« 奈良の日帰り散歩 | トップページ | K氏を悼む »

2013/12/03

萩へ来ている

1203 萩市(山口県)へ来ている。地域性を見るためには、申し分ない街だ。中心から外れているなどという失礼なことを言っているのではなく、1203_2 江戸幕末期の活動期の様子が見られるという意味なのだ。なぜここで、吉田松陰、高杉晋作、木戸孝允、伊藤博文などが湧出し、維新の風が吹いたのか、諸説があるので、以前から興味を持っていた。

1204 来てみて、まずは地理的な条件にびっくりしたのだった。来る前に予想されたのは、この集団の凝集性が起きる原因だった。都市の構造としてみると、これほどの凝集性を生み出すような都市の計画性が存在するとは思っても見なかった。

1204_2 萩城近くに、泊まった宿があった。その宿は海に面している。朝、菊ガ浜という海岸沿いを散歩して、政治中心の城へ到達できた。ほどよい砂浜が続いていて、日本海に面しているとは思われないほどの波の静かな湾が形成されている。その萩城から出てくると、内堀と外堀の挟まれた辺りに、上級武家屋敷が並んでいた。

1203_3 他方、この菊ガ浜の反対の端へ行くと、経済の中心が存在する。商人街と物流の港が位置している。北前船が停泊して、北から南から毛利の城下町への物流が絶えなかったに違いない。つまり、萩の街は山から流れて来た川が上流で1203_4 松本川と橋本川に分かれ、かなり人工的な河口の三角州が発達している。橋本川の河口近くの、ぽこっとした山の麓に、「政治」の中心たる萩城があり、他方、松本川の河口近くに港が発達していて、「経済」の中心が存在するのだ。

1203_5 さらに興味深いのは、その政治と経済の間に挟まれた地域なのだ。海岸部分には、寺街が並んでいるのだが、さらに下級武士、つまりは幕末志士の家々がここに集中しているのだ。高杉晋作、木戸孝允などの家々が並んでいる。下級武士とはいえ、現在のサラリーマンの上層屋敷に相当する広さを誇っている。

1203_6 そしてさらに、この三角州のちょうど中心で、これらの下級武士の家の近くに、藩校の「明倫館」が存在する。この計画的な町並みには、うっとりする。街であるからには、機能的で、概念的な計画から漏れてしまって、こぼれ落ちるような猥雑さが存在するのだが、骨格は現在でもはっきりと1203_7 している。これほど、政治と経済と学問とが有機的に配置され、その間に活動的な人びとが育つように配置された都市も珍しいのではないかと思う。

1203_8 もう一つ萩市で感じて来たのは、色の地域性だ。2004年に景観法が成立して、その影響が社会的にはどのように表れてくるのか、注目していた。これまでも新聞紙上を賑わせている判例はいくつか存在する。大都市圏では、大規模な野外広告物が少しずつ取り除かれ1204_3 つつあって、それが意識するほどではないにして、近年かなりの成果を挙げて来ているので、だいぶわかるようになって来た。

1204_4 それで、景観法がどのくらいまで出来るのかは、まだまだ未知数で、判例で争われるもの以外で、実際に表れてくるのを待っていたのだ。萩市では、バスに乗って回ったのだが、観光の添乗員さんが左手を注目してください、というのだ。1204_5 地方都市の習いで、幹線道路の両側には、ファーストフード、ファッションリテイルなどが並んでいるのだが、これらの色彩が統一されていたのだ。マクドナルドが赤ではなく、うす茶色なのだ。ユニクロも赤ではなく、1203_11 これも白地にうす茶色なのだ。スーパーもディスカウントも、早稲田大学に買収されたのではないかと思われるほど、エンジのカラーで統一されている。

1203_9 一日しか滞在できなかったので、経緯などを調べている暇はなかったが、三つの疑問を持った。ひとつは、萩市の市民意識が他の市よりも強いのだろうか、ふたつは、営利企業、とりわけチェーン店がどのようにして、他の地域のチェーンからの逸脱が可能になったのか、1203_10 みっつは、色彩の統一ということを行うのは、ヨーロッパではよく目にするのだが、日本の伝統にはなかったことなので、今後どのような動きをみせるだろうか、などの点だ。

« 奈良の日帰り散歩 | トップページ | K氏を悼む »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/173786/58763530

この記事へのトラックバック一覧です: 萩へ来ている:

« 奈良の日帰り散歩 | トップページ | K氏を悼む »

『貨幣・勤労・代理人』(経済文明論)

  • “「貨幣・勤労・代理人」"

社会経営研究配布中

  • 2015study

社会経営ジャーナル配布中

  • 2015journal

開いている講義    「社会的協力論」

  • cooperation

「音を追究する」第13回・第14回

  • art

「多様なキャリアを考える」第2回・第3回・第4回

  • cooperation

「グローバル化と私たちの社会」第11回

  • cooperation
2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

Recommend

プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。