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2013/06/08

日本社会のひとつの歴史的転換点

608_2 雨のない梅雨だ。高知の路面電車に乗って、気持ちの良い晴れの中、コトコトと通勤だ。今日から2日間、10時間以上に及ぶ高知学習センターでの面接授業だ。朝倉地区にある高知大学の図書館の棟に、学習センターが入っている。30分もまえに早くついてしまった。高知大学の構内に入ると、ワシントン椰子がにゅっと高く育っていた。メインストリートを奥まで行って、木陰で涼むことにする。そよ風が吹いてきて、梅雨はどこへやら、という雰囲気だ。ゆっくり歩いて戻ってくると、門の方から、センター所長I先生が出てきて、案内のために出迎えてくださった。

0608 今日の講義は、「経済社会の二つの転換」というテーマだった。一般には、たびたびニュースで報道されていることだが、この数年の間に、日本社会の重要な転換点が存在したのだ。それは、いくつかの側面を持っていて、一つの言葉では表すことが出来ないかもしれないが、たとえば、ひとつ取り上げるとすれば、日本人の人口総数が一つのピークをむかえたことだけは確かなようである。

0608_3 これを契機にして、日本が先進諸国のなかで、最高の高齢者比率を誇る国に躍り出て、これまでは米国型やヨーロッパ型に追随していけば、政策は簡単に先導することが出来たのが、それができなくなり、はじめてモデルの存在しない領域に足を踏み入れることになったことをはじめて知ることになった。

0608_7 近年の1億3千万人の総数をピークとして、将来予測に従えば、今後数十年に渡って、日本の人口が減少へ転ずるということが知られている。これは、日本の歴史のなかでは、はじめての事態であって、有史以来、と言えば、ほんとうなのかとつっこ込まれることになって、統計が取られて始めて以来、と修正せざるを得ないのであるが、たしかに、近年の歴史の中では、はじめてのことである。

0608_8 これに対する、学生の方々のコメントが、それぞれ現代社会の特色をついていて、さすが経験を持った社会人大学である。と放送大学の実力をあらためて、知ることになったのである。宿題をたっぷりとプレゼントして、教室での講義はお開きとなった。また、明日が楽しみである。

0608_9 授業が終わってから、センター所長I先生が街へ繰り出そうということになった。有名な「ひろめ市場」に最初行ったのだが、すでに満員で、土曜日にここの席を取るのは難しい。わらで焼く鰹のたたきの実演などがあって、見るだけでも楽しい市場だ。そのあと、お休みにも係らず、事務長さんも参加していただき、中央公園の向かいにある、地元の人びとがわいわいと集まる居酒屋「H」へ行く。Tというお酒がすっきりして、美味しかったし、さらに、鰹のたたきをはじめて、魚たちの目白押しだ。

0608_10 高知学習センター所長のI先生は、芸大出身の洒脱な芸術家である。わたしの教養のないことをおびただしいのだが、鍛金と聞いて、最初は工学部の何かかと思ってしまっていたのだが、鍛金という芸術だった。鍛金のお話を伺うのは、はじめてであった。「シボル」という言葉使いが新鮮で、印象的だった。「たたいて伸ばす」のに、なぜ「シボル」なのかという、ここが本質的なところなのだ。

0608_11 それで、学生時代を思い出したのだ。当時Sさんという芸大の大学院出身の方がいて、上野の校内へ連れて行ってもらったことがある。大学の各科の工房を回った。芸大特有の工房には、独特の雰囲気の場所があった。フレスコ画のところが印象的で、なぜ漆喰の上に描かねばならないのか、というところがあって、特有の表現ということ自体が興味深かった。それでなくてはならない、というところがあって、この本質的なところが好ましいのだ、と当時は思ったものだ。

0608_12 I先生の話の中で、個展の開き方の話が大変面白かった。どこが面白いのかと言えば、「芸術家」と「ゲイジュツカ」の違いなどはどうだろうか。酒を相当飲んでいたので、うろ覚えで申し訳ないのであるが、もちろん、この二者は有名か否かというところにあるのではない。おそらく、個展までのプロセスで、何がそこで起こるのかが重要なのだ、という話をなさっていたのだと思う。Tは芸術家の要素を持っているかもしれないが、Sはゲイジュツカなのだそうだ、という対比は面白かった。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。