリオ主演の映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を観る。ジャンク証券販売をチームで扱い、金持ちになっていく集団を描いている。主人公がまず大手証券会社に入って、最初に教わる唄というか、叫びがある。胸をたたきながら、全ニュージーランドのラグビーチーム「オールブラックス」張りの雄叫びに旋律を付けたものだ。この唄があるから、この映画の題名が付けられたのではと思われるのだが。

カイヨワの遊び論の中で、「めまい」のするような、たとえばジェットコースターに乗って感じるイリンクス(眩暈)という分類があり、もし今回の職業を遊びに準えるとしたら、このイリンクスに相当する仕事として、彼の「ジャンク投資ビジネス」は位置づけられるであろう。大きすぎるリスクと背中合わせのビジネスだ。この点で、本人たちにとっての「遊びとしての職業」ということが成り立つと思われる。

お金というものが、人と人のメディアである、という主題をテーマとすると、物語は果てることがない。この映画でも、金の亡者どもが過剰な生活を過ごすのを描いているが、そう言ってしまえば、たわいのない物語になってしまうのだが、金を媒介とする販売については、過剰さを強調して、果てることのない物語が連鎖して、興味が尽きない。

たとえば、映画の中で二度使われるセールス・トークがあって、これなどは、「遊びとしてのビジネス」をよく表している。「ここに万年筆があるが、これを目の前の客を前にして、売込みを行いなさい」という典型的なセールス技術を映画は利用している。宣伝文句を並べ立てたり、万年筆の性能を言ったりしても、客は振り向かないだろう。どのようにしたら、売込みは成功するのだろうか。二度も出てくるから、正解は映画を観てのお楽しみだ。

ヒントを出すならば、ここで万年筆が問題ではなく、客が何を考えるかが問題であり、このときセールス人の心と、顧客・消費者の心を結んでいるのが、「お金」なのだ。このところを外してしまうと、この映画の興味も半減してしまうだろう。この映画では、ドラックやオンナやカブが扱われているが、これらを売買するときのイリンクスを起こさせるものとして、カネが有効なのである。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。