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2014/03/22

映画「コーヒーをめぐる冒険」

Img_5040 昨日、四ツ谷での会食が終わったのが夕方の6時、総武線に乗って、代々木で乗り換え、渋谷へ着いたのが、7時10分前だった。先日、早稲田のO先生のところへ行ったときに、映画「コーヒーをめぐる冒険」という題名のドイツ映画が来ていることを知った。イメージフォーラムという場所の名前は聞いたことがあったが、まだ行ったことがなかった。地図をみると、十分に最後の上映に間に合いそうな距離だった。スーツを着て、会社の帰りに映画というのも、こんな気分なのかもしれない。懇親会のアルコールがまだ相当身体に残っている。

Img_5045 コンクリート打ちぱなしの構造で、小さなホールが組み合わされた映写場という雰囲気だ。若者が多く、シニアだと言うのを憚るくらいだ。最初は、アルコールが効いてきて、眠気が消えなかったが、途中からエピソードにリズムが出て来た。ベルリンの街も、モノクロ映像できれいに撮られていて、映像を見るだけでも十分に観るに値する映画だった。

Img_5044 話の筋は、エピソードの連鎖で構成されていて、はっきりとした骨格があるわけではない。ほかの人はどのような見方をするのかはわからないが、おそらくこの映画へのコメントは行い難いのではないのか、と思われる。一言でいうならば、「インフォーマル映画」だとわたしなら呼んでしまいたい映画なのだ。つまり、やることなすことにケチが付くような一日ということがあるのだ。何か良い方向へ持っていこうとしても、裏目裏目が出てしまい、すべてがインフォーマルへ沈んで行くことはあるのだ、と思う。

主人公のニコは、ある日恋人の部屋で、コーヒーを飲み損ねる。ここから、付いていないことが次々に起こることになる。検査官とうまく行かず、車の免許が停止になったり、アパートで住民とトラブったりする。不良の孫と暮らしているが、仕合せそうに安楽椅子に座る老婆。俳優志望の親友マッツェと出かけるが、マッツェも不幸を背負い込むのだ。クサい芝居をする売れっ子俳優に会ったり、ニコに片想いしていたデブだったユリカともうまく行かなかったり、ナチス政権下を生き抜いた老人の死に遭遇したり、次々にどうでも良いような、表には到底現れて来ないような、インフォーマル部分が映画の中に現れてくるのだった。

日常生活からはじき出された人びとの間を、一日中遍歴するのだ。ニコを通じて、いつもは表に現れて来ないような潜在的な生活の一端が見えてくることになる。

Img_5046 主人公は、一日ベルリンを歩き、至るところでコーヒーを求めるのだが、結局コーヒーの機械が故障していたり、切らしていたり、最後になるまでコーヒーにありつくことが出来ない状況というものを描いた映画なのだ。コーヒー中毒のわたしとしては、この耐えられない状況で、インフォーマルに沈んでいく生活というものに、甚く共感したのだった。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。