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2014/03/28

毎年恒例となった図書の返却

Photo 今年度も学期末が押し迫っている。例年であれば、京都か仙台辺りへこもって、来年度の原稿書きに励まなければならないのだが、4月からの原稿書きでは、少し異なる日程を設定しようと考えていて、その準備のために、余所へ出かけずに、家と近くの図書館で考えることにした。

2 それでも年度末にやらなければならないことは、いくつかあって、すぐに次の計画に入ることができるわけではない。その一つが非常勤講師に行っているK大学で拝借した図書を年度内に返さないといけないという義務がある。普通の人の感覚がときどき戻ってくる。期日が来たら、借りた図書は当然返さなければならないのだ。大学の教員というのは、本を読むことの特権階級だと思い込んではいけない、と今年度も戒めた。

2_2 K大学はこの点ではたいへん罰則規定が厳しいことで有名な大学だ。一日返却が遅れると、その日にち分だけ、貸出停止が伸びるのだ。そうなると、4月からの図書借り出しに支障ができるので、いつも年度末に返却することにしている。それで、今日も段ボールに50冊あまりの本を詰め、キャリーで引いてきているのだ。50冊を限度にした理由はわからないが、ちょうど段ボール一箱に入るだけの分量であり、一度に運ぶ量としては、これで最大限だという量である。

3 持ち運びできる量で貸出量が決まるとは思わない。もちろん、読む量が基本であることはわかるのだ。それで、隅々まで全部読んだのかと問われれば、自信を持ってマダだといえるのだが、ほとんどは論文の参考資料用なのだから、拾い読みが終わればそれで良いのだ。結局、論文が仕上がるまでは手元に置きたいと思っているうちに、溜まってしまい、50冊というボリュームになってしまうのだ。読み方で読みこなす量は変わってくる。

4 今年度この図書館だけで借りた本は計算すれば、100冊ぐらいになると思われる。人によって読む量は異なるから、それに応じて、貸出量も個人差を認めたらと思うのだが、図書館としては、何処かで線を引かなければならないのだろうと思う。

5 図書館の性格がここに現れる。この大学図書館は、拾い読み的長期貸出に対して、たいへん理解があり、5ヶ月の期限なのだが、一般の図書館ではたとえばベストセラーなどを貸し出す専門の公立図書館では、本をいかに回し読みさせるかが、勝負であるから、5冊を2週間というところが限度だろう。

Img_5089 キャリーで図書館のカウンターに持ち込んだ。重さは、20キロをはるかに超えている。これから、下ろすのが問題だと思っていたら、若い女性がヒョイっとカウンターへ持ち上げてくださった。本を扱う商売は、本屋に限らず、力仕事なのだ。

Img_5090 数をちゃんと数えて来たつもりだったが、一冊放送大学の本を間違えて持って来てしまった。その結果、一冊足りないことになった。その一冊は、昨日読んでしまおうと思っていて、椅子に積み上げてあったのだ。残った一冊が論文用ではないということにも、何かのつながりを感じてしまう。シェイマス・ヒーニーの『水準器(The Spirit Level)』なのだが、やはり読んでから返しなさいという啓示だと思い、家に帰って、ページをめくった。

Img_5095 水準器は物理的な平衡を図る道具だが、同時に苦しみに耐え、精神的な平衡を保つ比喩でもある。北アイルランド紛争の経験の中で、心の釣り合いを保つことの困難さを詩に託している。「秤にかける」という詩では、「他人の中にある許し難きものと、己の中の許し難きものとを秤にかけ」その中で耐える試練を謳っている。そして、最後の詩では、北アイルランド紛争に光明が見えてきた喜びを次のように表現している。この訳者の解説で、次の文章が取り上げられているので、ちょっと癪であるのだが、喜びが出ている文章で、自由な感じが良く出ているところなので、ここでも取り上げておきたい。

僕たちは余所者というよりは探索者 光怯まず

墓場を抜け出してきた亡霊たち 生き返って 罪を犯しながら

出直し もう一度やり直そうとするのだ

もう一度自分に帰って もう一度思いのままに それも悪くない

Img_5101 図書館の帰りに、陽気に誘われて、横浜の丘を港へ向かってくだって、ひよどり越えもさにあらんというような坂道の階段を降りて、かつては海岸線であったと思われる、横浜駅近くへ出る。丘の頂上で立ち往生していたら、親切な老婦人が近道のこの階段を教えてくださったのだ。今日最後のコーヒーは、いつもの珈琲豆を購入するところで、ブレンドを飲む。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。