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2013/01/26

何もしないでいる強制された時間のあとには、葡萄酒で妄想を注ぎ込もう

店主と目があってしまった。それで、挨拶ぐらいはしなければならないと思い、店にはいると、「勝沼」の何か入っていますか、といつものパターンが始まった。これは、どうの、あれは、こうの、と二人で話しているうちに、この前は、Dをもらって行きました。それじゃ、今日はFはどうですか。この樽ものがいいですよ。

というので、いろいろ吟味した結果、写真の葡萄酒になった。昔から、買い物はコミュニケーションだ、と言いつつ、スーパーマーケットでの買い物が多くなってしまった。けれども、この弘明寺商店街でかつては買い物をしたものだ。店主と目があって、などという典型的な状況はそう多くはないものの、やはり客として覚えていてくれると、買い物をしたくなるものだ。

この意味において、小さな(失礼!)商店を経営するには、目を合わせるような工夫が必要なのだ。ここの店主K氏は、ワインについての知識が豊富で、放送大学でも講義をお願いしたくらいだ。それで、この近辺には珍しく、勝沼のワインをおいている。もちろん、品揃えだから同じ商品を棚に並べてはいるものの、毎年少しずつ種類を変えていて、勝沼のワインの醸造所もここ数年で、いろいろ変わってきている。

目を合わせる工夫の一つだと思われるが、今日はこれが有ります。と言えるようなものを揃えていなければならない、という厳しさがある。わたしの好みは、勿論のこと、ある程度知っているのだが、まただいたいの懐具合も何回かの買い物で、わかっている。ここが、本当のところ、買い物の難しいところだ。

これはどうですか、とまずは高めの樽を勧める。これは美味しいでしょうが、と軽くいなしておいて、これはどんな味ですかとお目当ての周辺のものを聞いて行く。冬になったから、あまりスッキリするものよりは、多少濃くのある方が良いだろう。最初に、樽を勧めるところが何とも憎い。という感じで、次第にシュールリーでは、ちょっとね。と言って、最後にこちらの樽はどうですか、いくらですか。と言って、決まってくるのだ。

試験監督が一日中あって、明日も引き続き、試験監督だ。店主が言う。何もしないでいるのは、苦痛でしょ。ほんとうに。頭の中に、かなりのものを詰め込まなければ、この時間をもたせるのが容易ではないのだ。だから、終わったあとに、葡萄酒で荒唐無稽の夢を注ぎ込んでも、誰も文句を言わないだろう。

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  • 坂井素思
    放送大学教員で、社会経済学領域を研究しています。