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2014/02/11

千葉さや堂ホールでバッハのモテットを聴く

0211 今日聴いた中の1曲は、やはりバッハのモテット3番。中でも第一楽章のコラールは素晴らしかった。これまで、クラシック音楽会の大きなホールでのバッハは、何回か聴いたことがあるが、今回のように、小さな教会のようなホールで、目の前で響いているバッハの合唱を聴いたのははじめてだった。

0211_2 肉声が空気を伝わってくる感覚には、柔らかさと複雑さと大きさが含まれていて、身体の奥にまで、音が届いてくる感触なのだ。たぶん、感覚以上に身体のどこかが共鳴しているのだと思われる。一緒に歌っているのと、皮膚感覚としては、同じなのに相違ないと言ってしまいたいほどの揺さぶりがある。

0211_3 バッハのまえに、スカルラッティやラインベルガーなどが歌われたのだが、その曲へののめり込みの感じからすれば、圧倒的にバッハのほうに軍配が上がるほどに、圧倒的な違いがあった。それほど、3番のコラールは良かった。アンコールに再び演奏されたこともあって、この合唱団の特質がぐっと提示された感じだった。4声全部がわーと迫ってくる感じだった。

0211_4 今年度の研究テーマで、協力ということを選択して、このところ追究して来た。そのなかには、都市の合唱団の重なり合いもテーマとして取り上げたのだった。だから、料金や席の数、そして付加的な主入など、研究テーマとしても面白かったのだが、それ以上に、どのような合唱の組織化が行われ、ボランティアがどの程度このコンサートに関わっているのか、など、本来の音以外において、この点でもたいへん興味深いコンサートだった。

0211_5 合唱団が「協力」の典型であるという点では、やはりルソー的「集団の一致」が観察されるからだということにしている。これは、放送大学のテキストに書いたことなので、二番煎じではあるが、なぜ合唱団に加わるのか、という点では、第一にみんなで歌いたいからという、非公式な「一般意志」的な状況があり、さらに集団に具体的に参加するという、0211_6 公式的で「個別意思」的な状況が見られるところに、合唱団は位置する。今回の千葉バッハ合唱団のコンサートも、このような要素が満載であったので、音を楽しんだと同時に、研究心も満足できたのだった。

0211_7 今日の千葉美術館での一枚は、英泉の「初夏の雨」だ。これまで、千葉美術館では、浮世絵特集を行って来ており、清長などの展覧会は堪能して来た。けれども、その中で、英泉の浮世絵になぜこれまで注目してこなかったのか、不思議なくらいだ。今日は、改めて30枚以上の英泉をみて、この様式的だが、流暢な腰の曲がり方に感心して、ずっと魅入ってしまった。明らかに春信とは、また違った浮世絵の系統を示していると思われる。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。