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2013/11/30

奈良の日帰り散歩

1130_13 松本の日帰り散歩を成功させた余勢を駆って、今日は距離を伸ばして、奈良の日帰り散歩に挑戦だ。もちろん、この時期が紅葉の最盛期だなんで、知らなかったし、1130_14 つい先日までは、このような予定は入っていなかったのだから、気まぐれな散歩だと思われてしまうかもしれない。放送大学の先生は「暇だ」ということで、その昔公式に批難されたこともあるので、ここで一応誤解を解いておいたほうがよいかもしれない。昨日の夜間授業でも、先生の行状について質問を受けたこともあることだし。

1130_5 じつはこの時期、師走と呼ばれているように、放送大学では複数の審査が併せて行われている。もちろん肉体的に走っているわけではないが、精神的には十分に走っている。卒業研究審査、修士論文審査、修士入学審査などなど、1130_6 それぞれ50~100ページほどの報告書、論文、計画書などを読みながら、日夜審査を行い続けている。そして、今日もじつは、奈良の学生の方がめでたく、卒業論文を地元の関西圏のN先生の下で完成され、その審査が奈良女子大のなかにある、放送大学奈良学習センターで行われることになったのだ。

1130_7 横浜を出て、ほぼ3時間ちょっとで奈良駅に着く。すっかり立て替えられて新しくなった駅舎に戸惑ってしまい、駅前の観光案内所の入った昔の駅舎が懐かしく思えたくらいだ。最初は、バスに乗って行こうと思ったが、それでは散歩にならないので、観光客を避けつつ、1130_8 一路奈良女子大を目指す。とはいえ、15分ほどの行程だ。途中のイチョウの黄色や、紅葉の赤色を見ながら、歩くと小学校・中学校の生徒たちの下校時間に重なったらしく、集団で向こうからやってくるのが見えた。今週には、かれらの頭の上へ、すべてのイチョウの葉が舞い落ちてくるのだろう。大学の近くへ行けば、昼食処はたくさん在るだろうと思っていたのだが、ないのだ。やはり、近鉄かJRの駅の近くに固まっているのだそうだ。

1130_9 けれども、大学のそばに生き残っているイタリアンの店を見つけ、さっそく入る。良い選択だった。席は10席くらいしかない、Vという店だ。こんなに客席が少なくて、やって行けるのかと思ったが、素晴らしい採算性を実現していたのだった。こんなのは、これまで見たことがない。 つまり、イタリアンの店を料理人ひとりで、すべてを行っている店だったのだ。ウェイター・ウェイトレス、レジ・補助員など、ひとりもいないのだ。1130_11 客が入って、注文を聞いて、料理を作り、それをテーブルに並べる。すべてひとりでやっている。工夫はあって、飲み物はフリーにしてあり、そこだけセルフサービスなのだが、あとはすべてのサービスをひとりでこなしている。最後のレジと客のドアへの送り出しまでこなしているのだ。これは究極の「多機能料理人」の誕生である。料理のセル生産だ。これが出来るのだ。そして、味も美味しかった。

1130_12 奈良学習センターの職員の方には、今年一年、Web会議システムでお世話になった。所長のK先生はひとつのフロアを占めている学習センター全体を案内してくださった。学生からの評判が良いとおっしゃっていた。1130_15 審査は順調に進んだ。審査の主査であるN先生と、終了してから雑談をしていると、わたしのすこし上の世代だそうで、大学院生時代のさまざまな話が出て来て、こちらも懐かしかった。たっぷりと審査には時間をかけたので、放送大学がどこに一番手をかけているのかが、学生の方にも十分伝わったのではないかと思われる。学生や職員の方々の熱心さがある限りは、この大学の存在理由は続くのではないかと思う。

1130_16 奈良女子大のある場所は、観光地に通じる道路から、すこし入ったところにあるために、観光客はあまり通らない。裕福そうな屋敷が並ぶ住宅地が点々と見られる。この道をほぼ真東へいくと、国道369号を越えて、東大寺の大仏殿と、正倉院の間にある大仏池へ出る。ちょうど紅葉が池へ映って、黄色と赤色に、空と池の青が織りなす自然の風景が見事だった。1130_17 紅葉を測って来た訳ではないにしても、これほどぴったりと季節に合っているとは思わなかった。意外性が旅には重要だ。ここでしばし眺めて、やはり今日は散歩に来てよかったと思ったのだ。

1130_18 すこし戻って、369号線の角に、ハンドメイドの作者たち150名ほどの委託販売を行っている店Sがあったので入る。30センチ四方の棚がひとりの作家に割り当てられていて、ここを貸して販売をおこなっているのだそうだ。木工、革細工、刺繍などなど、150名の棚となると多様性も極まる。ひと棚2000円ちょっとで、賃貸料だけだとこの店の維持はちょっと難しい。1130_20 けれども、この作品がかなり売れてくれれば、面白いビジネスとなるかもしれない。革のブックカバーを購入した。市場価格よりかなり安く販売されていた。やはり、市場に出難く、なおかつ、みんな欲しい1130_22 と思うようなものがねらい目だと思う。どこまでが作品で、どこまでがガジェットなのだろうか。それが、測られているのだ、と思うと、たいへん興味深い試みだと言えよう。

1130_24 今日最後のコーヒーは、ハンドメイドの店の裏手の、東大寺に入っていく傍らにある工場跡地に建っている、「K」という喫茶店での、カフェオレだった。この店もハンドメイド店と同様に、ひとつ1130_25 の形を持っていて、すでに減価償却を終わった建物を再利用して、喫茶店に仕立て上げている。古民家喫茶よりも、なにやら(乳酸飲料だったらしいが)生産の行われていたという歴史があるだけでも、1130_27 集積の知恵が詰まっているみたいで、つい興味を持ってしまうところのある店だ。長居してしまいそうになる。

1130_28 最初は、古いものの再利用として始まったプロジェクトだから、というので低生産性でもよいと考えていたのだが、やはりこれだけ顧客や観光客が集まって来てしまうと、低生産性で良いと言う訳には行かなくなって、1130_29 多角化を図ることになるのだろうと想像するのだが。それで、この数年どのような変化を遂げていくのかをしっかりと観察させていただこうと思う。写真に写っている、奥の方には、まだまだ建物が眠っている。1130_30 減価償却の終わった建物を再利用するというプロジェクトは、もっと盛んに行われてもよいのではないかと思われる。

1130_31 4時過ぎには、すでに空が暗くなる。369号線を中央へ出て、奈良公園の中を通って、商店街を抜ける。Pという喫茶店に女性客が集まっているのが見えて、危うく入りそうになった。けれどもやはり、また今度に来たときのために残しておこう。最後のコーヒーは、すでに飲んだのだ。それで、かえりの新幹線の中で1130_32 食べるようにと、柿の葉ずしをすこしだけ買って、奈良駅へ向かった。日帰りの奈良散歩で、奈良に来たのだから、当然仏像を拝むことになると思っていたのだが、思わぬことから、今後の取材場所を見つける事になってしまった。このように予定の狂うことが在るから、散歩は楽しいのだ。1130_33 それにしても、家の屋根が壊れていても、それをそのまま受け入れて、自然を装ってくらす家々が廃墟間近になっても美しさを保っているのは、素晴らしい。奈良の街のよいところだと思う。1130_34

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。