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2013/08/23

夜の散歩と雨の散歩

0823_2 昨日、宿に帰ってきて、さすがに疲れた。昼からずっとイベントを見守っていたし、いろいろの観察もさせていただいたので、すっかりお腹が空いてしまった。じつは娘から推薦されていた中町通りの宿に泊まろうと考えていたのだが、メールが届いていて、部屋は満室だとのことだったので、結局のところ、宿は上土町に以前からあるレトロ調のホテルKを予約したのだった。0822_14 音楽・芝居のあった市民芸術館から徒歩でそれほどの距離ではない。わたしの通った幼稚園が、そのちょっと先の通りにあったのだ。懐かしい通い道だ。

0822_15 それで、頭の中だけは満腹状態で、調子がすごく良いのだが、しかしこの身体の空腹感には勝てない。荷物を置いてすぐに、食事に出る。この近くであれば、誰もが推薦する店があって、その店「S」へ行く。店の中は満員だったが、入り口近くの丸いテーブルが空いていて、そこを指定される。0822_17 定食でも良いと思っていたが、メニューを観ているうちに、やはり信州へきたら、と思えるものが載っていて、それらを頼む。酒はMの「あらばしり」が置いてあった。

0822_18 信州に住んでいるときには、母が生ものを極端にきらっていた。これには、日持ちする食料を良しとする昔の生活の習慣というものが関係しているのではないかと思っている。それで、いつも理由を付けて、食べるのをタブーとしてきたのが、さくら肉だ。0822_19 さすがに、大人になってからは、そのようなことはない。それで、今日はこの馬刺を頼むことにする。また、夏なので突き出しには冷や奴が良いと思った。信州なので、当然木綿豆腐で、固く大きく切ったものが丼に入っていて、ここに茗荷が乗って出て来た。二人分はある。それに野菜は、大きく切ったトマトをとは思ったが、今0823_3 日は馬刺なので、セロリをたっぷり頼むことにした。酒と馬刺、さらに豆腐と野菜との取り合わせはかなり良い選択だったと思う。

この店の特徴は、調理場と客席の二つの舞台で成り立っているところにある。それは普通どおりなのだが、板前の前線にいて調理場を取り仕切っている、年取った店の顔たる主人と、その娘であろう客席を取り仕切っている細身の看板女将がいるという中心がはっきりしている特徴がある。0822_20 そして、それぞれの持ち場がその下に統括されていて、この全体の動きが落ち着いている。カウンターの奥の調理場はガラスで向こうが見え、何をしているのかすぐわかるし、また行き交う仲居も若いにもかかわらず、きびきびしていて気持ちがよい。当然ではあるが、持ち場がはっきりして、それぞれに責任を取る体制が貫かれている。料理の旨さは、マネジメントのそつのなさに現れている。

0822_21 よく見ていると、それぞれの板前が作ったものは、それぞれ客に届けても良いことになっているらしい。調理と仲居という分業体制が通例であり、ふつうの割烹では、調理場から板前は出ないし、仲居は絶対に調理場へ入ってはいけないというのが普通だと思っていた。最初はそのように観ることができると思っていたが、時間が経ってみると、どうもこの分業体制はそれほど厳密なものではないらしい。手が空いていれば、それぞれの領分を侵してもよいらしい。この境界侵犯はどのようにして起こっているのだろうか。興味は尽きない。

0823_4 この店へ一度来ると、皆常連客になるらしく、それぞれの送り迎えがたいへんだ。そとへ出ると、すでに10時を回っていて、この後寄るとすれば、飲み屋しかないのだが、じつはこの近辺で以前から行ってみたいと思っていた、昔からのジャズ喫茶「E」があるのだ。曲の音が外まで漏れていたので、場所はすぐわかった。

0823_5 昼間、ストラヴィンスキーの不協和音の音楽を聞いて、夜はジャズというのは、流れとしては、歴史的にもつながりがない訳ではないので、大変良いのではないか。深夜にもかかわらず、カウンターは常連客に占められていたので、スピーカーの前の席に座って、今日最後の一杯を頼んだ。身体の中に、音楽と一緒に染み込んでいったのだ。

0823_6 次の日、昨日の興奮が残っていたのか、それとも部屋の空調が悪かったためなのか、朝早く目覚めてしまった。今日は、朝から雨で、午後にはかなり強く降るらしい。それで松本の散歩も残念ながら早めに済ますことにする。図書館へ寄るのは表だけにして、博物館も表面を観ただけですまし、散歩も早めに切り上げて、先日娘と寄った店でタンブラーだけを購入して、早々に北松本駅から大糸線に乗って、大町へ向かう。

0822_22 電車に乗り始めた頃から、予兆はあった。大降りの雨で、上り電車が数十分遅れ、それでこちらの下り電車も、交換駅で待たされることになった。大降りの中を通り抜けて来た電車が現れた。途中で電車が雨に追いつかれ、上り電車がすれ違っていったのだ。

0823_7 駅毎に雨が激しさを増し、大町駅につく頃には、土砂降りになっていて、いつもの青空はなく、雨雲で駅も覆われていた。動くことが出来ないので、毎年寄ることにしている、駅前の喫茶店「K」で雨宿り。しばし、遠雷を聞きながら、コーヒーを楽しむことにする。いつになったら、家に戻れるのだろうか。サンド0823_8 ウィッチも注文し、小降りになるのを待つ。遠目に窓から観ていると標高が高いだけに、雲の動きも早く通り過ぎていく。

0823_9 山の頂も完全に雲に霞んでしまい、いつもの屏風のような北アルプスも観ることができない。必要最小限の買い物を済ませ、コミュニティバスに乗って、山の家を目指す。夜遅くまで、屋根が鳴るほどの豪雨が降り続いていた。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。