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2014/03/21

今年の卒業式には、見るべきもの聞くべきもの味わうべきものが満載だった

Img_4994 土曜日の静かな渋谷の街がよいと思う。渋谷区役所へ向かって、パルコ前の坂道を登っていく。本来は、駅から離れていて、そして坂道だから、静かな街なのだ。だから、名だたる喫茶店が店を出そうと考えるのも、不思議ではない。しかし、これらの名店は、こんな朝早くは開いていないので、チェーン店の広く無機的な店内で、ひとり珈琲をいただく。

Img_4995 今日の収穫は、卒業生の言葉だ。このように言ってしまうと語弊があるのは重々承知だが、もしかすると、先生方や来賓の方々を飲んでしまうほど、上回る挨拶が行われたのだ。ここが社会人の大学である、放送大学の取り柄であり、むしろ学生が言葉で先生を上回るということが起こってしまうのが、放送大学らしいし、むしろ当たり前のことなのかもしれない。

Img_4997 臨床心理学のO先生の指導したFさんの謝辞は、素晴らしかったと思う。内容において、苦労話やユーモア話があるのは他の人と同じで、いつも通りなのだが、今回何がちがっていたのかといえば、独特の低く抑制され、すこし震えた効果的な女性声と、謝辞全体の構成に現れたアイディアだった。大向こうを唸らせたと評価されてもおかしくない謝辞だったと思う。

Img_5000 「小さな奇跡」と彼女は表現していた。アイディアの種明かしをしてしまえば、なんだということに聞こえてしまうのだが、じつに重みのある声で繰り返し聞いていると、こころの奥に響いてくるのだった。Fさんは海外NGOに所属していて、ネパールの山奥で少女教育に携わった。それで、少女を教えるFさん自身と、こんどは教わる立場となった放送大学でのFさんとが心理的に重なって想えたのだということだ。

Img_5004_2 おそらく、何かを教える立場にある人には、共通に訴えかける表現に、Fさんは到達したのだと思う。学ぶものと教えるものとの間には、国が違っても、世代が違っても、個人的な体験が違っていても、同じ二重の相似パターンが現れるのだ、ということを示して、普遍的なことを掴んだという確信が伝わって来た。十分に「小さな奇跡」だと思われるし、この普遍性が感動的に語られたのだった。席を立ったときに、O 先生へ思わず、お祝いの言葉を伝えてしまったくらいだ。

Img_5016 懇親会では、大学院ゼミと卒研ゼミの面々を中心として、輪が出来た。それで、話に夢中になっている間に、大テーブルにあった料理が平らげられてしまったのだった。神奈川学習センターの同窓会が、今回の懇親会の幹事センターだということで、予てより学習センター所長のI先生が全国のセンター長の先生方から、各地の銘酒を集めて、今回の会場へ持ち込んでいた。

Img_5018 こちらへも遅れて行ったので、北の方の秋田や岩手の銘酒はすでに空になって、横に倒されていたが、関西以西のものは、まだまだたっぷりとあって、20種類くらいの味見を行うことができ、これはこれで至福の時を過ごすことができた。信州のMは、甘系の酒として、いつも標準を保っていて、頼もしかった。先日、群馬でいただいたTも美味しかった。Img_5024 酒どころを次々に巡って、最後に九州の佐賀の酒へ到達した。最近は、ずいぶんフルーティ系が出回っていて、飽きるほどなのだが、このNは、そのなかでも十分にフルーティの本道を行っていると思われた。Img_5022 もちろん、泡盛や焼酎もあって、このころには身体全体にアルコールが回って、かなり気持ち良くなってきた。そして、やはり究極には、ワインも出品されていて、山梨の甲州種ワインが出ていた。香りといい、味といい、十分に日本酒に対抗できる味だったのだ。懇親会でなかったならば、ここにもうすこしいて、これらの酒をいただきたかった。

Img_5030 今回の懇親会では、わたしの担当している放送教材への感想を述べてくださる方々が、たいへん多かった。たとえば、信州飯田の学生の方がいて、わたしが総合科目の「社会の中の芸術」で取り上げた珈琲職人の弟子の方が、飯田で喫茶店を開いていることを教えてくださった。神奈川学習セImg_5037ンターで一緒に活動して来た学生OBの方々も、笑顔を作って、目の前や脇を通り過ぎていくので、久しぶりに顔を拝んで懐かしかった。酔った勢いで、N先生のゼミの方々のところへも顔を出して、今度合同ゼミを行おうか、と盛り上がった。それやこれやで、懇親会のあとは、T先生と修了生の方がたと、まだ十分に明るい四ツ谷の街へ出て、夕方までほろ酔い気分を続けながら、経済学と社会科学談義をえんえんと続けたのだった。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。