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2013/11/24

夜のクラス会へ出るために、三軒茶屋を散歩する

渋谷を歩いていると、ときどき人の多さに驚き、なぜ同じ方向へ向かって、これほどたくさんの人波が動いて行かなければならないのかと思って、嫌になってしまう。「人口減少社会」ではなかったのだろうか、と叫びたくなるが、そんなことを叫んでしまうと、人口減少がどこで起こり、人びとはますます集まるところに集まるのだ、という真理を理解していないと言われてしまうので、決して口には出さないのだが、それにしても、渋谷の人口は多すぎる。


Img_0025田園都市線へ乗り換えて、数分で三軒茶屋へ着く。こちらの方面に友人たちが下宿していたときには、玉電のおなじみだった卵形のユーモラスな車体を揺らした電車に乗って、三軒茶屋へ出たのだが、やはり学生時代以来、遠のいてしまった街であった。しかし、有名な喫茶店がいくつかあって、気になる街だった。


Img_0026今年から、高校時代のクラス会が年1回開かれることになって、その第1回目なのだ。三軒茶屋という場所を選んだのも、効果的だったと思う。現在の電車は、地下鉄に変えられ、三軒茶屋始発の路面電車も、ご覧のとおりのモダンな車体を見せていて、当時の面影すらない。ヨーロッパ風のトラムカーに変身してしまっている。けれども、相変わらず三軒茶屋の街は路地が発達していて、廃止になってしまった映画館や、昔のアパート群がまだその姿を晒していて、面白さを残している。


Img_0027その路地のひとつに入って、店がランダムに並んでいる一角に、ほとんど目立たない看板が階段にちょっと寄りかかっている喫茶店が、今日のお目当ての喫茶店だ。このさりげなさ、目立たないことが、良い喫茶店の条件なのだ。初めての人が、この階段を登って見ようと思うだろうか。そして、あのすすけたドアの内側にどんな世界が広がっているなどと、誰が想像するだろうか。それは、常連だけが知っている。


Img_0031じつは、京都にEという、これもまた四条河原町近くに在りながら、一度では絶対に見つからないような、階段を登っていく喫茶店があって、その店の姉妹店がこのMという、喫茶店なのだ。早速座って、マイルドそうなコーヒーを頼んで、目のまえで、ぽたぽたと淹れてもらい、今日のコーヒーにありつく事ができた。京都での味が蘇って来た。


Img_0034一人で来ても落ち着くところが、都会では意外に少ない。ましてや、一人で来て、だれかとおしゃべり出来るようなところは、ほぼまったくないだろう。この喫茶店だったら、すこし常連になれば、そんなことも可能になりそうな雰囲気を十分に持っている店だ。近くにあれば、このことを試してみたいと思わせる雰囲気を十分に持っている。あのドアを開けてみる勇気があれば、この室内の満員の雰囲気もきっと慣れてくるだろう。


Img_0036クラス会はスペイン料理の店で行われた。お腹がいっぱいになるほど料理が次から次へ出された。このところ、ワインを飲み過ぎて、体調をおかしくすることが続いていたので、今日はすこし控えめにしていた。それで、おしゃべりに精を出すことができた。担任の先生だった、K先生はわたしたちより20歳は年上だろうと思うのだが、いつもながらわたしたちより丈夫で、元気いっぱいだ。K先生には、じつはわたしの妹も、こちらは大学時代だが、教わっていて兄妹でお世話になったことを先生は覚えていらっしゃった。それから、いつも長くおしゃべりするKさんとは、席の抽選で、偶然隣り同士となって、音楽の話を聴く事ができた。まだ当時はそれほど有名ではなかった世界的な指揮者の演奏会へ、中学校時代の友人同士3人でいって、あまりに感動的だったので、楽屋へ押し掛けた。ところが、会ってみると、かなり威圧的な応対でがっかりしたのを思い出したのだった。

Img_0037このクラスには、同級生夫婦が二組いて、その二組が卒業時からクラス会の基底を作っていてくれる。そのために安定した会が開かれているのだと、わたしは思っている。今回はMさんとTさんが幹事で卒ない運営だったが、T夫婦がそれを支えていてくれていた。それから、もう一組の夫婦Sさんの家へは、その昔クラス会の後、皆でお邪魔して、朝までしゃべり込んだこともあった。


みんな席を変えて、あちこち移動しながら、おしゃべりを楽しんだのだが、ある瞬間に、高校時代の「京都・奈良修学旅行」で行動を共にした、グループ班(ここにはS君、H君、M君さらにSさんの奥さんも一緒だった)が偶然そろったときがあって、当時の小さなグループ行動に話題が集中した。たくさん訪れたはずなのに、なぜか「浄瑠璃寺から室生寺」コースがみんなの印象に残っていたのも、不思議な現象だった。ほかに、嵯峨野の龍安寺から落柿舎、祇王寺など有名どころを回ったり、高雄の高山寺・神護寺へ行ったり、さらには、滋賀の石山寺にまでも行ったと思うのだが、なぜ浄瑠璃寺なのか、と思うのだった。たぶん、寺の説明や、説法を聴くのはみんな拒否して、自分たちの会話を楽しんだ修学旅行だったのではないだろうか。だから、岩船寺・浄瑠璃寺コースでは、歩く距離が長く、その過程でみんなおしゃべりを楽しんだから、記憶に残っているのだと思う。

このころまでには、自制していたワインも、堰を切ったように喉へ流れ込んで来て、この店のスペイン産の白が美味しいことも判明したこともあって、相当たくさん飲む波目になってしまった。最後には、ちゃんと皆と別れて、電車に乗ったつもりなのだが、渋谷の混雑を抜けたところで、あとから出たはずのKさん、Iさん、Nさんに呼び止められて、渋谷の人の多さの中でも、呼び止められるほどに、見方によっては人口もたいしたことがないのだと、酔っぱらいの変な認識に落ち着いて、納得してしまい、東横線に飛び乗ったのだった。


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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。