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2013/02/03

年度末恒例のエール

0202_2半年に一度、恒例の採点の日がきた。あらかじめ、神奈川学習センターに部屋を取ってもらっておいた。今日一日、答案と格闘するのだ。採点は単調で面白くない、と一般には思われているのだが、それはテストの出し方によっている。

0202_3いろいろのことが記述されている答案を集めることの利点は、単に効率的なことが理由だからではなく、並べて比較して見ることも重要なのだ。むしろ集めることで多様な答案が集積され、その中からひょっと面白い発想のものが生れる、と考えたい。もっとも、理想的にはそのとおりだが、そのとおりすべてうまく行くわけでもない。それでも、経験に基づいたような、キラリと光る答案もそこそこあって、十分に内容を楽しむことができるのだ。真剣に答えてくださっている方の中にも、かなり余裕のある方がいる。

0202_4今日も学習センターへ入っていくと、すでに学生たちが多勢いて、教室からドッと出て、階段を降りてきた。どうやら、試験が終了してすぐの、面接授業へ学生がギッシリと集まってきているらしい。事務室のカウンターも、相談の学生がいっぱいで、事務の方々も忙しそうで、話している暇はなかった。講義室も満杯のようだった。

0202「おー」と廊下で、前学習センター所長のW先生に声を掛けられた。面接授業の講師としてお出でとのことだった。大学を辞めても、なかなか足を抜けないのが、大学というところの面白いところだ。

二階の相談室を借りたのだが、このセンターの相談室は懐かしい場所なのだ。もちろん、多くの学生と面談したことでも記憶に残っているのだが、このセンターの所属だったころ、よくこの部屋の大画面のテレビから、当時はテレビ電話を通じて、日本の各地と結んで、ゼミを行っていたものだ、という記憶が蘇ってきた。0202_2その時使ったソニーのテレビ電話用のカメラがまだ、骨董品のように残されていた。

いつものように、F先生に助っ人をお願いしてあった。二人で採点していると、つい論文のことなどの雑談に身が入ってしまいがちなのだが、やはり数時間答案にかかっていると、適度に気を紛らわせるほうが、最終的な速さのためにもなるようである。0202_3数時間の辛抱と、その間の2時間ほどの休憩で、センターが閉まる前までに、今年の採点も無事終了した。

これも恒例となった、馬車道のパブへ繰り出した。店に着くと、カウンターには客が溢れて、立ち飲み客が三グループばかり待っていた。勝手知ったる何とかやらで、二階へ上がって、ダーツのおいてある隅っこへ陣取ることにする。この店のほぼ8割の客は、外国人で、パーティーを開き始めると、なかなか退散しない。この次からは予約が必要かもしれない。

0202_4さっそく、エールを注文する。最初はやっぱり、「アングリーボーイ」を飲むことにする。最初は立って飲んでいたのだが、やはり老人に対しては親切な人が必ずいて、空いている椅子を分けてくださった。その頃までには、疲れに酔いが追いついて、しゃべっていることを忘れるほど、気分が良くなってくるのだ。食べるものもなかなか届かないのだが、ここのエールがあれば、当分何もいらない。夜はしんしんと更けて行く。エールはトクトクと飲み干されて行くのだった。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。