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2013/01/01

元旦に、「ひとりで勉強する」

0101「ひとりで勉強する」ということは、どういうことなのでしょうか、と先日の面接授業で質問された。放送大学生らしい問いだと思った。その方は、午前中に放送大学のTVを視て勉強を行って、午後から家族や友人、地域の会へ出かけるそうだ。それで、午前中には何をやっているのか、といつも訊かれるそうだ。

0101_2さて、元日になったのだが、今年のテーマとしては、これはたいへん良い問いではないだろうか。「ひとりで勉強する」とは、いったいほんとうのところ、どういうことなのだろうか。先日、A先生と雑談していたら、やはり同じような質問を、学生から受けたそうだ。放送大学の学生は、周りの人びとから、ちょっと「変わったこと」をやっている人ではないかと、思われているのだが、その視線を跳ね返すだけの何らかの理由があるはずなのだ。

0101_3この問い自体に気づくことが、たいへん素晴らしいことなのではないか、と思っている。学生の方だけでなく、じつはわたし自身が思っていることでもあるのだ。もちろん、学問的な知識を蓄積するためには、読書などの孤独な作業が必要であることは、普遍的なことだと思われるが、それ以上に、周りからちょっと離れてみる時間を作ることは必要で、離れてみて初めてわかることもあるのだ。集団を知るには、凝集性を高めるばかりでなく、じつは孤独が必要なのだ。「ひとりで勉強する」過程で、勉強以外の外部的な効果が生ずるのだと、じつは言いたいのだが。

0101_5元日には、妹夫婦がきて、いつものガレットと、ケーキとクッキーを両手いっぱい溢れるほど持ってきてくれた。いつもながら、お菓子の国が誕生した。さっそく、ガレットを切ることにする。ここに仕組まれた、アーモンドの一粒を引き当てたのは、今年は娘だった。祝福あれ。0101_6もっとも、わたしのほうは幸運の祝福より、食欲の至福だ。アーモンドクリームと、外皮が程よく焼けていて、ほんとうに美味しかった。さらに、フルーツケーキはキッシュの味が濃厚に染みこんでいて、ひとかけらを口に入れただけで、大げさでなく天にも昇る思いだった。糖尿病になっても本望だ。スイーツへの欲望は、まだまだ発展途上だ。

0101_7夕方から、明日の箱根駅伝に影響を受けたわけではないが、マラソン陸上部の物語である映画「風が強く吹いている」をDVDで観る。三浦しをん原作のスポーツ小説だ。出だしが良かった。太陽に向かってただ走るフォームが、いかにも疾走している風をしていて、ほんとうに速そうなフォームに撮られていたのだ。それで、「走るとはどういうことか」という問い掛けが絶えず繰り返されることになるのだ。

0101_8何故走るのだろうか。道があるから、走るのだ、という個人的で即物的な理由も大事だろうが、「ひとりで走る」理由と、「集団みんなで走る」理由と、二つの理由が同時に存在するのが駅伝の良いところだろう。映画の中では、ランナーとして走っている間は「ひとりで走る」のだが、駅伝ではチームとして走ることもあると強調していた。

0101_9さらに加えて、走る「理由を見つけるために走るのだ」という自己撞着的な回答が最後には用意されていた。ひとりで走る理由と、みんなで走る理由のズレを、埋めてピッタリ合わせるために、走って答えを見つけることもあるのだ。

0101_10放送大学生の勉強も、似た面があるのかもしれない。なぜひとりで勉強するのだろうか。彫刻の制作はひとりで行うが、作品はみんなで鑑賞するものだということかもしれない。

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学問の関係」カテゴリの記事

コメント

 こんにちは。昨年は坂井先生とひさびさにお話を交わすことができ、楽しいものがありました。その後も達者にお過ごしになっておられるようで何よりです。
 ガレット・デ・ロワのことは、先生の昨年のウェブログ記事でも拝見しておりました。そのときはとくに何も思わなかったのですけれども、今年のお正月、神奈川に帰省して恵比寿の商業施設の地下を歩いているときにたまたま、入り口にそのお菓子の大きな写真を掲げてあるお店の前を通り、先生のウェブログ記事のことをとっさに思い出したのでした。わたしはその写真を見ながら、横にいた妻に、坂井先生のおうちではお正月にこれを皆さんで召し上がるそうだよ、と話してあげました。
 そしてお正月の記憶もまだ新しいうちに、こちらのウェブログにふたたびガレット・デ・ロワのことが載りました。それを妻に伝えたところ、うちでもいっぺん買って頂いてみようということになりました。あのお菓子はフェーヴを当てるのが楽しみの一つということで、妻と二人だけの家庭ではその点の楽しさはあまり味わえませんでした。しかし味はおいしく、左利きであると同時に甘党でもあるわたしにとって、新年の楽しみが一つ増えた思いがいたしました。ちなみに今回手に入ったフェーヴは、かわいらしいペンギンでした。
 先生の近年の研究成果を近々本屋さんで手に取れることを楽しみにしております。

M様

出張の時には、お世話になりました。

最近もスイーツに余念がありません。
今年は職場で義理チョコをいただいて、
そろそろ掛かりつけの歯医者にいかねば、
と考えています。

ときどき鹿児島の風景を思い出して、
また訪れる機会を狙っています。

お元気でお過ごしください。

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プロフィール

  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。